- 評価を気にすること自体は悪くないが、評価ばかりを重視する人はせいぜいプレイングマネージャーレベルが限界である
- 評価ばかり気にしていると、何でも確認を取るためスピードが遅くなり機会損失が発生してしまう
- 大手ベンチャーでの経験上、部長・役員クラスに昇格する人は自分なりの判断軸を持ち、適切なリスクを取って決断できる人材である
- 真の昇格を目指すなら、評価者との明確なコミュニケーションラインを確立し、独断で判断できる範囲を明確化することが重要
「評価ばかり気にしているからダメなんだよ」と言われたり、「評価ばっか気にしてカッコ悪いなぁ」なんて自分自身に自信をなくしていませんか?
確かに、会社員として働く以上、評価を無視することはできませんよね。上司の顔色を窺い、期待に応えようと努力するのは真面目で責任感のある証拠です。「評価されなければ昇進できない」「年収も上がらない」と考えるのも自然なことでしょう。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。評価ばかりを気にして働いている人は、せいぜいプレイングマネージャーレベルで頭打ちになってしまうのです。
なぜなら、本当に上位の役職に就く人材には、評価を気にしつつも自分なりの判断軸を持ち、スピーディーに決断する能力が求められるからです。この記事を読めば、評価との正しい向き合い方と、真の昇格を実現するための具体的な戦略が分かります。
評価を気にすることは悪いことではない
まず大前提として申し上げておきますが、他者評価を気にして働くことは決して悪いことではありません。特に会社に雇われている立場の人が「俺は俺だ」「俺がやっていることは正しい」と、上司や評価者の評価を一切気にせずに働いていたら、組織は確実に破綻してしまいます。
組織で働く以上、評価を気にしたり、上司の期待に応えようとしたりすることは、むしろ当然の行動です。評価者に評価されることは大切ですし、評価者の求めることを実行するのは組織において当たり前のことなのです。
しかし、ここからが重要なポイントです。評価を気にすること自体は悪くないのですが、**「評価ばかりを気にしている人」**には明確な限界があります。私が大手ベンチャーで多くの社員を見てきた経験から、この違いについて詳しく解説していきます。
評価ばかり気にする人の致命的な問題点
1. 芯がないため信用を失いやすい
評価ばかりを気にしている人の最大の問題点は、とにかく芯がないということです。評価を気にするあまり、周囲の信用を失ったり、自分自身でチャンスを潰してしまうことが非常に多い傾向にあります。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?答えは簡単です。評価ばかりを重視していると、自分の判断軸がブレてしまうからです。今日は上司Aの顔色を窺い、明日は上司Bの機嫌を取る。このような行動を繰り返していると、周囲からは「この人は一体何を考えているのかわからない」と思われてしまいます。
2. スピードが遅くなり機会損失が発生
評価ばかりを気にする人のもう一つの大きな問題は、シンプルにスピードが遅くなるということです。なんでもかんでも評価者の顔色を窺ってから行動していたら、当然ながら物事の進行が遅くなります。
何でもかんでも確認をしていたら、取り組むスピードも遅くなり、そこで機会損失が生まれてしまいます。新卒で右も左もわからないような状況であれば、逐一上司に確認をして物事に取り組むことは正しい行動だと思います。しかし、それ以外の経験を積んだ社員がそれをやってしまっていたら、はっきり言って終わりです。
現代のビジネス環境では、スピードが命です。競合他社が素早く動いている中で、いちいち上司の許可を取っていては、貴重なビジネスチャンスを逃してしまいます。
評価重視の人が到達できる役職の限界
【筆者の体験談】せいぜいプレイングマネージャーレベルの現実
評価ばかりを気にする人は、確かに言うことを聞くので上司からしたら都合が良く、近くにおいておきたい存在にはなれます。そのため役職はつくでしょう。
実際に私の同僚でも、社長の顔色ばかり窺って、配下の社員から全く信用がないような管理職がいました。チームリーダーレベルの役職でしたが、決断力が全くなく、とにかく指示の仕方が「社長が言うからやってほしい」「社長に確認するから待っていて」「社長はこう思っているっぽい」といった具合でした。
社長は確かに偉いですし、社長の方向性を理解して動いたり考えたりするのは素敵なことです。しかし、主語が全て「社長」だと自分の意見なんてありませんし、そもそも全て社長の判断に委ねて、伝言ゲームをやっているだけの人でした。
結果的に、その人は10年戦士だったものの、チームリーダー止まりで出世できず、むしろ陥落して会社を去っていきました。役職が上がるほど、事業を作っていったり、事業をグロースさせることが求められますが、評価を気にするあまり新しい挑戦ができず、社長への伝言ゲームだけをやっていればそうなってもしょうがないのです。
私から言わせてもらうと、チームリーダー、マネージャー、課長、部長、役員、社長、会長なんて役職が分かれている組織であれば、この手のタイプの人がいけるのはせいぜいマネージャーくらいです。
役職がついているだけマシですし、「結構偉いな」なんて捉えてくれても構いませんが、これだけ役職があるような企業の中でのマネージャーなんて、せいぜい一般社員に毛が生えたくらいのプレイングマネージャーにすぎません。
響きはいいかもしれませんが、実態は一般社員に毛が生えたくらいの役職なのです。
年収アップを目指すなら現実を受け入れよう
「役職なんて興味ない!」と言うのであれば、もうこの先は読まなくても結構です。しかし、やはり年収を上げたい、そのために昇格をしたいというのが本来あるべき姿だと思います。
そういった意味で、もし役職を上げるために評価ばかり気にしているのであれば、それは大切なことではありますが、スピードが遅くなっているという現実をまず思い知る必要があります。
評価と自立性のバランスを取る具体的な方法
1. 独断で判断できるラインを明確化する
どうしても判断がつかない、自分で判断する癖が欠落してしまっている人は、どこまでなら独断で判断していいか?というラインを評価者とのコミュニケーションで明らかにしましょう。
具体例を挙げると:
- 50万円以下の決済なら事後報告でOK
- 人事関連のことだけシビアだから、決断する前に報告が必要
- 新規案件は企画段階で相談、実行は任せる
このような明確な基準を設けることで、無駄な確認作業を減らし、スピードアップを図ることができます。
2. 定期的な報告体制を確立する
評価者に媚びるわけでもなく、評価者からしっかりと仕事ぶりや信用を得るような働き方を目指すために、定期的な報告体制を確立することが重要です。
おすすめの方法:
- 毎週1on1や週次定例を設ける
- KPIの達成状況を共有する
- 未達があれば、その週でどれだけ埋めていくかを報告する
- 月曜日の12時までに必ず週次報告連絡をする
このような仕組みを作ることで、評価者との信頼関係を構築しながら、自分の裁量範囲を広げていくことができます。
真の昇格を目指すために必要な思考転換
評価される人から評価する人へ
本当に上位の役職を目指すのであれば、「評価される人」から「評価する人」への思考転換が必要です。部長、役員、社長といった上位役職者は、常に多くの判断を迫られ、部下を評価する立場にあります。
そのような立場になるためには:
- 自分なりの判断軸を持つ
- リスクを取って決断する勇気を身につける
- 結果に対する責任を負う覚悟を持つ
- チーム全体の成果を考えて行動する
これらの能力は、評価ばかりを気にしていては決して身につきません。
スピードと質の両立を目指す
現代のビジネスにおいて、スピードと質の両立は必須条件です。評価を気にしつつも、自分なりの判断で素早く行動し、結果を出していく。このバランス感覚こそが、真の昇格につながる重要な要素なのです。
まとめ:向上心がある人だけが理解できる現実
評価を気にすることは悪いことではありませんが、評価ばかりを気にしている限り、せいぜいプレイングマネージャーレベルが限界です。これは厳しい現実かもしれませんが、向上心がある人なら必ず理解できるはずです。
真の昇格、そして年収アップを目指すのであれば:
- 自分なりの判断軸を持つ
- 評価者との適切なコミュニケーションラインを確立する
- スピードと質の両立を図る
- 結果に対する責任を負う覚悟を持つ
これらの点を意識して働くことで、評価される人から評価する人へと成長していくことができるでしょう。
あなたは今、どちらのタイプでしょうか?もし評価ばかりを気にしているなら、今すぐにでも働き方を見直すことをおすすめします。真の成功は、自分自身の判断軸を持った人だけが手にすることができるのですから。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、評価との適切な向き合い方を見つけ、真の昇格への道筋を描けるようになることを願っています。キャリアアップや働き方に関する悩みが1つでも減れば筆者冥利に尽きます。最後まで見ていただき、ありがとうございました!