- 会社の経営方針を100%理解することはまず無理なので、方針が分からないことに対して不安に思わなくて良い
- 経営方針には本音と建前が存在するので、理解したとしても動きづらくなる可能性がある
- 上司に与えられた役割や目標だけを必死に追うことに集中すべき
- 仮に目標がなくやりがいがない場合は環境を変えることを選ぶべき
「会社の経営方針が分からなくて何をすればいいかわからない」「うちの会社はどこを目指しているのだろうか…」
こんな悩みを書かながら毎日仕事をしていませんか?この記事を書く筆者の会社も社内の経営資本が変わった際にこんな不安を口にするスタッフが増え大変だった経験があります。
結論から申しますと、100%経営方針を理解することはまず難しいので、納得感がなくても
- 上司から与えられた目標だけに集中して働くこと
- 自分のキャリアアップとして使える状態を作ること
これを徹底的にやりこむことに尽きます。
文中でも紹介しますが、経営理念を決めた社長や経営層が見ている視点と一般社員の視点は全く違うので、分かり合えなくて当たり前くらいに思っています。実体験上でもそうでした。
ここのすり合わせに時間をかけたり不安な気持ちのまま毎日を消費するのは非常にもったいないので、とにかく気にせず自分のことに徹底せよ!という話しを本日は記事にしていきたいと思います。
経営方針はわからなくて良い。無理に理解すべきではない
経営方針を知りたいところですが、経営方針を知らなかったり理解できないのは当たり前と思っていただいて問題ないです。
その理由を以下で3つほど説明いたします。
視座が違うため
視座とは物事を見る立場や角度、考える基点となる位置のことを指します。
一般的な会社員であれば、自分の給料や雇用条件といった””個人””に関わる事柄をメインに物事を考えていくのが一般的です。元を辿ればこれらの条件を見定めた上で会社に入社をしてきたわけです。
しかし、部長など管理職層になると自分の評価や昇進などを気にしつつも、部の売上やその責任を担うことになるので、視座が一段高くなり””チーム(部署)””になります。
さらにその上の社長レベルになると、会社の業績だけでなく市場全体の未来まで視野に入れて経営方針を決定します。一般の社員が個人や今の業績に注目するのに対し、経営陣は””将来の展望””に焦点を当てています。
整理するとこういった下記のような具合です。
- 一般社員は個人の雇用条件、昇給等へ関心が高い
- 一般社員は会社の今の業績を見ている
- 経営陣は会社全体の業績が個人の評価へ繋がるため関心が高い
- 経営陣は会社の未来の業績をよくするため市場の未来を見ている
そのため会社の方針がよくわからない、社長が何を目指しているのか理解できないというのは、あながち普通に起こりうることだと思います。一方は今のことを考えていて、一方は定かではない未来の課題について考えているわけですから…。
例えば高校野球をしている人の中でも、とりあえず高校で野球で野球を続ければいいという人と、夏の甲子園優勝を目指している強豪校の選手は全く異なる視点で野球に取り組んでいますし、同じ学年で野球という共通のスポーツをやっていても視座は大きく異なります。
経営方針を理解できた時点で権限がない
次の経営方針が理解できた時点で自分自身ができることが限られているという点があります。
前述した視座の話しにもつながりますが、例えば、会社の経営方針を理解し高い視点を持って未来の市場について調査したり、方針に沿って実行計画を立てるとします。
ただ、未来に1億円投資しようや10億円投資しようといったような判断や決断を実行することは、一般社員レベルではほぼ不可能です。権限がないからです。
経営方針を理解し、経営方針に沿って事業を永続的に続けるためにはどうすればよいかを真剣に考えることは非常に素晴らしいことです。しかし、経営の方針という大枠に置いての自分が持っている権限というのは残念ながら非常に限られています。
経営理念には本音と建前が存在するため
経営方針を理解し過ぎると少し動きづらさを感じてしまうことも実体験上あります。
例えば、世の中の経営理念やビジョンには、「世の中の役に立つ」「お客様を喜ばせる」といった言葉のように、ここでいう建前上の綺麗な言葉が並ぶことが多いです。
しかし、実際のお客さんが求める本音と会社側が求める本音はなかなか一致しないのが世の末です。
消費者が求めるのは「安くて良いサービス」です。これは当然のことと思います。この要求を極限まで追求すると、それはボランティアに近くなります。
しかし、会社側の視点から見ると「高くて手間がかからない商品を売りたい」と考えています。化粧品であれば「成分にこだわって原価を高くして、社員の給料も低くして、会社の売上も低くていいから消費者が求める安くていい化粧品を提供しよう」とは絶対にならないと思います。
できるだけ原価を抑えて、化粧品をブランディングしていかに高く売るか?利益を出していくか?を考えます。
このように、会社の裏円や方針の中には本音と建前が必ず存在し、顧客は安くて良い商品やサービスを求め、会社は高くて手間がかからないもの(利益が取れるもの)を売りたいと願っています。
上記はあくまで一例に過ぎませんが、会社の方針や理念への理解を極端に追求しすぎると矛盾が生じやすくなります。
経営方針ではなく与えられた役割に特化すべき
集中すべきは経営方針への理解ではなく、自分に与えられた役割を理解し集中することが大切ということを話ししていきます。
上司に目標を確認すべき
上司に自分の目標を確認してください。経営方針に沿った行動を目指すのではなく、上司から与えられた目標を全力で達成することに集中しましょう。
目標を尋ねる際はできるだけ明確な目標が望ましいです。「現在売上が1億円だけれど、2億円達成できたら素晴らしいね」といった具合に、現実離れした希望的観測に基づく目標設定では絶対にダメです。現実ではなく希望が優先されているので達成できなかった時に甘えが生じるため。
商品を売るメーカーやサービスであれば、SNSでのバズがなくても「基本的なことを行えば普通に達成できる」というレベルの、達成可能な目標を設定してもらいましょう。
仮にその目標を安易に達成をしてしまったら、「次の目標を設定してもらえないでしょうか?数ヶ月で120%伸ばせたので残りの月も120%増の目標でよいでしょうか?」などと提案すればよいだけです。
360度からの評価は必要なく上司の評価のみに集中する
360度評価や全員の評価は必要ありません。目標を聞いて、その目標達成のためだけに努力しましょう。
理由は上司の評価のみがあなたの昇格や昇給と言った評価に繋がるためです。残念ながら同僚がどれだけ評価しても昇給や昇格にはつながりませんし、後輩や新入社員が評価しても、評価が上がるわけではありません。この前提を理解しましょう
例えば、新入社員からの評価を得るのは非常に簡単です。食事に誘っておごるなど、彼らが経験したことのないようなお店に連れて行くと、おそらく評価は上がるでしょう。しかし、これらの行動が会社のためになるかというと、そうではないでしょう。
同僚の評価を上げるのも比較的簡単です。共に会社の愚痴を言って共感する、困っている同僚を手伝うなど、これらの行動で評価されます。仕事を手伝うのは良いことですが、これは結局、人間関係が構築され、信頼が築かれるだけで、会社の業績には直接関係しない場合が多いです。そう考えると、あまり意味がないことになります。
ですから、とにかく直属の上司からの評価を得ることに専念してください。
ただし、上司の評価だけを重視することは大切ですが、それが他の人を無視することを意味するわけではありません。単純に人として普通に接することが大切です。他の人の意見をまったく聞かない、手伝わないというわけではありません。この点を誤解しないでください。
役割が全うできているかを週一で報告をする
役割を達成できているかどうかを週に一度報告し、確認しましょう。以前、上司の評価のみに注目することの重要性を話しましたが、多くの企業では上司からの評価が四半期ごと、あるいは上半期と下半期の2回だけであることが一般的です。これでは頻度が少なすぎます。週ごとや月ごとに、求められている行動と実際に行っている行動のずれを把握することが重要です。
そのためには、週次単位で自分の行動が正しいか、役割を達成できているかを確認しましょう。
週次報告のためのフォーマットを使い、現時点での目標達成率やその目標を達成するために行うべきことを記載しましょう。
報告、連絡、相談(報連相)はよく言われることですが、これを実践することで、まず上司からの疑念がなくなります。目標に対してしっかりとタスクを出している社員は、信用されることが多く、これを毎週行うことで、目標設定が非常に高くない限り、達成の確率が高くなります。タスクを挙げて実行し、報告してください。
もし目標達成できない週が続いた場合は、嘘をつかずにそのことも上司に相談しましょう。その際、「現状はこうで、進捗が悪いです。どのような行動変化をすれば良いか教えてほしいです。可能であれば、提案してください」と相談してください。
これは本当に最終手段です。絶対的に、自分からタスクを持っていく、行動計画を立てることを徹底してください。最終手段として、上司からタスクや行動目標をもらうことを選択してください。
経営方針がわからなくて不安な場合
あなたが現在、目標がなく苦しんでいるのであれば、目標のある環境へ移ることを選択するのが、自分自身にとって最善の選択かもしれません。環境を変えることを一つの選択肢として検討することをお勧めします。入社したばかりの会社をすぐに転職するべきだとは筆者は考えません。
それでも、売上目標を追うことが苦痛だと感じる人もいます。目標追求や数値管理が苦手な人が一定数いることを受け、社員にストレスを与えないような仕組みを整えている企業もあります。目標設定がない企業も存在するため、目標がない状態が必ずしも悪いわけではありません。
そのような環境でも、自ら目標を設定し提案する機会があれば、積極的に上司に「こういった目標を達成したい」「そのためにはこのような行動を取ります」と提案してほしいです。
自主的な行動は、将来転職活動をする際にも自分の経験を事実ベースでアピールできる強みになります。「売上目標が設定されていなかったが、売上を達成したいという強い意志があり、上司に対して提案し行動しました」という前職での経験は、どの業界でも高く評価されるものです。
即座に転職活動を始めるのも一つの選択ですが、自分の市場価値を最大限に高めてから転職する方が良いでしょう。今できることがあれば、現在の会社で「危機感を持って自分から動いた」という事実を作り上げてから転職することを筆者は推奨します。
エージェントへの登録だけ今すぐすべき
転職活動について、1週間や2週間で次の会社が決まるわけではなく、様々な求人を見ることや時期などが影響するため、すぐにとは限りません。そのため、転職エージェントに登録して、日々届く求人情報を隙間時間に見る習慣をつけることが良いでしょう。
求人は毎日届くため、急いで転職しなければならない状況になると、来たばかりの求人から会社を選ぶことになり、消去法で転職を決めてしまうことになりかねません。これは非常にもったいないことです。毎日求人をチェックすることで、徐々に「このような会社に入りたい」という思いが明確になります。まずは登録して、じっくりと求人を見る期間を設け、本当に良いと思うものだけに応募することがベストです。
転職エージェントに登録しておくだけでも進め方としては有効です。リクルートエージェントのように、無料でキャリアカウンセリングを提供してくれるエージェントもあります。担当のキャリアカウンセラーは、応募が進んで面接になった際に「この企業は過去にこんな質問をしました」といった具体的な情報提供や年収交渉などをサポートしてくれます。基本的に、エージェントを利用する方が自分自身にとって有利だと考えてください。
大事なのは経営方針の理解することではない!
ここまで、経営方針を100%理解することは難しいのでそこにこだわる必要はない。直属の上司に与えられた役割や目標を全うすることだけを考えるべき。なんてことを書いてきましたがいかがだったでしょうか?
冒頭で述べたよう筆者も同じような体験をした際に、「会社のバリューを高めることが当面の優先事項であり経営指針」と経営陣より共有をされました。
幸い、筆者自身が経営層と近しい立場だったので背景も含め理解ができたのですが、一般社員からしたらわからないですよね・・・笑
あくまで筆者の例ですが、こんな形で知った時点でよく分からなかったり、ストレートに受け入れても綺麗な言葉の裏には本音と建前があるので意外に難しいものです。
だからこそ、経営方針に固執せず自分自身のキャリアを考えることを最優先することが大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事を通して、会社の経営方針への不安や不満が1つでもなくなって、自分のキャリアへの関心が少しでも高まってくれたら筆者冥利に尽きます。