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【会社のルールが厳しくて不満】でも実はすごい幸せなこと。緩くなった組織の崩壊劇を見ればわかる

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この記事を要約すると…
  • ルールは厳しいことに越したことはない。国の場合厳格な法律があるから治安が保たれるのと同じ
  • 明確なルールが存在しない組織では「やったもん勝ち」というような悪循環が生まれてしまう
  • 「自由」みたな会社が増えているが、メンバーが増えたり、働く人の年齢層の開きが大きくなるほど厳しくなる。異なる価値観の中ではルールが必須
  • 筆者の勤める会社で経営体制が変わりルールが緩くなった際、会社の売り上げが数十億落ちるほど組織が悲惨な状態になってしまった

「会社のルールが厳しくて嫌になる」「自由な会社が増えているなか時代に逆行してる」

なんて勤める会社に不満を抱きながら仕事をしていませんか?

早速結論から言いますと、ルールは緩いより厳しいに越したことはない。実はルールが厳しい会社ほど仕事に集中できます。

自由、フラットな組織が増えいているのは確かかもしれません。しかし、ルールが緩いとどんなに良い人の集まりでもちっぽけなことをきっかけに人間関係のトラブルが増え仕事どころではなくなります。

これは、経営体制が変更したことをきっかけに、ルールが厳格な会社→ルールが緩い会社に変わった経験を持つ筆者だからこそ断言ができます。

初めこそルールが緩い環境に心地よさを感じましたが、人のトラブル、売り上げの激減など良いことは1つもありませんでした。

そんな実際の経験を交えつつ、今日はルールが厳しい会社は実は幸せなんてことを書いていきます。

目次

会社のルールが厳しいことは良いこと

まず、国というレベルで考えてみましょう。日本が世界的に見ても安全で治安が良い理由の一つには、国民性という要素もありますが、最も重要なのは法整備がきちんとされているという点です。これは多くの先進国に共通して見られる特徴です。

会社組織も同様に集団行動を行う場であり、適切なルール整備がなければ様々な問題が発生してしまいます。

会社の本質的な目的は、社会の問題を解決したり人々が求めるものを作り出したりすることにあります。しかし、明確なルールがない状態では、人々の間で意見の相違が生じた際に、それを解決することに多くの時間を取られてしまいます。

つまり、人同士のトラブル解決に時間を費やすことになり、これは全く生産性のない時間です。会社としては、こういった非生産的な時間をいかに減らせるかが重要な課題となります。

ダメなものはダメという明確なルールが大切

交通ルールを考えてみましょう。速度制限が時速60キロと明確に定められていれば、それを超過した場合、61キロであれ100キロであれ違反として明確に指摘することができます。

一方で、「小学生も通学路として使用するので、できるだけゆっくり走ってください」という曖昧な基準では、人によって解釈が大きく異なってしまいます。

ある人は時速40キロでも問題ないと考え、別の人は「通学路でガードレールもないのだから、そんな速度は危険だ」と考えるでしょう。

もちろん、時速100キロを出せば誰もが「やりすぎだ」と感じるでしょうが、明確な基準がないため運転手は「細心の注意を払って気をつけて走ればいいじゃないか」と主張することもできてしまいます。

このような曖昧さは、職場でも同様の問題を引き起こします。

明確なルールがないと注意がしづらくなる

明確なルールがないと注意する側も躊躇してしまい注意される側も納得感を得られません。「常識の範囲内」や「普通に考えればわかるはず」といった曖昧な基準では、人によって解釈が異なり問題の解決が困難になります。

その結果、注意したくても明確なルールがないために注意できず、正義感が強く誠実な人ほど職場に不満が蓄積しやすい環境になります。さらに、常識から少し外れた行動をとる人が得をするような状況も生まれかねません。

組織として健全な運営を行うためには明確なルールの存在が不可欠なのです。だからこそ、会社のルールが厳しいということは組織にとって必要不可欠な要素だと言えるのです。

自由に働く社風の会社が増えてるけど論外

近年、コロナウイルスの影響やIT企業の増加により、リモート勤務が一般化しワークライフバランスを重視する風潮が広がっています。組織をフラットにし、ルールを緩く設定してみんなで楽しく働こうというスタンスの会社です。

これは一見、時代に合っているように見えます。

このような特徴を持つ会社の多くは比較的若い企業が多いのが現状です。創業年数も短く、働いている人の平均年齢も若い傾向にあります。

創業者が社長を務めているケースが多く見られ、経営者のビジョンや価値観が社員に直接伝わりやすく組織の一体感が生まれやすいという特徴も持ち合わせています。こういった環境だからこそ、フラットな組織体制や緩やかなルール設定が機能しているとも言えるでしょう。

しかし、このような自由な働き方やルールを緩くする風潮を持つ会社が、10年後にどうなっているかは現時点では明確に言えません。

現在、これらの会社で大きな問題が表面化していない理由は社員の平均年齢が近く、価値観が比較的似通っているからだと考えられます。新卒の若手から定年間近の60代まで幅広い年齢層が在籍する職場では、年齢によって価値観が大きく異なります。

もちろん同世代でも価値観は異なりますが、見てきたものが近いためある程度の理解は可能です。しかし、世代が大きく離れるとお互いの価値観を理解することが極めて困難になります。

リモートワークで顕著になった価値観の違い

大手企業で突然ルールを緩和した場合、深刻なミスマッチやミスコミュニケーションが発生する可能性が高いでしょう。具体例として、コロナウイルスを機にリモート勤務を導入した企業での出来事を見てみましょう。

若い世代は学生時代からSNSに慣れ親しみ、オンラインでのコミュニケーションに全く抵抗がありません。LINEやSNSを使って人間関係を構築することが当たり前の世代です。

一方、40代以上の世代では、特に仕事上のコミュニケーションは対面で行うことが当たり前だという価値観を持っています。もちろん、メールやLINE、SNSを使用する人も多くいますが、「重要な仕事の話は目と目を合わせて確認しながら進める」という考えが根付いています。

若い世代からすれば「ちょっとした確認なら、チャット一つで十分」と考える一方で、ベテラン社員は「同じ会社にいるのだから、直接話した方が早い」と感じるのです。

これは単なる価値観の違いであり、どちらが正しいということではありません。しかし、明確なルールがないと、このような価値観の違いが深刻な問題を引き起こす可能性があります。

特に組織が大きくなり多様な価値観を持つ社員が増えてくると、創業期のような一体感を維持することは難しくなってきます。そのため、ある程度の明確なルール作りは組織の健全な成長には欠かせない要素となるのです。

【実体験】厳しい会社→緩い会社になった失敗例

筆者が勤める会社では、M&Aをきっかけに経営体制が大きく変化しました。社長や役員が全て入れ替わり、会社の方針も一新されたのです。

元々は創業社長によるワンマン経営でマイクロマネジメントが行われる厳しい組織でした。ルールは厳格で創業社長自身が頻繁に現場に入り、強いプレッシャーをかける環境でした。その中で社員は成長し、業績も継続的に向上するような会社です。

そこに新しい経営陣が入ってきた際、現場では二極化が起こりました。これまでのルールを忠実に守り続ける社員がいる一方で、以前から厳しいルールに不満を感じていた社員たちは、経営体制の変更を機に徐々に今までのルールを守らなくなっていきます。

新しく就任した社長は創業社長とは異なり、当初は現場の意見を積極的に聞く姿勢を見せました。急激な変革を避け、社員に寄り添う形で経営を進めようとしたのです。そのため、最初の半年ほどは厳しい指示や要求を控えめにしていました。

しかし、この状況は次第に組織全体のルールの曖昧化を招き、最終的にはガバガバな組織へと変貌していくことになります。そこで起きた悲惨の実体験をまとめていきます。

言葉遣いの乱れ

まず一つ目は、社員間の言葉遣いの乱れです。それまでは名字にさん付けで呼び合い、上司部下関係なく敬語を使用するというルールが徹底されていました。しかし、このルールが曖昧になると、あだ名で呼び合ったりタメ口が日常的になったりしていきました。

さらに、この言葉遣いの崩れは職場での会話の質にも影響を及ぼしました。仕事中に私的な恋愛話や、プライベートの話が当たり前のように交わされるようになりました。より深刻なのは、会社や特定の人物への愚痴や不満を公然と口にする社員が増えたことです。これにより、職場内に派閥が形成され、人間関係のトラブルが増加していきました。

勤怠管理の崩壊

二つ目は、基本的な勤怠管理の崩壊です。以前は「姿勢のルール」として、

  • 出退勤の打刻
  • 会議への3分前入室
  • 休憩時間の厳守
  • 職場へ入る際への挨拶
  • 外出時にはメンバーへの声がけ(休憩行きますなど)

と言った、新入社員でも簡単に実行できるルールが設けられていました。特に出退勤の打刻については、怠ると上司から始末書を求められるなど厳格な管理が行われていました。

しかし、このルールが形骸化すると打刻を怠る社員が増加。さらに深刻なのは、勤怠管理システムの修正権限を持つ役職者までもが遅刻した際に勤怠記録を改ざんするような事態が発生したことです。

9時30分の始業時刻に間に合わなかったにもかかわらず、システム上で時刻を修正するといった不正が日常的に行われるようになりました。

「あの人って本当に会社に間に合っているんですか?」なんて意見が、違う部署の新卒から聞かれた時には末期かと思いました。

勤務時間中の無断外出

三つ目は勤務時間中の無断外出の増加です。以前は取引先との会食は原則禁止で必要な場合は社長への報告が必須でした。しかし、このルールが緩和されると、定時の18時30分を大きく前倒しして、16時半や17時に「会食があるので」と早退したり、さらには報告すら行わずに退社する社員が現れました。

最も深刻だった事例は、「セミナー参加」を名目に、12時に退社したまま帰社せず、その実態も確認できないようなケースでした。セミナーが本当に存在するのか、それが業務に関連するものなのかも不明確なまま、実質的な午後休のような状態が発生したのです。

売り上げを見ない人が増えた

四つ目は売り上げへの意識の低下です。

以前は毎週月曜日の12時までに前週の売上実績を上司に報告するルールが存在しました。未達成の場合は、その要因分析と次週のタスク設定を行い、達成時は成功事例として継続的な施策につなげていました。売上という明確な指標があることで、組織全体の行動指針が定まり、具体的な施策を議論することができていたのです。

しかし、このルールが形骸化すると、社員は売上を意識しなくなり、各自が「こうすべき」という独自の基準で行動し始めました。

その結果、組織全体の方向性が定まらなくなり施策の管理も困難になっていきました。本来は全員が同じゴールに向かって進むことで各施策の有効性を判断し投資の是非を決定できるはずでした。しかし、各自が異なる方向を向いて走り出したためそうした判断すら困難になってしまいました。

さらに、非効率な施策の中止や方向転換を提案すると、「社員の意見を尊重しないのか」という反発まで生まれるようになりました。売上という客観的な指標を軽視し始めたことで感情的な議論が増加していったのです。

他責思考の蔓延

五つ目は、他責思考の蔓延です。売上を意識しなくなった結果、全体の業績が悪化しても「自分は頑張っている」「売上低下は他人の責任だ」という意識が広がりました。

自分の好きな仕事だけを行い、それを「努力している証」と解釈する社員が増加。しかし、その努力が会社の目標達成に寄与しているかどうかはもはや誰も検証しなくなっていました。

愛社精神が消滅

六つ目は愛社精神の消失です。確かに「愛社精神」という言葉は、現代ではやや古めかしい響きがあるかもしれません。しかし、自分を雇用し生活を支えてくれている会社に対する最低限の愛着や誇りは、ビジネスを進める上で重要な要素です。

顧客にとっても、自社の製品やサービスを誇りに思う社員の方が、信頼してお買い物ができたり、仕事を頼みやすいはずです。

ところが組織の規律が崩れていく中で会社に対する否定的な意見が公然と語られるようになりました。20年以上の歴史がある企業にも関わらず、良い点には目を向けず、悪い点ばかりを指摘する風潮が広がっていったのです。

去り際に、「1ヶ月後に退職させていただきます。有給があるので最終出社日は10日後です」みたいな、全く引き継ぎの姿勢がない退職者が続出したのも、愛社精神の欠落を表すエピソードの1つです。本当に混乱しました笑

結果として、組織は学生サークルのような緩い集団と化し業績は驚くべき速さで悪化していきました。

単なる数百万円規模の減少ではなく、数十億円規模の事業が半減するという深刻な事態に発展したのです。これは明確なルールと管理体制の重要性を物語る典型的な事例だと言えるでしょう。

ルールが厳しくないと仕事がしんどい

筆者の実体験を交えながら、ルールは厳しいに越したことはないという話しをしていきましたがいかがだったでしょうか?

なかなか経験しないとわからないことでもありますが、一生経験したくないくらい、ルールが緩い組織というのは辛いものです。とにかく人の問題が絶えません。仕事どころではありませんでした笑

前提として、人は性善説に基づき善良な人が多いと思います。ただ、明確なルールが存在しない環境では、たとえ良識ある人々が集まった組織であってもわずかな価値観の違いや目指す方向性の違いによって歪みが生じてしまうことを身に染みて感じた経験が、この記事を書くきっかけになっています。

この記事を読んですぐに、「ルールが厳しいことは素晴らしい!」「そんな会社で働けて幸せだ!」なんてならないと思いますが、ルールが厳しい組織だからこその良い点はたくさんあることだけ、少しでも伝えることができれば筆者冥利に尽きます。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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