- 会社で仲良くしておくべき人は「絶対に辞めない人」「経理の人」「人事の人」の3タイプ
- 「絶対に辞めない人」は会社特有のローカルルールや暗黙知を持っており、社内で成果を出すために重要な情報源になる
- 「経理の人」はお金の流れ=会社の実態を把握しており、上に行けば行くほどその重要性を実感する
- 「人事の人」は組織作りの中心にいて、採用や配置の情報を持っているため、働きやすさに直結する
- これは社内政治ではなく、合理的に考えた戦略的な人間関係構築である
会社で働く上で、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。「この人と仲良くしておいた方がいいのかな」と。
結論から言います。会社で仲良くしておくべき人は、確実に存在します。
これは社内政治とは違います。私は「社内政治」という言葉自体があまり好きではありませんし、上司に媚びを売ったり、派閥を作ったりするような社内政治はするべきではないと考えています。
しかし、それとは別に「この人とは良好な関係を築いておいた方が、自分の仕事がスムーズに進む」「この人との連携があれば、成果を出しやすくなる」という状況は、どうしても存在するのです。
これは政治ではなく、合理的な判断です。会社という組織の中で成果を出し、キャリアを築いていくための、いわば「戦略的な人間関係構築」と言えるでしょう。
では、具体的にどんな人と仲良くしておくべきなのか。今回は、私が32歳で大手ベンチャーの役職者として働く中で気づいた、本当に大切にすべき3つのタイプの人について、具体的にお話しします。
仲良くすべき人①「絶対に辞めない人」ローカルルールの宝庫
なぜ「辞めない人」が重要なのか
まず1つ目は、「この人、絶対に辞めないだろうな」と思える人です。
どの会社にも1人はいますよね。会社のサービスが本当に好きだったり、その会社の仕事を極めていたり、腰を据えて長く働いている人。こういう人こそが、実は最も価値のある情報源なのです。
「ローカルルール」という見えない資産
会社員として働く中では、必ず「ローカルルール」が存在します。これは、その会社特有のやり方や、暗黙の了解、文化のようなものです。
マニュアルには書いていないけれど、「実際にはこうやって進めた方がスムーズ」「この人にはこういう順番で話を通した方がいい」といった、現場でしか分からない知識がたくさんあります。
こうした知識は、単純に「スキルがあるからできる」というものではありません。「この会社に長く勤めているからこそ分かること」「サービスが好きだからこそ気づけること」なのです。
世間的評価と社内評価のギャップ
長く勤めている人が持っている能力は、転職市場では評価されにくいかもしれません。なぜなら、その知識やスキルは、その会社でしか通用しない部分が多いからです。
しかし、その会社の中で成果を出したり、信頼を得たりする上では、この「会社に染み付いた知識」こそが、かなり重要なんです。
新しい企画を通したいとき、トラブルを解決したいとき、社内の承認プロセスをスムーズに進めたいとき。こうした場面で、長く勤めている人からの一言のアドバイスが、状況を劇的に変えることがあります。
だからこそ、「絶対に辞めない人」を見つけて、その人から情報をキャッチアップできるような関係を持っておく。これは本当に大切なことなのです。
仲良くすべき人②「経理の人」お金の流れは会社のすべて
軽視されがちな経理の本当の価値
次に経理の人です。
経理はバックオフィスの部署なので表舞台に出ることが少なく、営業やマーケティングに比べて軽視されがちな存在でもあります。
経理の人はあまり積極的にコミュニケーションを取るタイプではないことも多く、どちらかというと保守的で内向的な人が多い印象を持たれているかもしれません。
しかし、これは大きな誤解です。
経営の本質は「お金の流れ」
自分が役職者になったり、経営に近い立場になったりするとわかりますが、「お金の流れ」こそが会社のすべてなんです。
どんなに素晴らしいアイデアがあっても、どんなに優秀な人材がいても、お金の流れが止まれば会社は終わります。逆に言えば、お金の流れさえ健全であれば、多少の問題があっても会社は存続できるのです。
つまり、経理は会社のすべてを担っているといっても過言ではありません。お金の流れは、すべての業務・人事・経営判断に関わってくるので、結局そこに会社の重要な情報が集約されているんです。
上に行くほど実感する経理の重要性
私自身、数千億円規模の売上を持つ会社で働いていますが、役職が上がるにつれて、経理の重要性を痛感するようになりました。
自分はウェブ領域が専門なので、顧客や取引先との関わりが多い一方で、やっぱり経理の人の方が会社全体の課題や方針を深く把握していると感じます。
マーケティング部署から見ると、「経理って売上を作ってないでしょ?」と思うかもしれません。しかし実際には、マーケ部署よりも会社の実態を理解していることが多いのです。
なぜなら、経理の人は経営陣と直接やり取りする機会が非常に多く、会社の方向性や課題、経営判断の背景をいち早く把握しているからです。予算配分、投資判断、コスト削減。こうした意思決定の裏側には、必ず経理が関わっています。
視点が一段も二段も上がる
私自身、経理の人と関わるようになってから、自分の視点が一段も二段も上がった感覚があります。
部分最適ではなく全体最適で物事を考えられるようになり、上層部とも話しやすくなりました。「なぜこの施策が承認されないのか」「なぜこのタイミングで投資判断が変わったのか」。こうした疑問も、お金の流れを理解すれば腑に落ちることが多いのです。
接点を持つのは少し難しいかもしれませんが、「経理と仲良くしておく」というのは本当におすすめです。
仲良くすべき人③「人事の人」組織の中心にいる存在
人が会社を作る
最後に人事です。
会社という組織は”人”で動いています。どんなにシステムが整っていても、どんなにプロセスが確立されていても、最終的には人が判断し、人が行動するのです。
その中心にいるのが人事ですね。採用に携わる人と関係を持っておくことは、人が会社を作る以上、とても大切なことなのです。
働きやすさの本質は人間関係
結局、会社の働きやすさって人間関係がほとんどです。
給与や福利厚生も大事ですが、「誰と働くか」「どんな上司の下で働くか」「どんなチームメンバーと一緒に仕事をするか」。これらが、日々の満足度やモチベーションに最も大きな影響を与えます。
スキルアップももちろん大事ですが、多くの場合は”人を通して”成長していくものです。優秀な先輩から学んだり、良い上司に恵まれたり、刺激的な同僚と切磋琢磨したり。こうした人との出会いが、キャリアを大きく左右します。
人事が持っている情報の価値
人事はバックオフィスの中でもあまり目立たない存在ですが、「誰を採用するのか」「どんな人材を求めているのか」「会社がどんな方向に向かおうとしているのか」という情報を持っています。
人事とつながっておけば、自分の希望を伝えたり、「こんな人がチームに欲しい」と相談したり、現場の状況を共有して社内環境を良くしたりすることもできます。
実際、人事の人も「現場が今どうなってるのか」は常に気にしていることが多いのです。現場の生の声を知りたいと思っている人事担当者は少なくありません。
そうした情報交換を通じて、お互いの理解が深まり、結果的に組織全体が働きやすくなっていきます。これは役職が上がれば上がるほど痛感する部分です。
自分がマネージャーになり、チームを作る立場になったとき、人事との関係がどれだけ重要かがよく分かります。だからこそ、人事との関係も大切にした方がいいと私は思います。
【まとめ】戦略的な人間関係が、あなたのキャリアを加速させる
ここまで、会社で仲良くしておくべき3つのタイプの人について解説してきました。
- 絶対に辞めない人──会社特有のローカルルールや暗黙知を持っている
- 経理の人──お金の流れ=会社の実態を把握している
- 人事の人──組織作りの中心で、採用や配置の情報を持っている
これらは単なる「社内政治」ではありません。合理的に考えて、この3つのタイプの人と良好な関係を築いておくことで、あなたの仕事はスムーズに進み、成果を出しやすくなり、キャリアも加速していきます。
もちろん、会社によってはマーケティング部署が強かったり、法務が重要だったりと、業種や規模によって重要なポジションは変わります。しかし、どんな会社でも共通して言えるのは、「経理」と「人事」、そして「長く勤めている人」の重要性です。
向上心があるあなたなら、これらの人との関係構築を「面倒なこと」ではなく「自分の成長につながる投資」だと捉えられるはずです。
明日からでも、少し意識を変えて、これらの人との接点を作ってみてください。半年後、1年後のあなたのキャリアが、きっと大きく変わっているはずです。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、社内での人間関係に対する見方を変え、より戦略的にキャリアを築いていくヒントを得られたなら嬉しいです。会社での働きやすさや、漠然とした「誰と関係を持つべきか」という悩みが1つでも減れば、筆者冥利に尽きます。最後まで見ていただき、ありがとうございました!
