- 新卒でベンチャーに入ることは、長い目で見たらメリットしかないと断言できる
- 筆者は社員3人の超ベンチャーからスタートし、32歳で大手企業に転職して年収900万円を実現
- 20代は理不尽な環境にも適応できる柔軟性と体力があり、この時期にこそハードな経験を積むべき
- 大企業の新卒は「会社名」で評価されるが、ベンチャー出身者は「個人の実力」で評価される道を歩める
「新卒はやっぱり大手企業に入るべき」「ベンチャーは不安定でブラック」
世間からこんな声が上がってきて、社会人の方は「新卒で入った会社がベンチャーだから…」、学生の方であれば「就職活動をしているけどやっぱりベンチャーだとだめなのか?」なんて不安を感じていませんか?新卒という一生に一度のチケットを使ってベンチャー企業に入るのは、リスクが高いと思われがちですよね…。
しかしながら、新卒ベンチャー就職には計り知れないメリットがあるという視点も忘れてはいけません。
筆者は新卒で社員わずか3人のベンチャー企業に飛び込み、その後中小企業での経験を経て、32歳で社員数千人の大企業に転職しました。結果として、年収は前職よりも300万円以上アップし900万円を超えるまでに。自分でも驚きました。
大企業に新卒入社した同年代と比べても、筆者はベンチャーでの経験が大きな強みになっていると実感しています。大企業では1ヶ月かかる業務をベンチャー時代は1〜2日で片付けてきた経験、カオスな環境でサバイブしてきた経験—これらが現在の高評価につながっているのです。
そんな体験をしてきた筆者だからこそわかる、新卒ベンチャー就職の魅力や、むしろ大手企業に入らなくて良かったと思える理由を実体験ベースでヒストリー調に触れていきます!
「意外に新卒ベンチャー就職って最高の選択かも…」そう思っていただけますように!
第一章|新卒で入った社員3人の会社—これは会社だったのか?
筆者が初めて入社したのは、社員がたった3人しかいないWebマーケティングのコンサル会社。一応「正社員」として雇われたものの、雇用契約書も存在せず社会保険にも加入していませんでした。今思えば、正社員とは名ばかりの状態だったと言えるでしょう。
入社からわずか3ヶ月でクライアント企業向けのプレゼンを任されることになりました。そのプレゼンが成功したのかさえ覚えていないほど緊張しましたが、この経験が後の仕事に大いに活かされることになります。
部署もクソもない環境
3人しかいない会社では、全員があらゆることをこなさなければなりません:
- 営業活動
- SEOのための記事作成
- Webマーケティングのコンサル
- セミナー講師
- オフィス管理(社長宅が事務所だったため、家事の手伝いも時々)
業務マニュアルなど存在せず「とにかくやってみよう」の精神で日々を過ごしていました。毎日が新たな挑戦の連続で、振り返ると不思議な日々だったと感じます。
ビジネスマナー研修?いや、即実践あるのみ
大企業の新卒社員がビジネスマナー研修を受けている頃、筆者は実践の場に放り込まれていました。確かに名刺の渡し方も知らず、ビジネスマナーや形式的なスキルは不足していたかもしれません。しかし、それを補って余りある実務経験を積むことができたのは大きな強みとなりました。
毎日のように集客記事を書き、様々な業界(キャリア、金融、ヘルスケアなど)のメディア運営に携わる中で、業界知識とマーケティングスキルが急速に向上。入社1年目でプレゼンや営業でも恥をかかない実力が身についたのです。
今勤めている大企業の新卒研修を見ると、ビジネスマナーやオリエンテーション、社内交流中心の印象を受けます。もちろんこれも重要ですが実務よりも形式的な導入が優先されているように感じることも。
対照的に筆者は、入社当初から現場で1年間で実践的なスキルを習得。実践をしまくった結果としてビジネスマナーについて後に問題が生じることは一度もありませんでしたから、オリエンテーションはあった方がいいけど、なくても以外となんとかなっている今があります。
第二章|海外フリーランス挑戦と起業失敗—それでも得た貴重な経験
3人の会社を1年ほど勤めた後、Webマーケティングのコンサルが個人でもできるレベルになっていたので、前職とは業務委託を結びつつフリーランスとして海外に移住することに。(海外でmac1台で生活するのが夢だったんです笑)
フリーランスとして活動する中で、初めて「仕事を取るのが大変」「取引先との調整が難しい」「見積書の作り方」など、ビジネスの現実に直面することになりました。これまでは3人と言えど会社内にいたため、税理士がいて経理面を気にしなくて良かったのですが、フリーランスでは全て自分でやらなければならず、加えて海外ということも苦労を痛感することになったのです。
起業の失敗
約1年後に帰国し3人でスタートアップを立ち上げましたが、一緒に始めたエンジェル投資家との意見の不一致や、契約面での筆者自身の甘さが目立つことに。仕事自体は取れていたものの、実際に制作を進め、成果を出していくプロセスで上手くいかないことが多く1年で畳むことになりました。
一般的には「失敗」と捉えられるかもしれませんが、この経験から得たものは計り知れません。
- 法務局での手続き
- 税理士とのやり取り
- キャッシュフロー管理
- 契約書作成
- ビジネスモデル構築
- 会社のお金の管理
自分の会社であるからこそ、これらすべてを「自分事」として経験できたのです。この時の年収は300万円弱と決して高くはありませんでしたが、会社を立ち上げるまでの法務手続きや、経理、契約関係、ビジネスモデル構築など、多くのことを自分の身を持って学ぶことできました。
後に経営層と話す機会があっても、お金の話や経営の視点について自信を持って発言できるのは、この「失敗」のおかげといえるでしょう。
第三章| ベンチャー企業での6年間—キャリアの転機
26歳の時ベンチャー企業に入社することになります。新卒でベンチャーに入っていたものの、雇用契約も曖昧だったので形式的には初めての「ちゃんとした就職」と言えるでしょう。
この会社での6年間は、筆者のキャリアの大きな転機となりました。ここで「会社」というものを本当の意味で理解できたのです。
職務履歴書に書けることをいっぱい経験できた
会社の売上規模は20億〜40億円ほどでマーケに携わるスタッフが20名弱だったのです、この規模だからこそ自分の仕事の影響度が見えるのが特徴でした。年間で数千万〜1億円規模の売上に関わる仕事を担当し、職務経歴書に書ける具体的な実績をバンバン作ることができます。
配属されたWebマーケティング部門では、実に多様な業務を経験することに。
- SEOメディアの運営と改善
- アクセス解析とコンテンツ設計
- SNS運用
- インフルエンサーマーケティング
- アプリ開発のディレクション
- 商品開発への参画
- 国内外の企業との交渉・営業
- システム部署と連携したアプリの保守運用
- 化粧品会社との商品開発交渉
管理職の経験
さらに勤務最後の2年間は幹部ポジションに昇進し、経営会議への参加や採用業務、マーケティング方針の決定など、経営視点での仕事を任されるようになりました。マーケティングに関しては基本的に会社の方針をほぼ任せてもらえるようになり、それに必要な数値分析や、実際のアウトプットが会社の業績にどう影響するかといった観点まで考えるようになったのです。
社長と直接一対一で話す機会も多く、経営視点を学ぶとともに「人を動かすことの難しさ」も実感することに。この時期にはマネジメントのコンサルが入ってくれて、毎週1時間ほど厳しい指導を受けながらチームビルディングや組織管理のスキルを磨いていきました。その結果、マネジメントに対するストレスが大幅に軽減されるという成果も得られたのです。
大企業だと、さすがに3年目4年目の30歳のスタッフが、経営会議に出ながら会社全体のマーケ戦略を一任することはまずないでしょうから、これもベンチャーだからこそできた経験だと認識しています。
会社存続の危機に直面
この会社に勤めて3年目が経つ頃に急に会社の業績が悪化し、相当カオスな経験をすることになりました。
売上が少し下がるというレベルではなく、40億円あった売上が20億円に急に半減し、100人ほどいた社員が経営への不満や不安で半分以上大量に離職。
筆者が入社した時に会社を盤石と言えるレベルに支えていた管理職も総辞職してしまい、釣られるように部下たちも次々と退職。
「売上は全てを癒す」という言葉がありますが、まさにその逆の状況、つまり売上がないと全てが崩れるという現実を経験したのです。
それでも、このカオスな環境の中で多様な経験を積めたことは、大企業では決して得られない貴重な財産となりました。職務経歴書に書けることが多すぎて何を書けばいいのか悩むほど、様々なスキルと経験を身につけることができたのです。
第四章|32歳で大手企業への転職—年収300万円アップの転機
そしてこの記事を書いている2025年、32歳を迎えた現在。
数千人規模の大手企業への転職が決定。前職の年収が600万円台だったのに対し、一気に300万円以上アップし、900万円という年収で採用されて働き始めました。
評価されたポイントは、もちろん過去の実績や多様なスキルも大きいですが、最も高く評価されたのは「カオスな環境をサバイブしてきた経験」といえます。
- 起業失敗後も再起した精神力
- 業績悪化の中でも売上を回復させた実績
- 整っていない現場を任せられる応用力
これらの経験を買われ、何も決まっていない新しくできる部署を任せられています。この年収アップは、ベンチャーでの経験がなければ絶対に実現できなかったものでしょう。
大企業に入って実感する遅さ
大企業に入ってから実感したのは、ベンチャーで身につけた能力の価値でした。大企業ではその規模ゆえに、部署が多く、人も多いことで物事がなかなか進まないことがあります。
ベンチャーなら1日で終わる業務が大企業では1ヶ月かかることも珍しくないのです。若いうちからそうした制約のない環境で迅速に動き、アウトプットを出し続けてきた経験が、筆者の強みになっていることを大企業に入って初めて実感することになりました。
転職時に職務経歴書に書けることが豊富だったのも、ベンチャー企業で様々な業務に携わり、実績を積み重ねてきたからこそ。このことが転職をスムーズにし、年収アップにもつながったのです。
結論:キャリアは「濃度」で決まる。20代は濃くすべき
筆者はまだ32歳で、キャリアが成功したと断言するには早いのは多いに近くしています。年収900万だって、もっと稼いでいる人もザラにいますし、この年収が続くとも限りません。40代50代以降もどうなるかわかりません。
しかし、現時点で言えるのは「若いうちこそ濃度の濃いキャリアを積むべき」ということです。年齢のせいにするつもりはありませんが、理不尽なことや体力的な壁を乗り越えられるのは、やはり20代だと思うからです。
理不尽を受け入れる柔軟性
20代は、理不尽な状況にも比較的適応できる時期といえるでしょう。先輩や上司の言うことを、時には「めんどくさいな」と思いながらも素直に受け入れ、それが自分の成長につながることがあるのです。
※注意:理不尽というのは本来あってはならないものというのが大前提で、肯定をしているわけではありません。
しかし若いうちなら「先輩が言っているからとりあえずやるしかない」という受け入れ方ができます。特に体育会系の環境で働いている人なら共感できるかもしれません。「めんどくさいな」と思いながらも「とりあえずやるか」という感覚で受け入れられることが多いのです。
例えば40歳になって同じような理不尽なことを部下から言われたら「なぜこんな理不尽なことを下の人間から言われなければならないのか」と反発してしまうことでしょう。たとえその理不尽が自分のためになることでも、「理不尽」と感じた時点で拒絶反応が出てしまうものなのです。
20代であれば、理不尽だと思いつつも受け入れることができ、結果としてそれが経験や忍耐力の糧になるもの。ハラスメントを肯定するつもりはありませんが、若いからこそ受け入れられる理不尽な環境から得るものは大きいのかもしれません。
体力的アドバンテージ
20代は体力の面でも大きなアドバンテージがあるはずです。筆者は23歳の頃にワクワクする目標を見つけ、5時間弱の睡眠で毎日働き、年間の休みが3〜4日程度でも体を壊すことなく続けられた経験があります。
32歳の今では、7時間は睡眠をとりたいと感じますし(というか取らないとすぐ体調を崩す)、長時間の営業活動の翌日には筋肉痛が来ます。もちろん、まだまだ若いし働けるつもりですが、以前に比べると朝から終電近くまで連続で働くようなことはできなくなったと感じることが増えてきています。
AIの発展で効率的な働き方が重視される現代でも、若いうちにしかできない「ハードワーク」の価値は依然として大きいといえるでしょう。労働時間が長ければ良いというわけではありませんが、働けば働くだけアウトプットが増え、それによって成功する確率も高まると考えているからです。
やっぱり新卒はベンチャーに飛び込むべき
「大手企業かベンチャー企業か」という新卒就職の選択肢について、私の体験をお伝えしてきましたが、ここではっきり言います。やっぱり若いうちこそベンチャー企業に飛び込むべきです!
大手企業の安定性や研修制度、「新卒はとりあえず大手行っとけ」的な意見を一切を否定するつもりはありません。
ただ、大手企業の新卒は「会社のブランド」でチヤホヤと評価されますですが、ベンチャーに入れば、実力と経験で勝負するしかありません。その結果「個の力」をなくしてチヤホヤされないので、自然と身につける努力をするでしょう。
最終的に非常に偏った意見で恐縮ですが、「絶対的にベンチャーで揉まれるべきです!」
この記事を読んで、一人でも多くの若者が「よし、ベンチャーで勝負してみよう!」と勇気を持ってくれたら、筆者冥利に尽きます。最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんの挑戦を心から応援しています!