- 雇用契約にて在宅勤務をすることが約束されている場合は、一定の拒否権は持つ
- 契約がない場合は基本的には会社の命令に従うべき、従わないと懲戒免職などデメリットしかない
- 「出社が嫌だ」と会社と争うのはメリットがないので、環境を変えることに労力を使った方が良い
- 在宅の効率の良さというのは自分が判断するものではなく会社側が判断すること
「在宅勤務だったのに、出社命令が出て納得がいかない」「在宅の方が効率が良いのに出社する意味がわからない」「出社を拒否したい」
なんて、急な会社の辞令に納得がいかない人も多いのではないでしょうか?パンデミックの影響で長い人であれば数年という単位で在宅勤務が続いていたことを考えると、在宅が当たり前ですから、こう思うのは納得です。
ただ、結論から言ってしまうと雇用契約に在宅勤務が含まれていない場合は出社拒否をすることは難しく、頑なに拒否をしてしまうと自分自身が損をする可能性が高いというのが事実です。
今日はそこを大前提に、雇用契約における在宅の勤務の位置付けや、拒否した場合のデメリットを記事では紹介をしていきたいと思います。大変なことになる前に少しでも参考になれば幸いです。
雇用契約における在宅勤務の位置づけ
勤務してからの雇用契約の見直しは滅多にありませんが、在宅勤務が雇用契約の前提となっている場合、出社命令に対して一定の拒否権を持ちます。
出社命令を会社が出した時点で契約違反とまではいきませんが、契約の内容とは明らかに違うので拒否や契約の内容について言及するのはおかしなことではありません。
拒否権の性質と限界
ここでいう「拒否権」は、問答無用で行使できるものではありません。契約は双方を拘束するものであるため契約に基づいて交渉する権利と捉えるべきです。
契約があり基本的には契約内容を尊重する義務がありますから会社側も一方的に介入することは困難です。そのため、拒否しても即座に懲戒免職になるなど自分が損をする確率は低いということです。
契約見直しのチャンス
出社命令を契機に雇用契約の見直しを提案されることがあります。このような機会は、在宅勤務の条件はもちろん、給与や細かい福利厚生の契約なども見直すチャンスになります。
多くの場合、このような提案に応じることで、より良い条件を獲得できる可能性があるので在宅の有無以上に得られるものが大きくなる可能性は重々秘めています。
在宅勤務は権利ではなくセール期間のようなもの
もし雇用契約にて在宅勤務をすることが約束されていない場合は注意が必要です。在宅勤務は権利ではなく、会社が特別に認めている一時的な措置であることを理解する必要があります。
例えをだすと、ユニクロの夏のセールが終わり商品が定価に戻るようなものです。
セールが終わった次の日に「昨日までこの服安かったんだから、今日も安く買わせてくれ!」「セール期間中は身内の不幸があって買い物に来れなかったから認めてくれ」なんて言われても誰も同情しないし、誰も動じないと思います。白い目で見られて終わりでしょう。
大袈裟な例かもしれませんが、お店はセール価格で買わせないといけない理由もなければ契約もないのと同じく、会社側からしても在宅勤務をさせる理由がなくなれば、「前のように出社してくれ」なんて命令を出すのは問題がありません。
ユニクロの例に例えると社員側に気遣う必要もないくらい、会社の出社命令というのは自然なことなのです。
会社が従業員を気遣って導入した特別な措置なので、今なくなることに反発するより、この配慮に対する感謝の気持ちを持ちつつ状況の変化に応じて柔軟に対応することが重要と言えるでしょう。
在宅の方が効率が良いは経営層が判断すること
「在宅の方が効率が良いのに出社をすると効率が落ちる」
出社命令を出すとこんな声が上がります。筆者自身も会社にいると色んな人に質問されたり、話しかけられやすいタイプなので在宅の方が業務に集中できると言うのは事実としてあると思っています。
しかし、残念ながら効率が良いか悪いというのを判断するのは会社の数字を握っている経営陣であるため、あなた一人の感想というのは反映されないものです。
あなた本人が効率ができてアウトプット量が増えたとしても、実はあなたとコミュニケーションを密に取りたいと思っている人は対面ではなく連絡ツール越しの会話で時間をロスしているかもしれません。
あなたを管理する立場の人は、目の行き届かない場所にいることで管理の手間が数倍も増えているかもしれません。
これらの相対的に見た生産性や業務効率を踏まえて会社は出社命令を出していることを理解しましょう。
理想論ですが、全員が在宅勤務になれば社員が出社するオフィスはいらないですし水道光熱費も掛からなければ定期代を負担する必要もないので、会社としては負担が減ります。実際バーチャルオフィスしか持たない会社も多くなってきています。
ただ、その上で出社をしてほしいというのは想定的な業務効率が下がっていると判断しているためであるので、一個人の効率や生産性ではなく判断されているということまで考えられると良いでしょう。
業務命令に従わないリスクと潜在的な影響
出社命令などの業務命令に従わないことは、従業員にとって様々なリスクを伴います。これらのリスクを理解し慎重に行動することが重要です。
懲戒処分のリスク
業務命令に従わない場合、段階的な懲戒処分を受ける可能性があります:
- 口頭注意や書面による警告
- 減給
- 出勤停止
- 降格・降職
- 最終的には解雇
これらの処分は、キャリアに長期的な影響を及ぼす可能性があります。
賃金カットのリスク
出社命令に従わず、無断で欠勤した場合、その日の賃金が支払われない可能性があります。これは、無断欠勤とみなされるためです。
業務評価への影響
業務命令に従わないことは、人事評価に悪影響を与える可能性があります。その結果:
- 昇進の機会を逃す
- 昇給が見送られる
- 将来的なキャリア発展に支障をきたす
退職金への影響
最悪の場合、懲戒解雇となると退職金が減額されたり、まったく支給されない可能性があります。これは、長年の勤務に対する報酬を失うことを意味します。
争うくらいなら、さっさと退職の意思を示し、しっかりと満額をもらって退職をした方がまだ賢い選択とも言えるでしょう。
在宅勤務を重視するなら環境の変更を検討すべき
出社命令に従わないことのリスクについて説明してきましたが、ここでは別の視点から問題解決の方法を提案します。基本的に会社との継続的な争いは
- 会社の売上に直接的な影響がない
- 個人の評価や給与にも良い影響を与えない
- 職場の雰囲気を悪化させる可能性がある
と、どちらにとってもメリットがないです。出社勤務命令を出した企業が、「やっぱり在宅に戻します!」なんて方針変更をする可能性はほぼないので、争いは不毛で在宅勤務にこだわる場合は別の環境を探すことが解決策となりそうです。
まとめ
出社命令への対応は、単純に拒否するのではなく、契約内容を十分に理解した上で、建設的な対話を通じて最適な解決策を見出すことが重要です。
在宅勤務が契約の前提となっている場合、一定の交渉の余地はありますが、それを絶対的な権利と捉えるのは適切ではありません。
重要なのは、契約にない限り、基本的には会社の命令に従うべきだということです。在宅勤務は多くの場合、会社が従業員に配慮して導入した一時的な措置であり永続的な権利ではありません。
もし在宅勤務を重視するのであれば、現在の環境にこだわるよりも、自身の希望に合った新しい環境を探すことが賢明な選択と言えるでしょう。キャリアの長期的な展望を見据えつつ、自身の価値観に合った働き方を追求することが重要です。
最後に、どのような選択をする場合でも、誠実で建設的なコミュニケーションを心がけ、win-winの解決策を目指すことが、この状況を乗り越えるための最善のアプローチと言えるでしょう。
自身のキャリアと将来を守るためにも、慎重かつ冷静な判断が求められるので感情的になってはいけません。
この記事を見た一人でも多くの方が在宅勤務命令に対して冷静な判断と対応を取り、今後のキャリアを考えるきっかけになれば筆者冥利につきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!