- 管理職経験があることで転職時の年収が600万円→900万円の1.5倍にアップし、スタートラインが大きく変わる
- 管理職の実態は外から見えているものと違うことが多く、実際にやってみると意外と大変ではないパターンがある
- 会社によって同じ管理職でも働き方や責任の重さは全く異なるため、今の会社の管理職が大変でも他社では楽になる可能性がある
- 転職市場での管理職カードの価値は想像以上に高く、50代でも役員経験があればサクッと転職できる現実がある
- 昇進が合わなければ転職すればよく、その時に管理職経験が最強の武器になる
「昇進したくない」「管理職になりたくない」という声を、職場でよく耳にします。「昇進したくない」「管理職になりたくない」という声を、職場でよく耳にします。
確かに責任は重くなるし、部下のマネジメントは大変そうだし、プレッシャーも増えそう。そんな気持ちは痛いほど分かります。
しかし、32歳で大手ベンチャーの役職者として働く私が、転職を経験して強く感じたこと。それは「昇進しとけ、絶対しとけ」という結論です。
驚くべき数字:昇進したくない人の実態
まず現実を見てみましょう。最新の調査データが示す「昇進したくない」人の割合は想像以上に高いのです。
パーソル総合研究所の調査によると、「現在の会社で管理職になりたい」と回答した人はわずか17.2%で、2021年の24.0%から右肩下がりで推移しています。
特に注目すべきは年代別の数字です。20代の若手社員で管理職を希望する人の割合は、2021年の36.4%から2024年は28.2%と大きく低下しています。
別の調査では、管理職を希望しない方の割合は72%という結果も出ており、多くの会社員が昇進に対してネガティブな印象を抱いているのが現状です。
昇進したくない理由のトップ3は以下の通りです:
- 責任が重い
- 仕事・残業が増える
- 割に合わないと感じる
しかし、これらの不安の多くは「外から見た印象」に基づいているのです。
なぜなら、管理職経験があるかないかで、転職市場でのスタートラインが驚くほど違うからです。今回は、私の実体験と最新の調査データを交えながら、なぜ昇進を躊躇している人でも管理職を経験すべきなのかを語っていきます。
※参考文献:パーソル総合研究所のデータ 調査名: 「働く10,000人の就業・成長定点調査」
※参考文献:株式会社識学(2023年2月発表)データ: 管理職を希望しない方の割合は72%
※参考文献:調査実施: 株式会社ビズヒッツ調査対象: 管理職になりたくない男女500人
管理職経験が転職で発揮した圧倒的な威力
年収が1.5倍にアップした現実
私の前職では、マネージャー(部課長レベル)として事業責任者をやっていました。正直、その時は「管理職って大変だな」と思っていました。
売上責任は全部背負うし、社内のマーケティング関連は全て把握しなければならないし、面倒を見るメンバーは多いし、本当に何でもやらなければいけない状況でした。
経営会議にも出席して、会社の大まかな方向性にも意見しなければならず、シンプルに責任をすごく感じるポジションでした。当時は「こんなに大変なら、もう管理職なんてやりたくない」と思ったこともありました。
しかし、転職活動を始めてみると、状況は一変しました。
管理職経験があることで、最初から役職者としての選考が始まったのです。当然、年収も高い水準で考えてくれます。
結果として、年収は600万円から900万円へと1.5倍ほど上がりました。これは、管理職経験という「カード」があったからこそ実現できた数字です。
実際の働き方は前職より楽になった
興味深いことに、年収が上がったにも関わらず、実際の働き方は前職の管理職時代より楽になりました。
現在も同じマネージャー職とはいえ、会社が大きい分、マネージャー職なんていっぱいいます。会社の方向性を左右するような会議に参加することもないし、売上責任はもちろんありますが、自分の上の役職者もいっぱいいて、直接詰められるようなことも滅多にありません。
前職で感じていた「全責任を背負っている」というストレスは大幅に軽減されました。社内の調整や政治的な部分は確かに大変ですが、前職の「何でもやらなきゃいけない」という大変さとは質が違います。
昇進を躊躇する人が知るべき3つの真実
1. 管理職の実態は外から見えているものと違う
今の会社で管理職が大変そうに見えても、実際にやってみると「意外とそんなことはない」パターンが多いのです。
日本能率協会マネジメントセンターの調査によると、管理職の56.4%は「今の仕事が面白い」「管理職を続けたい」と感じているポジティブ管理職であることが分かっています。
また、16.7%の管理職が「もともと管理職になりたくなかった」状態から「管理職を続けたい」と感じる状態に変化していることも判明しています。
外から見ている管理職の実態と、実際に経験する管理職の実態は大きく異なります。私自身、前職で管理職になる前は「こんなに大変なのか」と思っていましたが、実際にやってみると、確かに大変な部分はありますが、同時に裁量権も増えて、仕事の進め方をある程度自分でコントロールできるようになりました。
2. 会社によって管理職の働き方は全く違う
同じ「マネージャー」という肩書きでも、会社によって管理職の働き方や組織図は大きく異なります。
私の経験では、前職のマネージャー職の方が売上責任が重く、経営会議への出席も必須でした。しかし、現在の会社では同じマネージャー職でも、そういったプレッシャーは大幅に軽減されています。
つまり、今の会社の管理職が大変だからといって、他の会社の管理職も同じように大変とは限らないのです。
むしろ、「前の会社のマネージャー職より売上責任がないぞ」「経営会議に出席しないで済むしプレッシャーが少ないかも」なんてことも十分にあり得ます。
3. 転職市場での管理職カードの価値は想像以上
転職活動をしてみて実感したのは、管理職経験という「カード」の市場価値が想像以上に高いということです。
年収の高さはもちろんですが、選考プロセスでも最初から管理職候補として扱われるため、キャリアを考える上で圧倒的に有利になります。
50代同僚の役員カードが示す管理職経験の威力
私の同僚だった50代の方の話が、管理職カードの価値を如実に表しています。その方は前職で上場企業の役員経験がありました。実態は社内調整のような立ち位置で、お世辞にも役員というのは肩書きだけの働き方をしていたと打ち明けてくれました。
しかし、その「役員カード」があることで、50代にも関わらずサクッと転職ができて、高い給与水準で働くことができました。実際、私と一緒に働いた後も、すでに次の会社に転職してしまいましたが、過去の役員カードがあったので、それもすぐに決まっていました。
この事例からも分かるように、管理職カードは本当にとてつもない価値を持っています。
実際の仕事内容がどうであれ、その経験があることで転職市場での評価は大きく変わるのです。
データが示す管理職経験の威力
複数の調査機関のデータを見ると、管理職経験の転職市場での価値の高さが明確に示されています。
マンパワーグループの調査では、8割の人が「管理職になりたくない」と回答していますが、逆に言えば、管理職経験者は希少価値が高いということです。
また、株式会社識学の調査でも、積極的に管理職を希望する方は男性で12%、女性で4%という結果が出ています。
この数字が意味するのは、管理職経験者が圧倒的に少ないということ。つまり、管理職経験があるだけで転職市場では希少価値の高い人材として扱われるのです。
昇進に対する正しい考え方
まずは挑戦してみる
昇進したくないと思っていても、まずは挑戦してみることをお勧めします。実際にやってみないと、その職種の本当の実態は分からないからです。外から見えている管理職の大変さと、実際に経験する管理職の大変さは異なります。
合わなければ転職すればいい
もし昇進した結果、やっぱり合わないと感じたら、転職を考えればいいのです。その際に管理職カードを存分に活かして転職活動をすると、想像以上に市場からの管理職カードの価値が高いことに気づけると思います。
年収は高い方がいいに決まっているし、キャリアを考える上で管理職経験というお飾りがあるなしで、だいぶ市場の評価が変わります。だからこそ、昇進はとりあえずしておけばいいと思うのです。
長期的なキャリア戦略として考える
管理職経験は、長期的なキャリア戦略として非常に有効です。今の会社でずっと働くつもりでも、将来的に転職する可能性はゼロではありません。その時に管理職経験があるかないかで、選択肢の幅が大きく変わります。
まとめ:管理職経験は最強の転職カード
昇進したくないと思う気持ちは理解できますが、管理職経験は転職市場で最強のカードになります。
私の実体験からも、管理職経験があることで年収が1.5倍になり、働き方も改善されました。
調査データが示すように、77%の人が管理職になりたくないと回答する中で、管理職経験者は希少価値が高く、転職市場では圧倒的に有利な立場に立てます。
管理職の実態は外から見えているものと違うことが多く、会社によって働き方も大きく異なります。そして何より、転職市場での管理職カードの価値は想像以上に高いのです。
だからこそ、昇進の機会があるなら、ぜひ挑戦してみてください。
合わなければ転職すればいいし、その時に管理職カードが強力な武器になることは間違いありません。将来の自分のために、今の挑戦を躊躇する理由はないのです。
この記事を読んだ1人でも多くの方が昇進への不安を解消し、キャリアアップに向けて前向きな一歩を踏み出していただければ、そしてそれによって職場での悩みが1つでも減れば筆者冥利に尽きます。最後まで見ていただき、ありがとうございました!
参考文献
- 日本能率協会マネジメントセンター「管理職の実態に関するアンケート調査」(2023年)
- パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」(2024年)
- 株式会社識学「管理職に関する調査」(2023年)
- マンパワーグループ「管理職に関する意識調査」(2020年)