- 優秀なプレイヤーがマネジメントになると「なんでこんなこともできないの?」というギャップ地獄に陥り、結果的に自分で全部やって潰れるパターンが多い
- プレイヤーとマネージャーは野球の選手と監督のように「別競技」であり、優秀なプレイヤーほどマネジメントをやらせるべきではない
- 筆者も年商40億の会社で結果を出して出世したが、マネジメントで一度死んだ経験がある
- 復活のカギは「自分の100点≠人の100点」「過程に口を出さない」「老害になっている自分を認める」の3つを受け入れたこと
- 大事なのは自分がやることではなく「事業が回ること」。任せる勇気を持つことがマネジメントで死なない唯一の方法
「プレイヤーとして結果を出して昇進したのに、マネジメントになった途端に辛い」「部下が思うように動いてくれなくてイライラする」
こんな悩みを抱えながら、毎日深夜まで働いていませんか?自分でやれば2時間で終わる仕事を、部下に任せると丸1日かかる。結局自分でやってしまい、マネジメント業務との板挟みで心身ともに疲弊していく。そんな状況は本当に辛いですよね。
私も32歳で部長職を務める身ですが、かつて年商40億の会社で年間5億円の売上をつくり、出世した直後に”マネジメントで死んだ”経験があります。「なんでこんなこともできないの?」というギャップに苦しみ、結局全部自分で抱え込んで潰れました。
しかし、その後復活し、今では「死なないマネジメント」を実践できるようになりました。そんな経験をしてきた私だからこそ伝えられる、マネジメントで死なないための考え方と優秀なプレイヤーがなぜマネジメントで潰れるのかについて、この記事では包み隠さずお話しします。
「もしかして、自分のやり方を変えれば楽になるのかも」そう思っていただけたら幸いです!
管理職になって直面した「なんでこんなこともできないの?」というギャップ地獄
管理職になって最初に直面したのが、想像を絶する”ギャップ”の大きさでした。
役職がなかった頃は、同じ視点で働けていました。しかし、マネジメント側に立った瞬間、「なんでこんなこともできないの?」という思いが頭の中を駆け巡る日々が始まったのです。
多くの人は「事業」ではなく「自分の評価」のために働いている
そこで気づいた残酷な現実があります。多くの人が”会社”や”事業”のためではなく、”自分の評価”のために働いているという事実です。
評価が大事なのは理解しています。ただ、40億規模で100人にも満たない会社では、上期・下期の半年ごとの評価のたびに方向性が変わります。朝令暮改なんて日常茶飯事でした。
私は「売上を上げれば正義」だと思っていました。実際にそう評価もされましたし、社長の目も届く規模だったので間違いではなかったはずです。
ところが違いました。スタッフたちの関心は”自分がどう見られるか”や”仲のいい人と楽に仕事できるか”ばかりだったのです。
理解不能でした。マジで病みました。
「俺がやったほうが早い」症候群の末路
結局、「俺がやったほうが早い」という思考に陥り、プレイヤーの仕事を抱えたままマネジメント業務をこなす日々が続きました。
当然、体は持ちません。気づけば誰よりも遅くまで残り、「やるしかない」日々が続きました。これが、私が”マネジメントで死んだ”リアルな話です。
プレイヤーとして優秀だった人ほど、このパターンに陥ります。なぜなら、自分がやれば確実に成果が出ることを知っているからです。でも、それではマネジメントの意味がありません。
優秀なデザイナーも、マネジメントで潰れる。目の前で見た崩壊パターン
私の実体験だけではありません。この目で見てきたケースもあります。
優秀なデザイナーが、マネジメントになった途端にパフォーマンスが落ちるパターンです。これはクリエイターあるあると言っていいでしょう。
ものづくりが好きな人ほど、人の介入が増えると質が落ちます。特にWebデザインやECの商品ページ制作のように、本来ひとりで完結できる仕事では顕著です。
クリエイターがマネジメントで壊れる瞬間
「なんで私と同じようにできないの?」 「なんでこんな簡単なことを聞いてくるの?」
彼女がこう感じ始めた瞬間、笑顔が消えました。結果として、チームは納期遅れ、リソース不足、メンバーとの衝突という負のスパイラルに陥りました。
典型的な「優秀プレイヤー・マネジメント崩壊パターン」です。本人の能力が高すぎるがゆえに、他人の「できない」が理解できないのです。
プレイヤーの役職を作るべき理由。マネジメントだけが出世ルートではない
私は強く思います。優秀なプレイヤーほど、マネジメントをやらせるべきではありません。
むしろ「プレイヤーとしての役職」を設けるべきです。ただし、その場合は昇進や給与の天井を明確にする必要があります。透明性がなければ、不満の温床になるだけですから。
プレイヤーとマネージャーは別競技
これは会社にも個人にもWin-Winです。逆に、プレイヤーとしてはそこそこでも、マネジメントをやらせたら花開く人もいます。
野球と同じです。未経験者がプロの監督になることはありません。でも、元選手だからといって名監督になるとも限りません。イチローが名監督になれるかどうかは誰にもわかりません。
プレイヤーとマネージャーは、まったく別の競技なのです。この認識がない組織は、優秀な人材を潰し続けます。
死なないマネジメントを学んだ3つのこと
ちなみに私は、その後もがっつりマネジメントの道を歩みました。前職では事業責任者、今は大手ベンチャーで部長職を務めています。一般社員から半年で登り詰めました。
まだプレイヤー気質は抜けません。でも、”死なない”ようになりました。それは、次の3つを受け入れたからです。
1. 自分の100点が、人の100点ではない
結果を出した人ほど、自分のやり方を正義だと思いがちです。私もそうでした。
しかし、方法は無限にあります。自分より優れた成果を出す手法も存在します。この前提を受け入れられるかどうかが、マネージャーとしての器を決めます。
2. 役割とゴールを明確にして、過程には口を出さない
新卒に大きな案件を任せたことがあります。正直、不安でした。しかし、明確なゴールだけを設定し、やり方は本人に任せました。
結果、私が考えもしなかった方法で、想像以上の成果を出してくれました。自分が手を出していたら、絶対に出せなかった結果です。
この経験が、私の「マネジメント観」を大きく変えました。
3. “老害”になり始めている自分を認めた
30歳の時、これを受け入れました。年を重ねるほど、経験が人や事業の成長を邪魔する場面が増えます。
「昔はこうだった」「この方法が正しい」というこだわりが、組織の柔軟性を奪います。だから、こだわりすぎない。任せる。これが重要です。
やり方なんて十人十色──大事なのは事業が回ること
やり方なんて、人の数だけあります。こだわりは悪くありません。むしろプロフェッショナルには必要です。
でも、こだわりだけでは現実は変わりません。大事なのは「事業が回ること」です。きれいごとより、アウトプット量の方がよっぽど価値があります。
プレイヤーとして死んで、マネジメントでも死んで、それでもまだ立っています。だから、これだけは自信を持って言えます。
死んだフリがベストであり、一度死んだ人間だけが手に入れる強さ
「最高のプレイヤーにマネジメントをやらせると死にます。でも、一度死ねた人間だけが、本当の強さを手に入れます」
そして最近、もう一つの真実に気づきました。
「いや、一旦死んだふりをして、人にやらせてしまった方が案外いいのかもしれません」
これがマネジメントの本質です。自分が死ぬ必要はありません。任せる勇気を持つこと。失敗を許容すること。自分のやり方以外を認めること。
もしあなたが今、優秀なプレイヤーとしてマネジメントの道を歩もうとしているなら、この記事の内容を思い出してください。死ぬ前に、一度立ち止まって考えてください。
そして、もし今まさに死にかけているなら──まだ間に合います。人に任せましょう。あなたの100点ではなく、メンバーの100点を信じましょう。
それが、マネジメントで死なない唯一の方法です。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、マネジメントの苦しみから解放され、部下との関係性に悩む時間が減り、本来やるべき事業の成長に集中できるようになれば、筆者冥利に尽きます。あなたが「任せる勇気」を持つことで、組織も、あなた自身も、きっと成長できるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
