- 完璧主義は基本的に自分の勘違いで、組織では上司が60点と言えば60点でしかないという現実がある
- よく言われる「6割でOK」は自分の中の6割では意味がなく、上司が求める役割を徹底することが重要
- 完璧主義を投資対効果で考えると、100万円投資して90万円しか返ってこない無駄な投資と同じ
- 今までの成功体験を振り返り、完璧主義で得た成果は投資した疲労に見合わないことが多い
- 上司の求める基準に合わせて働く方が、効率的で持続可能な成果を得られる
「完璧主義がゆえになかなか仕事が終わらない…」「また今日も終電か…」
完璧な資料を作るために、何度も何度も修正を重ねる。
自分では100点満点の出来栄えだと思っているのに、上司からは「まあ、こんなものかな」程度の反応しか返ってこない。
もしかして、あなたも同じような経験をしていませんか?
私は32歳で大手ベンチャーの役職者として働いていますが、長い間この完璧主義に苦しめられてきました。
しかし、ある日気づいたんです。完璧主義は、投資対効果の悪い努力の典型例だということに。
この記事では、完璧主義で疲れ果てているあなたに向けて、私が実際に体験した「評価の真実」と、そこから脱却するための具体的な方法をお伝えします。
読み終わる頃には、もっと効率的で、かつ評価される働き方を手に入れることができるでしょう。
完璧主義の「勘違い」を認めよう
あなたの「完璧」は誰の基準?
まず最初に、厳しい現実をお伝えしなければなりません。
組織にいる以上、やった仕事やアウトプットに対して評価をするのは上司であり、お客さんです。あなたが完璧で100点と思ったところで、上司が60点と言えば60点でしかありません。
これは私が何度も痛感してきた事実です。
- 徹夜で作り上げた企画書を「方向性が違う」の一言で却下された時
- 完璧に仕上げたプレゼン資料を「もう少しシンプルに」と言われた時
その度に感じたのは、自分の「完璧」と相手の「完璧」が全く違うということでした。
会社という組織は、どんなに民主的であろうと、最終的には階層構造で成り立っています。評価権限を持つ人が「良い」と言えば良いし、「悪い」と言えば悪い。
これが現実なのです。
完璧主義が生む3つの弊害
その点、完璧主義だから完璧に〜という思考は悪いことではないが、シンプルに弊害があります。
私が実際に経験した弊害は以下の3つです:
1. 時間の無駄遣い
細部にこだわりすぎて、本来1時間で終わる作業に5時間かけてしまう。その結果、他の重要な業務が圧迫され、全体のパフォーマンスが下がる。
2. 精神的疲労の蓄積
「完璧でなければならない」というプレッシャーが常に付きまとい、慢性的なストレス状態に。仕事への楽しさや達成感を感じられなくなる。
3. 周囲との価値観のズレによる孤立感
自分だけが異常に高い基準を設けているため、同僚や部下とのコミュニケーションにも支障をきたす。
あなたの気づきは素晴らしい第一歩
しかし、あなたが譲れずに困っている現状は正しいし、自分の弱点に気づけていることは非常に素晴らしいことです。
多くの人は、完璧主義で疲れていることすら自覚できていません。「これが正しい働き方だ」と思い込んで、ただただ消耗し続けている。
あなたが「完璧主義で疲れている」と認識できているということは、変化への第一歩をすでに踏み出しているということです。この自己認識こそが、今後の成長の基盤となるのです。
「6割でOK」の本当の意味を理解する
自分の6割では意味がない
よく「6割程度でOK」なんて言う人がいますが、自分の中の6割では意味がありません。
これは多くの人が陥る罠です。「完璧主義をやめて、6割くらいの完成度で提出すればいいんだ」と思って手を抜いた結果、上司から「これは20点レベルだ」と言われてしまう。
なぜこんなことが起こるのか?答えは簡単です。あなたの6割と上司の6割は、全く違う基準だからです。
私も以前、「今日は6割の力で資料を作ろう」と思って提出したところ、「君の本気はこの程度なのか?」と言われた経験があります。自分では手を抜いたつもりでも、上司から見れば「期待値を大きく下回る」レベルだったのです。(もちろん、手抜きしたのに評価される逆のパターンもありますが…。)
上司の求める役割を徹底的に把握する
これからやるべきことは、上司に自分の役割や求めているものを聞き、そこにマッチしていくことです。とにかく自分の完璧とか6割ではなく、上司が求める役割を全うしようと頑張るだけで本来いいものです。
具体的には、以下のような質問を上司に投げかけてみてください:
- 「この案件で、私に最も期待されている成果は何ですか?」
- 「完成度としては、どのレベルを目指せばよいでしょうか?」
- 「優先順位が高い要素と、そうでない要素を教えてください」
- 「過去の類似案件で、評価が高かった事例があれば教えてください」
これらの質問をすることで、上司の頭の中にある「合格ライン」を可視化できます。
役割にマッチした努力の集中投下
上司の期待値が分かったら、そこに向けてエネルギーを集中投下します。
今まで分散していた努力を、「上司が求める成果」に一点集中するのです。
実例:私の失敗→成功パターン
【失敗パターン】
売上分析資料を作る際、グラフのデザインに3時間、色合いの調整に1時間かけて完璧な見た目に仕上げた。しかし上司は「数字の根拠が薄い」と一言。
【成功パターン】
上司に「この資料で最も重要なポイントは?」と確認。「数字の信頼性」が最優先と判明。見た目はシンプルにして、データの検証と根拠説明に時間を集中投下。結果、高評価を獲得。
このように、完璧主義のエネルギーを「上司の求める方向」に向けることで、効率的かつ効果的な成果を出せるようになります。
投資対効果で完璧主義を見直す
あなたの成功体験を冷静に分析してみよう
さて、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
完璧主義により得た成功体験は、今のあなたの疲れを全て癒すようなものでしたか?もし完璧主義により最高な成功体験があるのだったら、それを続ければいいし、あなたの完璧主義による細部のこだわりは求められているものとずれていないはずです。
私自身も、過去を振り返ってみました。
確かに完璧主義で成功した案件もありました。しかし、その成功体験は、膨大な時間とエネルギーを費やした対価として見合うものだったでしょうか?
答えは「No」でした。
完璧主義で成功した案件も、8割の力で取り組んだ案件も、最終的な評価や成果にそれほど大きな差はありませんでした。
むしろ、8割の力で取り組んだ案件の方が、余裕を持って他の業務にも取り組めるため、全体的なパフォーマンスは高かったのです。
投資としての完璧主義の収支計算
ただ、成功体験はあったけど、悩み続けるということは、きっとあなたはこの完璧主義が無駄だと気づいているでしょう。そう、投資した分のリターンが今までなかったことに。
これを投資の観点で考えてみましょう。
100万円投資して90万円しか帰ってこない投資とわかっていても、その次の年にあなたはさらに100万円投資をしますか?おそらくしないでしょう。でも100万の投資で120万返ってくるならおそらく、する選択肢が出てくるはずです。
完璧主義も同じです。
あなたが完璧主義に投資している「時間」「エネルギー」「ストレス」に対して、得られるリターンは何でしょうか?
【投資】
- 長時間労働による時間の消費
- 精神的なプレッシャーとストレス
- 他の業務や私生活の犠牲
【リターン】
- 上司からの評価
- 昇進・昇格の可能性
- 給与アップ
- 仕事への満足感
- 周囲からの信頼
これらのリターンが、投資に見合うものでしょうか?
無駄な投資を続ける心理的要因
それでも完璧主義をやめられない理由は、心理的な要因にあります。
サンクコスト効果: 「今まで完璧主義でやってきたから、今さらやめられない」という思い込み。
プライドとの結びつき: 「完璧主義の自分」がアイデンティティの一部になってしまっている。
変化への恐怖: 「手を抜いたら、もっと悪い結果になるのでは?」という不安。
これらの心理的要因を認識することで、客観的な判断ができるようになります。
リターンの高い投資への転換
これと同じで、今までの経験上で、リターンがないなら、完璧主義は人生の投資として無駄だと諦め、上司の求める役割を徹底しましょう。そこに投資をして上司の評価を得ることをリターンとしましょう。
新しい投資先は「上司の期待に応える」ことです。
ここにエネルギーを集中投下することで、以下のようなリターンが期待できます:
【新しい投資戦略のリターン】
- 短期間での評価向上 → 努力が目に見える形で報われる
- 昇進の可能性アップ → キャリアの選択肢が広がる
- 仕事の裁量権拡大 → より面白い案件を任される
- ストレス軽減 → 無駄な悩みから解放される
- プライベート時間の確保 → 人生の充実度が向上
これらのリターンは、完璧主義による成果よりもはるかに大きく、持続可能です。「
【実践】 完璧主義からの脱却ステップ
STEP1:現状の「投資」を可視化する
まずは、現在の完璧主義がどれだけのコストをかけているかを可視化しましょう。
1週間、以下を記録してください:
- 各作業にかけた時間
- そのうち「完璧を目指すため」に費やした時間
- 上司からの評価(5段階)
- 自分の満足度(5段階)
- 疲労度(5段階)
この記録を見ることで、「完璧主義への投資」と「得られるリターン」の関係が明確になります。
STEP2:上司との期待値すり合わせ面談
次に、上司との1on1を設定します。以下の質問を準備しておきましょう:
基本的な期待値の確認
- 「私の役割で、最も重要視すべきポイントは何ですか?」
- 「品質とスピード、どちらを優先すべき案件が多いですか?」
- 「私の強みを活かせる分野はどこだと思いますか?」
具体的な基準の確認
- 「資料作成時、どの程度の完成度で一度見ていただくのがベストですか?」
- 「過去の案件で、『これは良かった』と思うものがあれば教えてください」
- 「逆に、『もう少し工夫が欲しかった』点があれば教えてください」
この面談を通じて、上司の頭の中にある「合格ライン」を明確にします。
STEP3:「最適解」思考への切り替え
完璧主義から「最適解」思考への切り替えを行います。
時間制限の設定 各作業に明確な時間制限を設けます。例えば、「この資料は2時間で仕上げる」と決めたら、2時間経ったら必ず手を止める。
80%ルールの導入 自分の感覚で80%の完成度になったら、一度上司に確認してもらう。この段階で方向性を確認できれば、後戻りのリスクを大幅に減らせます。
優先順位の明確化 上司が重視するポイントを最優先で仕上げ、その他の部分は必要最小限に留める。
STEP4:小さな成功体験の積み重ね
新しいアプローチで小さな成功体験を積み重ねます。
成功の記録
- 上司から「Good」と言われた案件
- 予定より早く完了できた作業
- ストレスを感じずに完成できたタスク
これらを記録することで、「完璧主義でなくても成果は出る」という確信を深めます。
周囲の反応の観察 同僚や部下からの反応も観察してみてください。以前より話しかけやすい雰囲気になったり、相談を受けることが増えたりしていませんか?これも、完璧主義から脱却することの副次的効果です。
継続のためのマインドセット
完璧主義からの脱却を継続するためには、以下のマインドセットが重要です:
完璧主義の「良い部分」は残す 完璧主義のすべてが悪いわけではありません。品質への意識や責任感は、適切に活用すれば強力な武器になります。
長期的な視点を持つ 短期的には「手抜き」に感じられるかもしれませんが、長期的には持続可能で効率的な働き方につながります。
定期的な振り返り 月に1回、上司との面談で「期待値とのズレ」がないかを確認しましょう。
新しい働き方への転換
完璧主義は悪ではありません。しかし、使いどころを間違えると、あなたの貴重な時間とエネルギーを無駄に消費する「投資対効果の悪い努力」になってしまいます。
組織で働く以上、評価は相対的なものです。あなたがどんなに完璧だと思っても、上司や顧客が求めるものとズレていれば、その努力は報われません。
だからこそ、自分の基準ではなく、上司の基準で働くことが重要なのです。
これは決して「手抜き」ではありません。限られたリソースを最も効果的に活用する、戦略的な働き方です。
私は32歳で役職者として働いていますが、この考え方に転換してから、仕事の満足度は格段に上がりました。同じような悩みを抱えているあなたにも、きっと同じ変化が起こるはずです。
完璧主義で疲れ果てた日々から、効率的で評価される働き方へ。その第一歩を、今日から踏み出してみませんか?
筆者の実体験を通じて「投資対効果」の視点から完璧主義を見直すことを提案させていただきましたが、いかがだったでしょうか?完璧主義と検索すると否定的な意見が多いのも事実ですが、あえて「使いどころを変えれば武器になる」という視点で書かせていただきました。
筆者は明確な評価軸を持つ上司のもとで働く方が楽だと感じているため「上司基準」での働き方を推奨していますが、もちろん個人の価値観によって最適解は違うと思っています。ただ、もしあなたが完璧主義で疲れ果てているなら、エネルギーの使いどころを変えるだけで驚くほど楽になるかもしれません。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、自分にとって最適な働き方を見つけるきっかけになれば、筆者冥利に尽きます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
あなたの勇気ある変化を、心から応援しています。