- 上司→部下への仕事の依頼を正当な理由もなく断る人は立場の認識を間違えてしまっている(位置ずれ)
- 依頼する際の指示は「期限」「その時の状態」を明確に絶対指示でするようにする
- 仕事を断る人の共通点は総じて帰属意識が低い
- チームのルール作りを徹底することで、会社への帰属意識を高められる
「仕事を断ってくる人がいて指示が出し辛い」「仕事を依頼しても受けない人がいて仕事がしにくい」
こんな悩みを抱えながら仕事をしていませんか?初めて部下を持ったはいいけど、全く自分の指示を聞いてくれないしやってくれないとなると辛いですよね。しかも断ってくるなんてことをされたら、怒りがグッと込み上げてきます。
筆者もまさに初めて部下を持った際も今もそんなことが度々あるので、気持ちを理解しているつもりです。
しかし、あなたと部下の関係値はもちろん重要ですが、もっと大事なのは組織への帰属意識です。この概念を理解して伝えられるようになると改善できるので、今日は事例を交えつつ紹介をしていきます。
仕事を断る背景は位置ずれ(立場の勘違い)にあり
部下と上司という関係性において、そもそも仕事を断られることはありえない行為です。理不尽なこと(その人だけに仕事が集中しているなど)は置いておいて、前提として断るには正当な理由が必要になります。
仮に断られたとしても、それを認めずに「なぜできないのですか?」と正当な理由を求める対応をするようにしましょう。
「ただやりたくない」「私の仕事ではない」というのであれば、まずその人自身に「ここからここまでが私の仕事です」といったことを一方的に決める権利がないということをしっかりと伝えてあげる必要があります。
会社組織の中での役割や組織図というのがあると思いますが、基本的には上から下に業務が落ちていき、上司の求めることをしっかり全うするのが部下です。断るということは、そもそもその部下を評価するに値しないということになります。
評価に値しない点は、そのまま伝える必要ないですが、あなた自身が認識をしておきましょう。
断れるのはあなたの責任でもある
ただし、この断られるという場合は、もしかしたら部下にやるべき役割というのを伝えきれていないという自分自身の問題がある可能性も高いです。
一人一人に役割というのが必ずあると思いますが、指示をしたときに「これは私の仕事ではありません」というのは、自分の会社への所属意識がすごく低いということを示しています。
会社からお給料をもらって雇われている限り、私の仕事ではないという概念はまずなく、自分が所属する会社の仕事なのです。
仮に家族でトラブルが起きて警察沙汰になったとしましょう。その際に、私の母親と父親は私の管轄外なので関係ないです。他人ですから〜と言っても、親子関係があれば少なからず他人ではなく当事者の1人であることは変わらないと思います。極端な例かもしれませんがこういうことです。
効果的な業務指示の方法
「ちゃんとやってください」だけだとなかなか曖昧だとか不完全な指示になってしまうので、「11月12日の12時までに必ずここまでやってください」という完全結果で指示を出すようにしましょう。
例えばマラソンの場合は42.195キロを走ってくださいと言われるとします。
これをAさんはプロ並みに3時間で走り切る。
Bさんは5時間かけて走り切る
どう考えても3時間で走ったAさんの方が評価されるべきであるのですが、指示が「42.195キロを走ってください」だけだと、別に10時間かけた人も走りきっているので、「自分も指示通りちゃんと走りきりましたよ」と言えてしまうのです。
さらに、「Aさんの方が若いし…」「普段からAさんの方が運動をしているし」なんて理由までつけてきたら終わりが見えません。
これは5時間かけて走ったBさんは悪くなく、指示の曖昧さが悪いです。つまり指示を出す方の怠慢により、認識の相違が出て誰も得をしない結果になっているのです。
指示を出す時点で
- 「42.195キロを5時間以内で絶対に走ってください」
- 「目安として21キロ地点は1時間半で通過をしてください」
- 「21キロ過ぎた時点で今何分で通過していますというのは報告ください」
とここまで細かく指示をしてあげないと、「本当にあの人が期限までに終わるのかな」「本当にあの人が取り組んでくれるのかな」と依頼している方も疑念が生まれますし、相手からしても細かく指示がされていないのでとりあえず期限までに終わらせばいいだろうというテンションでやってきます。
これは途中の確認だとかスタートしたかしてないかといったような進捗が見えないことによって、とりあえず「私は終わりました」ということができてしまうのです。
ゴールの概念というのは人によって違うので、これも終わったときにトラブルになる原因なので、必ず依頼する上で完全結果の依頼の仕方をしてあげないといけません。
仕事を断る人の特徴と対応
所属意識の低さ
仕事を断ってくる人の特徴としては、シンプルに位置(立場)の認識がずれてしまっているということがあります。冒頭でも話しましたが、会社の組織に属している一員だという認識がそもそももうないに等しい人である可能性が高いです。
「自分のペースで仕事をしていきたい、自分のやりたいことをやりたい」というのであれば、これは会社に所属している意味がありません。
あくまで会社に所属しているということは、会社に貢献するということがまず一番大事です。その人が活躍しようがしまいが、会社は必ずその人に決まったお金を払うことはもう雇った時点で決まっていることなのです。
なかなかそこまで一般の社員は考えられないかもしれませんが、これはれっきとした事実です。となったときに、その人の所属意識が低いというのは、これはもう弊害でしかありません。周りにとっても良い影響を与えかねないので、まず所属意識を高めてもらうということを必ず実践してください。
帰属意識の高め方
この所属意識を高めるということは、例えば
- 会社に入ってくるときは必ず挨拶をしてください
- 1週間の数字報告を月曜日の12時までに絶対にしてください
- 人を呼ぶときは「〇〇さん」付けで呼ぶ
など、姿勢のルールを必ず守らせることによって帰属意識は上がっていきます。
この姿勢のルールというのは誰でも意識できるルールのことを意味します。
今日入社してきた新卒の子であっても、入るときに「おはようございます」というのはできますよね。業務の右も左もわからなくても、とりあえず月曜日の10時までに報告を出すことはできます(内容はともかくとして)。といった、誰でも守れることをまず守らせることから始めてください。
このときに気をつけるべきことは、その人だけにやらせると不平不満が出るので必ずチーム全体にルールを徹底させてください。
これは今できている人からすると不平不満が出るかもしれませんが、あくまで会社の組織としてチームとして動いているので、法律と同じで必ずみんなにルールを徹底させましょう。
1人だけ犯罪が許されるということは日本でもないと思いますが、それと同じくみんなに守らせることで帰属意識が高まるのです。
新しいことへの抵抗
二つ目は、何か新しいことや自分がわからないことに挑戦するのが嫌だという可能性があります。
やはり経験をしたことがないような新しいことに挑戦することは誰もがストレスを感じるところです。なのでネガティブな感情を持つこと自体は何も不思議な行動ではありません。
ただ、だからこそ上司側だったり仕事を依頼する人側が、相手のことを思ってそこを突破させないといけません。本当にその人のことを思うのであれば、どんなに嫌な断られ方をしても突破させてあげるというのが役割になります
突破のさせ方は短期的なゴール設定
例えば42.195キロを3時間で走ってくださいという指示であれば、「5キロまではとりあえず3番手の位置をキープしてください。10キロまではもう1位の集団じゃなくてもいいので、2位集団の中から置いてかれないようにしてください」
というように、何km時点では〜、何km時点では〜と、短期的なゴール設定をしつつ指示を出します。
あとはその進捗状況を2人で確認していけばいいです。
指示のように「5km地点、3番手キープといったのに10番手であれば、もっとペースをあげないと次の指示の10km地点でもマイナスになってしまう」
あるいは、「このレースはどう頑張っても優勝は無理だから5位以内に入れるように10km地点の作戦はこれに変更する」
などなど、ゴールの手前に短期的なゴールと振り返れるポイントがあれば、作戦の変更だって可能になるのです。
これにより、たとえ経験をしたことが内容なことでも、建設的なコミュニケーションが取れるようになりますし、その人自身の壁も取っ払ってあげることができるのです。長期だとゴールは遠く見えますが、短期地点にゴールがあればとりあえず走ることは可能になりますから。
なので、必ず短期的なゴールを完全結果として指示をしてあげましょう。
個に寄り添うより帰属意識
仕事を断ってくる部下に対して帰属意識を高めることや、短期的なゴール設定の大切さを書いていきましたがいかがだったでしょうか?
文章を通じて忘れないでほしいのは、部下に対してもルールを求めるけど、その際に自分だってルールの対象者であることを忘れないことです。
部下の帰属意識を高めれば、自分の位置を理解し仕事を断るなんて行動が減ると思いますが、あなた自身がルールを守らなければすぐに部下の帰属意識なんて崩壊します。
「だって上司がやってないんだから」という言葉と共に…。
筆者の経験上も踏まえ、役職持ちになったからと言って思ったより権限がないなんてことも多いと思いますが、あなたが役職持ちになれた事実こそが、あなたが優秀な証拠です。
今まではプレイヤーとしての実力や結果が求められてきましたが、管理職はマネジメントやチームとしての成果が求められます。
同じ会社、同じ同僚といると変わり映えがないかもしれませんが、求められるものが変わるということは動き方や振る舞いを180度変えないといけません。
そういった意味で、帰属意識を高めるためのルール作りというのは、役職持ちになった初めて実行することに一番くらい向いているので、勇気を振り絞ってルール作りをして “仕事を断ることが普通ではない行為” という認識をメンバーにも持たせるようにしましょう。
この記事を読んだ1人でも多くの方のストレスが軽くなれば筆者冥利に尽きます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。