- アイディアだけ送る人は「良いことをしている」と勘違いしているが、実際は実行責任を負わずに評価者気取りになっている
- 「アイディアマン」という言葉はポジティブに聞こえるが、実行力のない人を指している場合も多い
- アイディアだけの人と実行者では土俵が違う – 相手は提案するだけ、こちらは結果を出すことがゴール
- 対処法は「感謝しつつ境界線を引く」「実行責任を相手に返す」「フォーマット化して無制限な提案を防ぐ」
- 現代のビジネスではアイディアよりも実行力こそが最も評価される能力である
職場で「これいいアイディアだと思うんだけど、どう?」というメッセージをもらったことはありませんか?最初は建設的な意見交換だと思っていても、だんだんとその人がアイディアを出すだけで何も実行しないことに気づいて、モヤモヤを感じている方は多いのではないでしょうか。
32歳で大手ベンチャー企業の役職者として働く私も、実行力が高いという評価をいただいているせいか、日常的にこのような「アイディアだけマン」からの提案を受けることがあります。今回は、そんな状況に困っている会社員の皆さんに向けて、この問題の本質と具体的な対処法をお伝えします。
アイディアだけ送る人の正体を理解しよう
本人は「良いことをしている」と勘違いしている
アイディアだけを送ってくる人の多くは、自分が建設的で価値のある貢献をしていると本気で思っています。特に年配の方に多く見られる傾向ですが、立場を完全に間違えてしまっているのが問題の核心です。
自分が実施できない、実施するつもりもないのに、どこか評価者のような立場に立って意見をしてしまう。この時点で、すでに大きくズレているのです。
例えば、「会社はもっと○○の事業に力を入れた方がいい」なんて意見を言ってくる人がいませんか?そんな時、こう問い返してみてください。
- それはなぜ?
- 試算はある?
- 誰がやるの?
- あなたができるの?
ただの評価する権利もないのに評価者になってしまっている状態なのです。もしあなた自身がこのような発言をしたことがあるなら、アイディアだけマンの予備軍かもしれません。気をつけましょう。
「アイディアマン」という言葉の落とし穴
「アイディアマン」という言葉は、一見ポジティブに聞こえますが、実は両面性があります。アイディアばかり出して実施に移れない人を指している場合も多いのです。
もしアイディアを出すことが求められている役割であれば、それは褒め言葉として受け取り、徹底的にやればいいでしょう。しかし、一般的な仕事ではアイディアを出すだけでなく、実行力、推進力、そして評価者が求めることを全うすることが求められます。
アイディアだけ出すだけで評価されると思っていたら大間違いです。そして、アイディアを出すことがアウトプットだと思っていたら、それは大きな勘違いです。
私の実体験から学ぶ対処法
私も実行力が高いという評価のおかげで、よくざっくりとしたアイディアを送られがちです。「この人ならざっくりでも形にしてくれるだろう」と思われているのでしょう。
しかし、私はいつもこのような返信をしています。
パターン1:建設的だが具体性に欠ける場合 「確かにいいアイディアですね!やることリストに入れて優先度をつけてやってみます」
(本音:いいアイディアだと思うけど、アイディアベースでは時間がかかるし、他の案件もあるから優先度は高くない)
パターン2:論理的な裏付けが不足している場合 「おっしゃる通りですね!ぜひ実現に向けてお力添えできればと思うのですが、試算などありますか?」
(本音:いいアイディアだと思うけど、ただのアイディアレベルで論理的な話が全くない)
パターン3:正直微妙だと感じる場合 「アイディアいただきありがとうございます!その他案件の優先度を整理して取り組んでいますね、順番が来たら議論しましょう」
(本音:正直渋いアイディアだなと思った場合)
根本的な考え方:土俵が違うと認識する
アイディアだけを出す人と私たち実行者では、そもそも土俵が違うと捉えることが重要です。
私たちは案件の実施や推進、そして結果を出すことがゴールです。一方、相手は「こんなのどうかな?」と言っているだけで、そもそも土俵が違うのです。
ただし、評価者である上司の意見であれば話は別です。その場合は、しっかりと噛み砕いた上で「これは実現しましょう」「これは優先度が下がるかも」などとコミュニケーションを取りつつ、すり合わせが必要です。
それ以外からの意見については、良いものは取り入れ、疑問符のつくものは間に受けず、なんとなく受け流せるような手段やフォーマットを持っておけばよいのです。
実践的な対処法5つのステップ
1. 感謝を見せつつ、境界線を引く
アイディアを受け取った時の基本的な対応として、感謝の気持ちは示しながらも、明確な境界線を引くことが重要です。
- 「いい意見ですね、具体的にどう進めればいいですか?」
- 「ご提案ありがとうございます、実現可能性を一緒に検討しましょう」
このように返すと、相手も責任を共有せざるを得なくなります。
2. その場で全部抱え込まない
「検討リストに入れておきます」「優先順位を整理してから進めます」といった返答で、「受け取ったけど今すぐはやらない」ということを伝えることが重要です。
3. 実行責任を明確にする
アイディアを具体的な行動に落とす段階で、以下のように仕分けしましょう。
- 実行主体を明記する(あなた or 相手 or チーム)
- 期限を切る
- 成果物を明確にする
例:「この施策いいですね!では、○○さんが叩き台を作っていただけますか?」
このように実行を相手にボール返しすることで、本気度を測ることができます。
4. 実行力のないアイディアを減らす仕組みを作る
組織的な改善として、以下のような仕組みを導入することをお勧めします。
アイディア共有のフォーマットを作る
- 「目的」「想定効果」「実現方法」「必要工数」を必須項目にする
- 定例会などに集約して、無制限にチャットで送らせない
5. 心の持ち方を変える
最終的には、アイディアだけを送ってくる人への捉え方を変えることが大切です。
「口だけで実行ができない人なんだな。アイディアマンって言葉をプラスに捉えてしまっているんだな。かわいそうだ」
くらいに思えばよいのです。相手に悪気はないことがほとんどですが、結果的に周囲に負担をかけていることは事実です。
実行力こそが真の価値
アイディアは確かに重要ですが、それだけでは何の価値も生まれません。現代のビジネス環境では、アイディアを形にして結果を出す実行力こそが最も評価される能力です。
アイディアだけマンに振り回されることなく、自分のペースで着実に成果を出していくことが、長期的なキャリア形成において最も重要です。今回ご紹介した対処法を参考に、健全な職場環境を作り上げていってください。
そして、もしあなた自身がアイディアを提案する立場になった時は、必ず実行まで責任を持つ姿勢を忘れないでください。それが、真のプロフェッショナルとしての在り方なのです。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、アイディアだけマンとの向き合い方を見つけて、職場での無駄なストレスから解放され、本来の業務に集中できるようになることを願っています。皆さんの職場での悩みが1つでも減れば筆者冥利に尽きます。最後まで見ていただき、ありがとうございました!