- 裁量がない仕事にも、多数派で入れることなどメリットが存在する
- 裁量と責任は表裏一体であり、単に自由が増えるわけはでないことは理解すべき
- 裁量がある人の方が、失敗の責任がダイレクトにくるなど実はストレスを感じている人が多い
- キャリアップを目指すなら裁量がある仕事を選択して、ストレスでもバシバシ責任がある仕事をすべき
「会社で裁量がなくて成長しているか不安」「裁量がなくてモチベーションが上がらない」「言われたことばかりの仕事をしている」
こんな不満を抱きながら毎日会社へ行っていませんか?成長が感じられないと仕事をする意味が見出せなく、モチベーションの低下や漠然とした将来の不安を感じやすくなりますよね。
しかし、裁量がないこと自体はデメリットばかりではないのです。そして以外な事実かもしれませんが裁量がある人の方が違うストレスを感じていることだって多々あります。
今日は、裁量がめちゃくちゃある立場と、裁量がめちゃくちゃない立場を経験してきた筆者だからこそかける、両面の良さ悪さ、そして現実について説明していきます。
裁量がないメリット
実は裁量がないことにも、意外なメリットがあります。今回は、裁量のない職場で働くことの意外なメリットを3つご紹介します。これらを知ることで、現在の環境を新たな視点で見直すきっかけになるかもしれません。
責任が軽い
多くの人は裁量がないことイコール責任が重いと考えがちです。しかし、実際はその逆なのです。裁量がない立場では、言われたことをこなすだけで十分です。全社員の給与に影響を与えるような重大な責任を負うことはありません。
一方で、裁量のある立場の人ほど、表面上は見えない責任を負っていることが多いのです。裁量がないからこそ、心理的な負担が軽くなる面があります。
退職がしやすい
裁量のないポジションは、組織の中で比較的代替が効きやすい立場です。そのため、新しいキャリアに挑戦したいと思ったときに退職の決断がしやすくなります。
重要なプロジェクトの途中で急に抜けることになる心配も少なく、次のステップに進むタイミングを自分で選びやすいのです。
人間関係が実は楽
裁量のない立場は組織の中で多数派です。同じような立場の同僚が多いため、共感し合える仲間を見つけやすく人間関係の面でストレスが少ない傾向があります。
競争が激しい環境に比べ、協調性を重視した関係性を築きやすいのも特徴です。
これらのメリットを理解することで、現在の環境を新たな視点で見直すことができるかもしれません。もちろん、個人の成長や自己実現を目指すことは大切です。しかし、現在の立場にもメリットがあることを認識し、それを活かしながら次のステップを考えることも、キャリア形成の上で重要な視点となるでしょう。
裁量がないデメリット
裁量のない職場で働くことの4つの重要なデメリットについて掘り下げていきます。これらの問題点を認識することで、自身のキャリアについて新たな視点を得られるかもしれません。
成長の実感が得られにくい
裁量のない環境では、日々の業務が単調になりがちです。同じタスクを繰り返すだけでは、新しいスキルを身につけたり、能力を伸ばしたりする機会が限られてしまいます。
その結果、「自分が成長している」という実感を得ることが難しくなり、キャリアの停滞感、モチベーションの低下にもつながります。自己成長の機会が乏しい環境では、長期的なキャリアビジョンを描くことも困難になるでしょう。
ただ、実感が得られないだけで、実は成長をしていることが多々ある点も忘れてはいけません。人間は比較対象がないと変化に気付けないものなので、成長しているか否かは転職をした時や他の部署に行った時に初めて感じるなんてことも多々あります。
「これやっといてよかったな」「あれって上司の雑用に思ってたけど実はどこでも使えるスキルだったんだー」
こんなことはあるあるです。
逆に言えば、どこでも役立つと思っているスキルが他の会社に言ったらそもそも求められてなかったり、その会社特有のローカルルールだったなんてこともあるので、今の成長が感じられないという気持ちに疑問符を持つことも重要なのです。
意思決定能力の低下
常に指示を待って動く習慣が身につくと自分で判断し決定する能力が徐々に失われていく可能性があります。これは、単に仕事上のスキルだけでなく日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。
「YESマン」なんて言葉があるよう、自己決定力の欠如は、将来的にマネジメント職や他社へのキャリアステップを目指す際の大きな障壁となる可能性があります。
意志、志が対してないような人を雇いたいなんて誰も思いませんから…。
仕事のスピード感の欠如
裁量がない環境では、あらゆる決定や行動に上司の承認が必要となることが多くあります。これにより、業務のスピードが著しく低下することでしょう。
もちろん上司に承認を得ながら仕事を進めることは大正解ですが、迅速な対応が求められるビジネス環境において、裁量がない故のこの遅さは、個人の評価だけでなく組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があります。
その遅いスピードがやがて普通になってしまうと、あなた自身が遅い人になってしまう人なので、今の遅いという感覚は決して忘れてはいけません。
我慢が仕事の一部になってしまう
裁量のない環境では、自分の意見や創造性を抑えざるを得ない場面が多くなります。常に指示に従うだけの立場では、自分のアイデアや改善案を実行に移す機会が限られてしまいます。
この状況が続くと、「我慢すること」自体が仕事の一部になってしまい、職場でのストレスや不満が蓄積されていく可能性があります。
裁量と引き換えに責任を取れるならベンチャー企業へ
裁量が欲しいと強く感じる人には、社員数の少ないベンチャー企業への転職をおすすめします。
特に、創業間もない企業は社風がまだ固まっていないこともあり、柔軟に対応ができるベンチャー気質の高い人材が集まっていたり、そもそも少数精鋭のため個人の裁量が大きい傾向があるためです。
このような環境では、自身のアイデアを実現させやすく、仕事への影響力も大きくなります。
裁量と責任は表裏一体
しかし、ここで重要な点があります。裁量があるということはそれに見合った責任も伴うということです。以下の点を十分に理解しておく必要があります:
- 裁量 = 責任であること
- 無責任なサラリーマン気質の人には向かない
- 雇用形態は会社員でも、経営思考も入れる必要がある
裁量のあるポジションは単に「自由」があるわけではありません。自分の事業として会社を成長させるという強い意志と自負が必要です。
裁量がある立場の人は、会社の資金を使用する権限、人材配置や活用する権限があることから、無責任または能力不足の人が裁量を持ってしまうと会社に大きな損害を与える可能性があります。
会社の資金が減少する、指示を受けて働いた社員にも何のメリットもない、全員に不利益が生じると最悪な結果になるリスクと隣り合わせなので、裁量=自由と勘違いしてはいけないのです。それ相応の責任とリスクを背負う覚悟が必要不可欠です。
- 自分は責任を全うする覚悟があるか?
- 会社の成長のために、どのようなビジョンを持っているか?
- 必要なスキルや知識は十分か?不足している部分はないか?
自分自身に問いかけ、これらの問いに明確に答えられない場合は、今の裁量がない状況の方が向いているのかもしれません。
序盤でも話しましたが、裁量がないことには会社員としてのメリットはあるので、ここと天秤にかけつつキャリアプランを考えていくと良いでしょう。
実際は裁量がある方がストレスの人の方が多い
これまで、裁量のない職場のメリットとデメリット、そして裁量を求める際の注意点について見てきました。しかし、実際には裁量がある立場の方が予想以上にストレスを感じている人が多いのも事実です。
ここでは、裁量のある職場で直面する可能性のある5つの課題と、それらがもたらす成長の機会について詳しく見ていきましょう。
常に選択を迫られる状況
裁量のある立場に就くと、多くの人が予想もしなかった現実に直面します。それは、日常的に数多くの意思決定を求められるという状況です。一見、自由に決められることは魅力的に映るかもしれません。しかし、実際にはこの「選択の自由」が大きなストレス源となることがあります。
裁量のある立場では、考える機会が格段に増えます。些細な判断から重要な決定まで、常に自分で選択を下さなければなりません。この決断の連続は、精神的な負担を著しく増大させます。「この選択は正しいのだろうか」「もし失敗したらどうしよう」といった不安が常につきまとうのです。
一方で、この状況は批判的思考力や問題解決能力を鍛える絶好の機会でもあります。様々な角度から問題を分析し、最適な解決策を見出す能力は、この過程を通じて磨かれていきます。しかし、そのプロセス自体が大きな精神的ストレスをもたらす可能性があることも事実です。
裁量のない立場では、多くの決定が上司や会社の方針によってなされるため、このような精神的負担は比較的少ないと言えるでしょう。裁量のある立場の人々は、この「選択のストレス」と日々向き合いながら仕事をしているのです。
失敗の責任が直接的に降りかかる
裁量のある立場では、自由に決定を下せる反面、その決定に対する責任も直接的に負うことになります。これは、裁量のない立場とは大きく異なる点です。裁量がある分、失敗のリスクも必然的に高まります。
失敗の機会が増えるということは、成功の機会も増えるということですが、多くの人にとっては失敗の方が心理的インパクトが大きいものです。特に、重要な決定で失敗したときのダメージは計り知れません。
「自分はセンスがないのではないか」「この仕事に向いていないのかもしれない」といった自信喪失に陥りやすい環境に身を置くことになるのです。
この状況は、回復力を鍛える絶好の機会にもなります。失敗から学び、立ち直る力を養うことができるからです。しかし、精神的にタフでない人にとっては、この環境が大きな負担となる可能性があります。常に失敗のリスクと向き合い、その責任を負う覚悟が求められるのです。
裁量のない立場では、多くの場合、失敗の責任は直接的には問われません。指示通りに動いていれば、たとえ結果が芳しくなくても、個人が大きな責任を負うことは少ないでしょう。この点で、裁量のある立場の方がはるかに大きなストレスを抱えているといえます。
仲間の減少と孤独感
裁量のある立場に就くと、意外にも「仲間の減少」という現象に直面することがあります。多くの組織では裁量のある立場の人は少数派です。大多数の社員は指示されたことをこなすだけの立場にあることが多いのが現実です。
例えば、職場の飲み会での会話。多くの社員が会社や上司の愚痴を言い合う中で、裁量のある立場の人はそれらに共感できなくなることがあります。
なぜなら、自分で決定を下す立場にある以上、単純に「会社が悪い」「上司が無能だ」といった論調に乗れないからです。これは自分のステージが上がった証明でもありますが、人間関係の面では大きな変化を意味します。
「仲間」と思っていた人々との距離感が変わり孤独を感じることで、承認欲求の強い人にとってはこの状況が辛いものとなる可能性があります。周囲から理解されないし共感されないという感覚は大きなストレス源となり得るのです。
自己責任の増大
裁量のある立場に就くと、「自己責任」の範囲が大きく拡大します。今まで他人のせいにしていたことも自分の責任として捉えなければならなくなるということです。
例えば、プロジェクトの遅延や予算超過。裁量のない立場では「上司の指示に従っただけ」と言い逃れができる場面でも、裁量のある立場ではそうはいきません。言い訳が通用しなくなり、全ての結果を自分で引き受けなければならなくなるのです。
この状況は責任感が鍛えられ、真の意味でのリーダーシップを身につける機会となることは確かですが、「自分のせいではないのに、自分が失敗みたいになる」なんてことを受け入れるには時間がかかります。
裁量のある立場の人々は、この「自己責任」という重圧と日々向き合いながら仕事をしているのです。
ハイレベルなコミュニケーションの要求
裁量のある立場では、様々なステークホルダーとのコミュニケーションが増え、そのレベルも格段に上がります。特に顕著なのは、自分よりも実力、スキル、権限がある人を相手にすることが多くなるという点です。
経営陣、取引先の重役、ベテラン社員など、様々な「大物」とやり取りする機会が増えます。これは単純にストレスを感じやすい状況と言えるでしょう。自分の言動が会社の方針や重要な決定に影響を与える可能性があるため、一言一句に神経を使う必要があるからです。
仕事の責任感に焦点が当たりがちですが、こういった「コミュニケーションの重圧」とも向き合いながら仕事をする必要があるのです。
裁量とストレスをセットで取るのが重要
ここまで裁量があることのメリットデメリット、さらに裁量がある人ほど以外にストレスを抱えているなんて事実を書いていきましたがいかがだったでしょうか?
この言葉が合っているかはわかりませんが、学生時代は「大人ってお金も自由に使えていいな〜」と思っていたけど、大人になってみると「学生時代ってよかったんだな〜」って思うような感覚に似ている気がします。
学生の時は制限が合って大人に憧れたけど、大人になった今は学生の頃の方がお金はなかったけど制限も少なく楽しかったな…と。
裁量がある人は自由に見えるものですが、裁量があるが故に考えたり戦わざる得ないことの方が多いものなのです。
ただ、その上で筆者は裁量がある仕事をした方が楽しい!って言いきれます。シンプルにストレスを感じる機会は多くなりますが、その分打ち返せるチャンスが多いためです。
裁量がない時の上司からのストレスは上司がいない限りなくならないのかもしれませんが、裁量がある状態の上司部下売り上げ取引先予算業績経営なんていろんな指標があると、1つのことに固執もしていられませんから、ゲームのように1つ1つクリアせざる得ない状況に陥ります。
大変なことはもちろんなのですが、通勤時間なども合わせれば1日の半分くらいは仕事に費やしているわけです。であればこの時間がゲームのようにイベント盛りだくさんになるに越した方がいいですよね。時間もすぐ過ぎますし。
結果としてキャリアップの転職時などにも職歴として話せることも多くなり、キャリアという視点で見たら裁量を持って仕事することはメリットの方が大きいと筆者は見ています。
捉え方は人それぞれかもしれませんが、この記事を通して、「裁量」そして「キャリア」について少しでも考えるきっかけになれば筆者冥利につきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。