- 周囲から見てもオワコンでも市場自体が伸びていればオワコンではない
- 落ち目やオワコンと見られているほど、ちょっと成果を上げれば評価がドーンと上がるから実はチャンス
- 本当に落ち目で浮上が難しい事業なら、一般社員でもサ”ービス終了”を提案する勇気が必要
- オワコンだけどとりあえず延命的な人材配置で”負け癖”がついたらキャリア自体が終わるから注意
「オワコンな部署に配属された」「落ち目の事業を任された…」
配属ガチャを外してしまったのか、オワコン、落ち目と言われるような仕事を任されて不安になっていませんか?どこの会社でもはずれ部署なんてものは存在がするので、決して珍しいことではないでしょう。
しかし、本当にオワコンなのか?と言われたら事実はそうとも言い切れない可能性だって十分あります。
実際に筆者も99%以上が女性ユーザーの女性向けのサービスを提供する会社で男性向けの事業を任され、「どう見ても女性ばっかしか、うちのサービスにはいないし難しい」と言われた状況から逆転したことがあります。
会社単位で見るとオワコンでも、市場単位で見ると男性向けの売上規模も伸びていたため、事実はオワコンではなかった良い事例です。筆者が思うに、あなたの事業だってそんな可能性を秘めた事業かもしれないと思っています。
今日は、オワコンな事業の定義から、評価のこと、そしてはオワコンであれば引き際も大事ということについて詳しく説明をしていきます。
本当にその事業はオワコンなのかを確かめる
「落ち目の事業(オワコン)」と言われる部署への配属について、まずは冷静に状況を分析することから始めましょう。
重要なのは本当の意味で「落ち目」なのかどうかを、事実に基づいて正確に判断することです。安易に周囲の評価を受け入れるのではなく自分自身でしっかりと状況を見極める必要があります。
この判断において重要なのは「会社から見た落ち目」と「市場から見た落ち目」を区別することです。
この2つは全く異なる意味を持ちます。たとえば、市場自体は成長しているにもかかわらず、社内の他部署(AやB、C部署など)と比較して業績が低いために「落ち目」と見なされているケースがあります。
このような場合、担当メンバーの努力次第で状況を改善できる可能性が十分にあります。会社内での相対的な評価は必ずしもその事業の本質的な価値を表しているわけではありません。
一方で、市場自体が縮小している場合は本当の意味での「落ち目」と判断できます。例えば、スマートフォン全盛の現代にガラケーを主力商品として売り出そうとするような状況です。
このような場合、どんなに努力しても成果を上げることは困難です。そのため、自分自身の立場や環境を変えることも検討する必要があるでしょう。
市場が伸びていれば期待とも判断できる
経営層や上司があなたをその部署に配属したということは、むしろ「担当によっては伸ばせる」という期待が込められている可能性が高いです。
その場合、落ち込むのではなく、期待に応えるチャンスだと捉えて前向きに取り組むことが得策となります。経営層は将来性のある部署ほど優秀な人材を配置する傾向があります。
つまり、「オワコン」や「落ち目」という言葉に惑わされず、まずは自分自身で事実を正確に把握することが重要です。その上で市場の状況や会社の期待を理解し、適切な行動を取ることができるのです。
安易に悲観的な見方をするのではなく客観的な事実に基づいて判断を行い、その結果に応じて前向きな対応を取っていくことが、キャリアを築く上で重要な姿勢となります。
落ち目の事業を伸ばしたら評価が上がりやすい
「落ち目の事業」と言われる部署はむしろ大きなチャンスと捉えることができます。なぜなら、そのような部署は業績が低迷していたり成果を上げづらいと認識されているからこそ、わずかな改善でも大きな評価につながる可能性があるからです。これは好調な部署との大きな違いです。
例えば、順調な部署では業績を60や70から80、90といった高水準まで引き上げなければ大きな評価の向上は望めません。もちろん、評価が下がることはありませんが劇的に上がることも期待できません。安定はしているものの、際立った評価を得るのは難しい状況といえます。
一方、落ち目と言われる事業では、マイナスをゼロにするだけでも十分です。さらに、そこからわずかでもプラスに転じた場合、非常に高い評価を得ることができます。
これは「今までできなかったことができた」「前の体制ではできなかったことが、今の体制でできた」という明確な成果として認識されるためです。
好調な部署の場合、システムが確立されているため担当者が変わっても一定の成果を上げられる可能性があります。しかし、落ち目の事業は変化が明確に見えやすく、プラスに転じただけでも大きな評価につながります。たとえ絶対的な利益が小さくても、マイナスから利益が出る状態に変わるだけで会社にとっては大きなプラスとなるのです。
周囲から「オワコン」と言われても、「実は俺(私)、ラッキーだと思っているんだよね」という前向きな姿勢で取り組むことで、より良い結果につながるでしょう。
落ち目ならトドメを刺す勇気を持てると尚更良い
本当に努力しても成長が見込めない事業に対しては、「撤退」という選択肢を真剣に検討する勇気も必要です。
前述したよう、スマートフォン時代にガラケーを主力製品とするようなケースでは、個人の努力だけでは克服できない時代背景や市場環境の問題が存在します。
このような状況で「事業の終了」を提案することは気が引ける思いだと思いますが、会社にとってはむしろ価値のある判断となることがあります。
また、事業の閉鎖を経験することは比較的珍しく、その経験自体が意外にも評価の対象となります。事業を成長させる経験も重要ですが、適切な「守り」の判断ができる人材も同様に価値があるのです。
ただし、ここでいう「とどめを刺す」とは、単に事業を突然終了させることではありません。市場調査に基づく綿密な分析と、具体的な事実の積み重ねが重要です。
例えば「これまでの成長を支えていたトリガーとなる要素が実はなくなっている」「業界構造の変化により、従来の事業モデルが成立しなくなった」といった具体的な根拠を示す必要があります。
そして上司に対して、
「この事業を立て直すには、新たなパートナーの発掘や大規模な投資が必要です。現状では成功の見通しが立ちにくい状況ですが、どのように対応すべきでしょうか?
「もし現状維持での継続が求められるのであれば、できる限りの努力は致します」
というような、建設的な提案を行うことが重要です。
実は、このような提案は上司にとっても貴重な情報となります。なぜなら、単に「頑張ります」と言われると、上司も適切なアドバイスや判断が難しくなるからです。根性論だけでは解決できない構造的な問題があることを、具体的な事実とともに伝えることでより適切な経営判断が可能になります。
このような冷静な分析と勇気ある提案ができる人は高く評価されます。会社の持続的な成長のためには、時には撤退という判断も必要であり、それを適切に提案できる人材は貴重な存在なのです。
一般社員だから権限はないと諦めるのではなく、一般社員だからこそわかることだってあるし、一般社員と差別化する行動をとるためにも必要な勇気です。
筆者の実例
筆者の実体験に基づく事例を紹介します。
年間5000万円のシステム費用を支払って運営していたサービスがありました。このサービスは年間1億円近い売上があり、一見うまくいっているように見えました。しかし、システム費用に加えて他の諸経費を差し引くと、実質的な利益はほとんどなく、時にはマイナスになる月もありました。
このサービスの構造的な問題として、売上が伸びても料率制のため、最大でも5%程度しか利益が出ない仕組みでした。さらに、システムを提供していたのはグループ会社だったため、サービスが終了しても契約上年間5000万円の支払いは継続する必要がありました。
この状況を分析した結果、「わずか5%の利益のために、年間5000万円のシステム費用を支払い続けることは妥当か?」という問題提起を行いました。確かに1億円の売上は失われますが、実質的な利益が出ていない状況では、むしろサービスを終了し、システム会社との契約を見直す方が会社にとって有益ではないか?という提案です。
経営陣と将来性も含めて検討した結果、わずか5%の利益のために人材を配置し続けることは非効率だと判断し、サービスの終了を決定しました。
この決定により、会社全体としては年間5000万円の固定費削減と人材リソースの有効活用という大きなメリットを得ることができました。このように、時には担当者だからこそ、事業撤退の判断を提案できる立場にあるということを理解することが重要です。
敗戦処理的な配置であれば環境を変えるべき
多くの会社には、誰が見ても厳しいと分かる事業が一つや二つは存在するものです。しかし、一定の売上や利益がある以上すぐに撤退することもできず、結果として「誰かがやらなければならない仕事」として存在し続けます。
このような部署への配置が「敗戦処理」つまり単なる延命のための配置だと感じた場合、環境を変えることを真剣に検討すべきです。特に、先に述べたような「市場の成長性がない」ケースでは、なおさらその必要性が高まります。
負け癖がついたらキャリアは終わる
理由として最も重要なのが「負け癖」の問題です。
継続的な業績低下が常態化すると、「下がり続けるのが当たり前」という意識が定着してしまいます。周囲が数字の達成に向けて努力している中で、「いつも通り下がっているからしょうがない」という諦めの思考に陥りやすくなります。
このような状態が続くと考える力が徐々に失われ知識のアップデートも止まり、結果として自身の成長が停滞してしまいます。新しいスキルや知識を習得する機会も失われていくのです。
この現象はプロスポーツチームでも見られます。かつて強豪だったチームが突然弱体化し長期低迷に陥るケースです。もちろん主力選手の離脱などの要因もありますが、最も深刻なのは「負け癖」の影響です。
強豪チームは負けに対するストレスが高くそれが改善への原動力となります。一方、負けが常態化したチームでは、このストレスや危機感が薄れ根本的な改善が難しくなってしまいます。
プロスポーツ選手でさえ「負け癖」の影響を受けるのですから、一般の会社員にとってはより深刻な問題となります。自身のキャリアにとって大きなマイナスとなるだけでなく、「キャリアアップしよう」という向上心すら失われかねません。
したがって、自分に「負け癖」が付きつつあると感じたら、それは重大な警告サインとして受け止めるべきです。
将来のキャリアを考えれば、たとえ困難な選択であっても転職を含めた環境の変更を真剣に検討する必要があります。
オワコン、落ち目は市場が判断すること
今日は落ち目なオワコン部署に配属された、任された時の考え方や対応方法について説明をしてきましたがいかがだったでしょうか?
文中でも述べていますが、「本当にオワコンなのか?」という市場の事実に目を向けて、本来はチャンスがたくさんあるのに、周囲や自らの気持ちによって機会損出をしてしまうことだけは絶対にしないでほしい!これが筆者のメッセージになります。
また、そんな環境の中で頑張ろうと奮闘しても、ユニクロの柳井さんですら1勝9敗という本を出すくらいですから、失敗ばかりを繰り返すかもしれないです。
ただ、絶対に負けとは思わないこと。負け癖を自分自身でつけないこと。これも意識してどんな環境であれ勝ちにことだわって仕事をしてほしいと思います。
この記事を見た1人でも多くの人が、オワコンな状況から一筋の光を見つけることができれば筆者冥利に尽きます。最後まで読んでいただきありがとうございました。