- 会社の方向性を理解した時点で何も変わらないから知らなくても良い
- 上司から与えられた役割や目標を達成することだけが、あなたの役割であり方向性
- 極論を言えば方向性なんて自分自身で定めるべきで、方向性を自分で作るべき
「会社の方向性がわからない」「目的がわからないから何をすればいいかわからない」
なんて、日々感じながら仕事をしていませんか?何のためにやっているかわからないような毎日は非常にやりがいがなく、不安な気持ちが日に日に大きくなっていくので辛いですよね…。
筆者も社員3人の小さな会社に勤めていた時に、毎日の売上を作らないと会社が潰れてしまうような状況で、方向性なんて皆無だった際に同じような気持ちになったことがあるので非常にわかります。
ただ、実は方向性なんて理解せずとも、上司から与えられた役割を徹底すれば良い。そして方向性というのは本来自分自身が決めるべきである全うするべき。とキャリアを通じて結論が出ました。
この記事では、「会社の方向性なんて無理に理解しなくて大丈夫!」「大切なのは自分自身の方向性」なんてことにフォーカスを当てながら、実体験も交えつつ紹介をしていきます。
会社の方向性なんてわからなくていい
結論から言えば、会社の方向性なんてわからなくて良いのです。これは特に一般社員レベルの方に当てはまります。なぜこのように言えるのか、詳しく説明していきましょう。
方向性に対して貢献できることは少ない
まず、経営陣や役職者でない限り、会社の大きな方向性に対して貢献できることは非常に限られています。多くの場合、一般社員にとって最も重要なのは、年間や半期で設定される目標や、上司から与えられる役割を全うすることです。これらの目標や役割こそが、あなたにとっての「方向性」であり日々のやるべきことなのです。
会社の方向性というのは、往々にして非常に抽象的なものです。例えば、「5年後に上場を目指す」といった方向性を示されたとしましょう。
多くの社員にとって、これは単なる情報に過ぎず、「へぇ、上場を目指すんだ」という感想以上の意味を持ちません。この情報を聞いたからといって明日からの行動が劇的に変わるわけではないのです。
【実体験】方向性がマイナスに働く
実際の例を挙げてみましょう。筆者が以前働いていた会社では、次のような方針が示されました。
- 昨今の仕入れ原価の上昇に対応するため、商社を介さず直接工場と取引を行うこと
- 人件費も高騰しているため非正規雇用社員の雇用の見直し
- 売上も大事だが、短中期で支出を減らして利益率の高いビジネスモデルを作る
一見すると、これは会社の将来を見据えた前向きな方針に思えます。しかし、この方向性を一般社員レベルに落とし込もうとすると、一部の管理職に伝えただけで思わぬ問題が発生しました。
非正規雇用社員の見直しという情報が社内に広まると、「リストラが行われるのではないか」という不安がまず広がります。
また、長年取引してきた商社との関係を見直すという方針は、「今まで何十年も取引していた会社を切るなんて無礼ではないか」という批判的な声が次々あがり始めます。「この会社は今までこんな貢献をしてくれていたのに・・・」と。
さらに、原価削減や支出削減の必要性を強調することで、「会社の業績が悪化しているのではないか?もしかしたら会社が潰れてしまうのでは?」といった噂により、「給与が下げられる、固定残業代がなくなる」など、言ってすらないことまで話題が飛び火して退職するような社員も発生します。
このように、経営陣が会社をより良くするために目指す短期的な方向性が、思わぬ形で社員のモチベーション低下や不安を引き起こすことは少なくありません。
方向性というものは不思議なもので、それを伝えたからといって必ずしも良い方向に会社が向くとは限らないのです。
だからこそ、一般社員であれば、目の前に設定された目標や上司から与えられた役割を全うすることこそが、自分にとっての「方向性」であり、やるべきことだと認識することが重要です。
大きな方向性を理解しようとして悩むよりも、自分に与えられた具体的なタスクに集中することで、結果的に会社の方向性に沿った行動ができるのです。
上司から求められる役割を全うすればいい
前述の通り、あなたの仕事は会社の大きな方向性を理解することではありません。むしろ、上司から設定された目標を達成し、与えられた役割を全うすることに集中すべきです。なぜそう言えるのか、詳しく説明していきましょう。
方向性より上司に何を求められているか?を理解する
まず、方向性を理解したからといって、明日からの仕事が劇的に変わるわけではありません。多くの場合、日々のタスクや業務内容は変わらないのです。方向性を知ることで一時的に納得感を得られるかもしれませんが、数週間も経てばその納得感は薄れ、再び「自分はどうしていけばいいのだろう?」という悩みに戻ってしまいます。
このような悩みを繰り返していても仕事は進みませんし、生産性も上がりません。また、会社の方向性というものは、そう頻繁に大きく変わるものではありません。
だからこそ、方向性にこだわるよりも、自分の直属の上司(評価者)が求めることを理解し、それを全うすることに注力すべきなのです。
ここで、多くの若手社員が陥りがちな罠について触れておきましょう。ドラマやSNS上で目にする一部のエリート社員の姿に憧れ、「自分も大きなことを成し遂げたい!」という気持ちを抱く人は少なくありません。その気持ち自体は非常に大切で、向上心の表れとして評価できるものです。
しかし、現実を見てみましょう。あなたが働いているのは、ベンチャー企業のように少数精鋭で個人に大きな権限が与えられているような会社でしょうか?おそらく、そうではないでしょう。
多くの大企業や中堅企業では、個人の裁量権は限られています。そのような環境で大きなことを吹かしても、周囲に煙たがられたり空回りしてしまったりする可能性が高いのです。
ではどうすればいいのでしょうか。答えは単純です。とにかく上司から与えられた役割を全うすることに集中しましょう。そして、その与えられた役割の中で、他の人とどう差をつけるか、頭一つ抜け出すにはどうしたらいいのかを考えながら仕事をすることが重要なのです。
例)営業部で働いていた場合
例えば、営業部門で働いているとしましょう。上司から「今月の売上目標は1000万円だ」と言われたとします。この時、会社全体の方向性を気にするよりも、まずはこの目標達成に全力を尽くすべきです。そして、単に1000万円を達成するだけでなく、どうすればより効率的に、あるいはより多くの売上を上げられるかを考えるのです。
具体的には、以下のようなことを意識してみてはどうでしょうか。
1. 既存顧客とのリレーションシップを強化し、リピート注文を増やす。
2. 新規顧客の開拓方法を工夫し、成約率を上げる。
3. 商品知識を深め、顧客のニーズにより適切に応えられるようにする。
4. 社内の他部門と連携し、顧客満足度を高めるための提案を行う。
このように、与えられた役割の中で創意工夫を重ね、成果を上げていくことで、自然と上司や周囲からの評価も上がっていくはずです。そして、そのプロセスの中で結果的に会社の方向性に沿った行動ができているのです。
極論、方向性なんて自分で決めること
ここまで、会社の方向性にこだわりすぎないことの重要性について説明してきました。しかし、これは決して「方向性」という概念そのものを軽視せよという意味ではありません。むしろ、最も重要なのは、あなた自身のキャリアにおける方向性を自分で決めることなのです。
なぜ自分で方向性を決めることが大切なのでしょうか。それは、会社から示された方向性を理解し、それに従ったとしても、必ずしもあなたの年収や役職が劇的に上がるわけではないからです。会社の成功があなた個人の成功に直結するとは限らないのです。
もちろん、現在の環境や年収に満足しているのであれば、会社の方向性に従って働くことも一つの選択肢です。しかし、もし現状に満足していなかったり、もっとキャリアアップしたいという意志があるのであれば、それこそがあなたが意識するべき一番の「方向性」なのです。
自分の方向性の見つけ方
では、具体的にどのように自分の方向性を決めればいいのでしょうか。以下に、ステップを追って説明していきます。
1. 自己分析を行う:
まず、自分自身の強み、弱み、興味関心、価値観などを深く掘り下げてみましょう。「自分は何が得意か?」「どんな仕事をしているときに最もやりがいを感じるか?」「5年後、10年後にどんな自分になっていたいか?」といった質問に正直に向き合ってみてください。
2. 市場調査を行う:
自分の興味のある業界や職種について、徹底的に調べてみましょう。求人サイトやLinkedIn、業界誌などを活用し、どのようなスキルや経験が求められているのか、どのようなキャリアパスがあるのかを把握します。
3. 具体的な目標を設定する:
自己分析と市場調査の結果を踏まえて、具体的な目標を設定します。例えば、「3年以内に外資系IT企業のプロジェクトマネージャーになる」「5年以内に年収1000万円を達成する」「10年以内に自分の会社を起業する」といった具体的で測定可能な目標を立てましょう。
4. 必要なスキルや経験を洗い出す:
設定した目標を達成するために、どのようなスキルや経験が必要かを明確にします。例えば、英語力が必要なのか、特定の資格が求められるのか、マネジメント経験が必要なのかなどを具体的にリストアップします。
5. アクションプランを作成する:
必要なスキルや経験を身につけるための具体的な行動計画を立てます。例えば、「毎日30分の英語学習」「半年以内にPMP資格取得」「社内プロジェクトでリーダーシップを発揮する機会を求める」といった具体的なアクションを決めます。
6. 行動し、定期的に見直す:
立てたプランに基づいて行動を始めます。そして、3ヶ月ごとなど定期的に進捗を確認し、必要に応じてプランを修正します。環境の変化や新たな気づきによって、目標自体を変更することもあるでしょう。柔軟に対応しながら、着実に前進することが大切です。
このプロセスを通じて、あなた自身のキャリアの方向性を明確にし、それに向かって行動することで、現在の会社での成長はもちろん、将来的なキャリアアップの可能性も広がっていくはずです。
ここで重要なのは、このプロセスは現在の会社に所属しながらでも十分に実行できるということです。むしろ、現在の環境を最大限に活用し、必要なスキルや経験を積むことで、より効果的にキャリアを構築できる可能性が高いのです。
例えば、英語力が必要だと判断したら、会社の海外部門との協働の機会を積極的に求めたり、外国人顧客とのやり取りを担当させてもらったりすることで、実践的な英語力を身につけることができるでしょう。
資格取得が必要なら会社の支援制度を利用したり、業務に関連する形で学習を進めたりすることで、より効率的に準備を進めることができます。
また、このように自分の方向性を持ちそれに向かって行動することで、日々の業務へのモチベーションも高まります。与えられた仕事を「会社のため」だけでなく「自分の成長のため」という視点で捉えることができるようになるのです。
ここで注意したいのは、同じ会社、同じような毎日を送っていると、それが当たり前になってしまい、自分に向かう悩みのレベルが低くなってしまうことです。今回の「会社の方向性を理解したい」という悩みも、ある意味でその一つかもしれません。
しかし、忘れてはいけません。あなたの人生はあなたのものです。会社の方向性に一喜一憂するのではなく、自分自身の方向性を定め、それに向かって着実に歩んでいくことこそが、真の意味でのキャリア構築につながるのです。
あなたの未来は自分で切り開く
ここまで、会社の方向性に悩む28歳の会社員の方に向けて、具体的なアドバイスを述べてきました。最後に、重要なポイントを整理しておきましょう。
1. 会社の大きな方向性を理解することに固執しない
– 一般社員レベルでは、会社全体の方向性よりも、自分に与えられた役割や目標に集中することが重要です。
– 方向性を知ることで一時的に安心感を得られても、日々の業務は変わらないことが多いです。
2. 上司から与えられた役割と目標に集中する
– 直属の上司が求めることを理解し、それを達成することに注力しましょう。
– 与えられた役割の中で、他の人との差別化を図り、卓越した成果を上げることを目指しましょう。
3. 自分自身のキャリアの方向性を定め、それに向かって行動する
– 自己分析と市場調査を行い、具体的な目標を設定しましょう。
– 目標達成に必要なスキルや経験を明確にし、それらを獲得するための行動計画を立てましょう。
– 現在の環境を最大限に活用しながら、自己成長を図りましょう。
これらのポイントを意識しながら日々の仕事に取り組むことで、会社の方向性に悩むことなく、自分自身の成長とキャリアアップに集中できるはずです。
最後に、キャリア構築は長い道のりであることを忘れないでください。今すぐに劇的な変化が起こるわけではありません。しかし明確な方向性を持ち、着実に行動を積み重ねていけば必ず望む結果に近づいていくはずです。
今は混乱しているかもしれません。しかし、この記事のアドバイスを参考に、一歩ずつ前に進んでいってください。自分自身の可能性を信じ、自分の未来は自分で切り開くという強い意志を持って行動すれば必ず道は開けるはずです。
この記事を読んだ一人でも多くの方が、自分自身の方向性を見つけるためのきっかけになれば筆者冥利に尽きます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!