- キャリアプランは描いた通りにいかない。AI時代で10年後の仕事が存在しない可能性もある
- 本当に大切なのは年収アップや働き方など、自分の欲に正直になること
- その欲に向き合うことで生まれる課題こそが、真のキャリア設計になる
- 転職活動の面接で聞かれるキャリアプランは、その場だけ用意すればOK
「あなたのキャリアプランを教えてください」
この質問を転職活動の面接で聞かれて困った経験はありませんか?あるいは上司との面談で、なんとなくそれっぽい答えを用意して乗り切った経験はないでしょうか。
私は32歳で大手ベンチャーの役職者として働いていますが、正直に言います。キャリアプランなんてなくていいと思っています。
ただし、人事面接で人事担当者が自分のキャリア設計もろくにないくせに、なんとなく聞いてくるケースがあったり、意識(だけ)高い系の上司がついて聞かれることがあるので、持っておくと便利ではあります。でも、それ以上の意味はありません。
なぜこんなことを言うのか。それは、そもそもキャリアプランなんて描いた通りにいかないものだし、描いた時点でそもそも意味があるのか疑問に思うからです。
大前提:キャリアプランを否定するつもりはない
誤解しないでほしいのは、キャリアプランがある人はそれでいいし、その通り行動すればよいということです。
「3年目に転職して大手広告代理店に入って、その実績をもとに30歳には役職者としてメガベンチャーに転職活動で移る」みたいな明確なプランを持っている人もいるでしょう。こういうのはあっていいと思うし、ある人はそれに沿って行動すればいいと思います。
ただし、私は別にそんなのはなくていいと思っています。
本当に大切なのは「自分の欲」に正直になること
年収アップへの欲求を明確にする
もしキャリアプランに代わるものがあるとしたら、ちゃんと自分の欲を持っておくことです。
例えば、年収アップについて。「年収いくら欲しい?」と聞かれたとき、正直に答えられますか?
「正直500万くらいあれば、日常で困ることはないよね。でも家族ができたから700万欲しい」 「新卒の300万円台から全然上がらず30歳目前にきたから、ここらで500万台に乗せたいな」
こういった欲は絶対に持つべきです。
働き方改革への欲求も大切にする
お金のことばかり書いてしまいましたが、年収アップみたいなわかりやすい欲じゃなくてもいいです。
「人間関係も苦手だから基本は出社したくないし、リモートワークがいい」 「朝起きるのが苦手だからフレックス制で11時からの始業でもOKにしてほしい」 「年収は今くらいでいいから残業がないところがいい」
これらも全て欲です。こういった自分の欲に正直になり、今で満足することも重要ですが、ちゃんと自分の欲にも向き合ってあげることが大切です。
欲に向き合うことこそが真のキャリアプランである
そして、一番言いたいのは、これらもれっきとしたあなたのキャリアプランだということです。
年収700万に上げたいなら、700万をそもそも稼げる職場、そして社内での役職に就くことが求められます。そうなってくると、「社内の部長職ならもらえるかな?」「上が詰まってるから、転職活動しないとだめかな?」「転職するにしても、大手にいかないとやっぱり年収アップの底上げはできないな…」などなど。
こういった一つ一つの壁だったり、ハードルがまさにキャリア設計であり、欲に向き合うことで出てくるわけです。
従来のキャリアプラン論がナンセンスな理由
AI時代の到来で職業環境が激変
巷ではキャリアプランと聞くと、とりあえず聞こえがいい風に、「過去の経験、スキル、興味、価値観などを振り返り、自己理解を深めて、5年後や10年後のビジョンを描いてください」なんてクソみたいなことを言われます。
でも考えてみてください。この記事を書いている2025年と2015年。そもそも時代が違うのです。
当時は、AIの存在なんて夢物語で、Siriとか SF映画に出てくるようなカタコト語を話すようなロボットがイメージされていました。なんとなく将来的にこんなのが増えるだろうとは思っていたものの、2025年はAIに触れないと生き残れないんじゃないかと怯えるくらい、職場にも導入されて、大企業を中心に人材がいらない状態が起きています。
数が多ければ多いほど企業の成長が見込めるくらいの文化だったが、業績が悪くないのにリストラが起こる時代です。
海外企業の状況が示す未来
好業績でもリストラが起きる新時代
2025年5月13日、マイクロソフトは全従業員の約3%にあたる6,000人の削減を発表しました。これは、2023年初頭の1万人削減以来、最大規模のリストラです。注目すべきは、これが前年比13%増収の701億ドルという好業績の直後だったこと。(出典:Microsoft公式発表およびビジネス系メディア報道)
雇用状況についてのデータをまとめたサイトLayoff.fyiによれば、2024年は551のテック系企業で、15万2922人のリストラが実行されました。さらに2025年の現時点までにテック業界では6万3000人以上が解雇されているとのことです。(出典:Layoff.fyi)
AmazonのCEOはこう発言しています。
「生成AIやAIエージェントの採用を進めていくと、働き方も変化せざるをえない。今の仕事を行うのに必要な人間の数は少なくなるだろう。全社でAIを使い効率化を高めることで、会社全体の社員数は減少していくと考えている」(出典:Amazon CEO発言、各種ビジネスメディア報道)
世界の中心企業が完全にマグニフィセント7になってしまった背景もあり、アメリカの例で日本は…と思うかもしれませんが、この流れは日本にも来ているし、これからも進むでしょう。
こんな感じで10年後に起こる出来事なんて、誰もわからないし、10年後のキャリアプランを立てた時点で、その仕事なんて世にない可能性だって普通にあるし、あんまり意味がないわけです。
それなら欲に正直に、瞬間瞬間で行動せよ
転職活動の面接対策としてのキャリアプラン
それなら、自分の欲に正直になり、その瞬間瞬間行動すること。目の前に課題が現れたら、それをぶっ潰すこと。それによって勝手に良いキャリアプランになっていくという話です。
仮にキャリアプランが必要なケースがあるとしたら、それは、冒頭でも話したように就活や転職活動中にキャリア設計が明確にないような面接官から聞かれた時に、その企業が欲しそうな回答をその場だけ用意するだけです。
その場で用意したキャリアプラン通りにならなくても誰も怒らないし、入ってから、「お前あの時キャリアプランでこう言ってたじゃないか!」なんて言ってくる人はまずいません。というか、面接官とかって面接いっぱいやりすぎて一人一人の細かい質疑応答なんて覚えてないんです。私自身も採用する側で面接に出ていましたが、一人一人の印象は覚えているものの、細かい内容はほぼ覚えてないです。事実はこういうものです。
だからこそ、入るだけのためにその企業に都合がいいっぽいキャリアプランだけあればOKです。
私自身の体験談
フリーランスから会社員へのキャリアチェンジ
私の場合もまさにそうで、キャリアプランなんて立てられるほどの立場にそもそもいませんでした。
というのも、そもそものキャリアのスタートからアルバイトをしながらフリーランスだったし、初めて入った会社は知り合いが立ち上げる3名の会社で、面接もなければ契約もないような、そもそも就職とは言えないようなものだったし、その後またフリーランスで海外で生活するし、会社設立したかと思えば1年で倒産させるし…といった具合に。これが22歳〜26歳までの出来事です。
そこで初めて、「一旦ちゃんと社会のレールにのって自分を正す必要があるかもな。1回就職してがんばろう。自分を立て直そう」と決心しました。ある意味、その当時の欲はつまらないものですが、「一旦自分を立て直そう。社会のレールに乗ろう」だったかもしれません。キャリアプランもクソもありませんね。
欲に向き合った結果、年収1.5倍の転職成功
そんな感じで働いていくと、やっぱり次の欲が出てくるわけです。
年収は600万程度まで行きましたが、役職は次がないくらい上に上がりましたし、事業も会社もメンバーも大好きでした。でももっと稼ぎたい。もっと上にいきたい。中小企業で割と何でもやってきたし、フル回転をして売り上げを作る事業もできた。ただ、「大企業ってどんな仕組みでメンバーがコロコロ変わっても事業を伸ばしていけるのだろう?」などなど、こういった欲が5年目に芽生え、6年目に転職をします。
そして、ちゃんと欲に向き合い、しっかり希望年収を伝えたところ900万、年収アップ1.5倍で次の会社が決まりました。会社の規模も100人程度から数千人規模のメガベンチャーと言われるところです。
欲に正直になることの重要性
希望年収は遠慮せずに伝える
全く自慢でも何でもなく、私から言わせてみれば、しっかり自分の欲に向き合い、その欲を満たすために行動しただけです。
希望年収だって、なぜか遠慮しがちで希望よりちょっと低いくらいで「今より増えればな〜」くらいを言いがちですが、希望年収なんだから素直に希望を言えばいいんです。欲を乗せてもいいんです。
働き方改革だって、今リモートワークやフレックスタイムをいっぱい採用している会社があるのだから、転職エージェントなりに、わがまま言って紹介してもらえばいいんです。
少なからず私はそうやって欲に向き合うことでキャリア形成をしてきたし、少なからず32歳現在はポジティブに見ています。そして、これから1000万の壁を越えるためには部長職にならないとな…とか次の欲も見えています。
まとめ:自分の欲に正直になることが最強のキャリア戦略
だからこそ、キャリアプランとかなんかかっこいい感じのことで、かっこいい感じのものなんかなくて良くて、**自分の欲に正直になれよ!**これが私から伝えたいことです。
変化の激しい時代だからこそ、遠い将来の計画よりも、今の自分が何を欲しているかを正直に見つめ、それに向かって行動する。そうすることで、結果的に自分らしいキャリアが築けるのです。
キャリアプランに悩んでいるあなた、まずは自分の欲と向き合ってみませんか?それが、最強のキャリア戦略の第一歩です。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、無理にキャリアプランを描こうとして悩むことなく、自分の本当の欲求に向き合って行動できるようになり、キャリアに関する悩みが1つでも減れば筆者冥利に尽きます。最後まで見ていただき、ありがとうございました!