- 文句は暇だから出てくるもので、忙しく目の前のタスクに集中している人からは文句が出ない
- 筆者の勤めていた会社で、創業社長時代は忙しいが人間関係良好だったのに、業務が整理され余裕ができた途端に文句が多発した
- 文句を言わせない方法は、MTG時の報告フォーマットを徹底すること
- フリーフォーマットではなく、KPI達成状況・改善策・タスクなど定量的な報告に絞ることで、文句を言う雰囲気が生まれなくなる
- 報告フォーマットの徹底により「自分の業務を全うしよう」という健全な雰囲気が醸成される
「職場で文句や愚痴ばかり聞かされて疲れる」「チームの雰囲気が悪くて仕事に集中できない」
こんな悩みを抱えながら働いていませんか?同僚の不満や文句を聞かされる時間は、本当にストレスですよね…。
しかし、職場に文句が蔓延している状況は、実は組織として何かが緩んでいるサインなのです。
筆者が以前勤めていた会社では、忙しいながらも人間関係が良好だった創業社長時代から、優秀な新社長に交代し業務が整理された途端、一気に文句が多発するという衝撃的な変化を経験しました。この体験から「文句は暇だから出る」という本質に気づかされたのです。
そんな実体験を持つ筆者だからこそ伝えられる、文句が出ない生産性の高い職場を作る具体的な方法について、この記事では触れていきます。
「文句を言わせる場を作らない仕組み作りって、意外と重要なのかも…」と思っていただけますように!
はじめに:文句が出る職場の本質的な問題
以前、私は「文句を言われる受け皿になれる人間は強い」という記事を書きました。しかし今回は、そもそも文句を言わせる場を作るべきではないということをお伝えします。少し矛盾を感じられるかもしれませんが、最後までお読みいただければ、この考え方の真意をご理解いただけるはずです。
基本的に、文句というのは暇だから出てくるものです。目の前のタスクに集中し、与えられた役割を全うすることで精一杯の人からは、仕事中に文句が上がってくることはまずありません。逆に言えば、職場で文句が多発している状況は、組織として何かが緩んでいる証拠だと私は考えています。
実体験から学んだ「忙しさと文句の反比例関係」
私が以前勤めていた会社は、女性が9割以上を占める職場でした。そこの創業社長は、取引先や経営者が集まる場でよくこんなことを言われていたそうです。
「女性ばかりで大変でしょう。男ばかりの方が単純で、女性が多いとネチネチしていて大変そうですね」
その時、社長はいつもこう答えていました。「忙しくさせておけば文句なんて出ないんですよ。暇だから文句が出る。だからとにかく忙しくさせることが大事なんです」
実際にその社長は、「神は細部に宿る」という言葉を口癖に、トップダウン形式でかなり細かい仕事まで降ってくるタイプでした。正直、本当に忙しかったです。終電になることも珍しくありませんでした。
しかし、ワークライフバランスの是非はひとまず置いておくとして、職場の人間関係は驚くほど良好でした。売上目標が達成できなければ、みんなで本気で悔しがり、中には泣いている社員もいました。達成した時は心から喜び合い、忙しい中にも強烈なやりがいを感じている社員が多かったように思います。ネチネチした人間関係や無駄な文句などは一切なく、とにかく一生懸命に、前を向いてみんなが働いていたのです。
環境が変わった瞬間に起きた衝撃的な変化
数年が経過し、創業社長の引退により新しい社長に交代することになりました。この時、職場で起きた変化は私にとって衝撃的なものでした。
新社長は、絵に描いたような成功者でした。連続起業家かつ投資家として何度も事業を成功させている、まさにエリート中のエリート。人柄も良く、話しやすく、見た目もかっこいい。そして業務も創業社長の時とは比べものにならないくらい整理され、業務量が劇的に減少したのです。
これは喜ばしいことで、職場環境としては明らかに改善されたはずでした。しかし、ここで信じられないことが起きました。一気に文句が多発し始めたのです。びっくりするくらい、職場が文句であふれるようになりました。
こんなに優しくて人柄も良い社長が引き継いでくれて、業務も整理されて働きやすくなったはずなのに、なぜこんなに文句ばかりになるのか。その時、私は確信しました。文句が出る=暇だということを。
人は忙しくて目の前のことに集中している時、他人のアラ探しや不満を言っている余裕などありません。逆に時間的・精神的に余裕ができると、本来考えなくても良いようなことに意識が向き、文句や不満が噴出してくるのです。
文句を言わせない具体的な方法:報告フォーマットの徹底
では、どうすれば文句が出ない、生産性の高い職場を作れるのでしょうか。私が最も重要だと考えているのは、MTG時の報告フォーマットを明確に決めることです。
フリーフォーマットで会議を進めると、いろんな話題を話せて満足感が増すように感じるかもしれません。しかし、仕事なのですから、いろんなことを話すのではなく、以下の点に絞るべきです。
- 会社や与えられた業務のKPI達成状況
- 未達成の場合、それを達成させるための具体的な方法
- 今週・今月の具体的なタスク
- 目標や狙いどころにズレがないかの確認
これ以外は、極端に言えば雑談に当たると私は考えています。
具体的には、報告フォーマットとして以下のような項目を設定し、定量的かつ簡潔に報告させることが効果的です。
ポイントは数字の管理とタスクの約束が明確な部分です。
- 前週の実績
- 目標に対する達成率
- 未達幅or達成幅
- 未達or達成要因
- 今週達成させるためのタスク
- 達成させるために必要な権限(相談)
※週の売り上げ目標100万円(月間400万)のコスメ通販事業を担当しているAさんの場合※
上司さんへ
お疲れさまです。
4月1週目の週次報告をお送りいたします。
不明点や追加で必要なタスクがございましたらお申し付けください◆実績
週間目標:100万円
週間実績:89万円
達成率:89%
差異:−12万円月間目標:400万
月間実績:89万
達成率:22%◆未達要因
- 週末の500円クーポンの使用率が目標に対して8割
- LINEからの流入数が前週比で-15%
- 商品Aの検索順位が週末1位から3位に下落したため
◆今週達成させるためのタスク
- LINEの登録者限定クーポンを発行し新規会員を増やす配信をする(配信用画像の作成)
- 商品Aの検索対策、商品ページのテキスト書き換え
- 商品Aの検索順位下落の調査→報告からタスクだしまで
◆達成させるための権限や相談
商品Aの検索順位下落を調べたら火曜日の12時までに報告いたしますのでフィードバックいただければ幸いです。
もし、広告費が必要な場合は、費用対効果を算出したのち利用の許可をいただきたいです。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
こういった報告を上司に提出し、部下には提出をさせます。
- 【実績】一番大切な部分を一番先に持ってくる
- 【未達要因】振り返りを完結に行う ※過去より次が大切なため簡潔に
- 【今週達成させるためのタスク】未来の行動計画を明確に記載する
- 【達成させるための権限や相談】上司に認めてほしい権限や相談事項を記載する ※達成させるために〜という主語の上で
補足をするとこんなイメージです。
このフォーマットを徹底すれば、基本的に話すべきことは全て話せます。上司から部下へのコミュニケーションでも、部下から上司への報告でも同様です。「仕事をやっているのに評価されない」「働いていないと思われる」といった不満も、定量的な報告によって解消されます。
1on1でも定例会議でも一貫したフォーマットを
これは1on1の場でも、メンバーが集まる定例会議の場でも同じことです。とにかくフォーマットを決めて、意味のある会議を実施することが重要です。
フォーマットが徹底されると、文句ばかり言っている人が自然と恥ずかしくなる雰囲気が生まれます。周りが皆、自分に与えられている業務を数値で報告し、課題を明確にして改善策を打ち出している中で、曖昧な文句や感情的な不満を口にすることが、いかに生産性が低いかが可視化されるからです。
報告フォーマットを徹底させることで、「自分に与えられている業務を全うしよう」という健全な雰囲気が醸成されていきます。これこそが、文句が出ない、前向きで生産性の高い職場を作る本質だと私は確信しています。
まとめ:向上心のある人だけが理解できる厳しさ
「忙しくさせることが大事」という考え方は、一見すると時代に逆行しているように聞こえるかもしれません。働き方改革やワークライフバランスが叫ばれる現代において、批判的に受け取られることもあるでしょう。
しかし、ここで言う「忙しさ」とは、無駄な残業や非効率な業務のことではありません。明確な目標に向かって集中し、自分の役割を全うするために全力を尽くすという、プロフェッショナルとしての当然の姿勢のことです。
文句を言う時間があるなら、その時間でKPIを0.1%でも改善する方法を考える。同僚の悪口を言う暇があるなら、自分のタスクを1つでも多く完了させる。これが、本当に成長したいと願う人間の取るべき態度だと私は考えています。
あなたの職場で文句が多発しているなら、それは組織が緩んでいるサインです。報告フォーマットの徹底から始めて、一人ひとりが自分の役割に集中できる環境を作り出してください。文句を言わせる場なんて、作る必要はまったくありません。前を向いて、結果を出すことに全力を注ぐ。それこそが、本当に強い組織を作る唯一の方法なのです。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、職場の文句や愚痴に振り回されることなく、自分の成長と目標達成に集中できる環境を手に入れられることを願っています。報告フォーマットの徹底という小さな一歩から、あなたの職場が前向きで生産性の高いチームに変わっていく。そんなきっかけになれば、筆者冥利に尽きます。最後まで見ていただき、ありがとうございました!
