- できる人が辞めても代わりの人材は必ず現れる
- パレートの法則(2対8の法則)により、どんな組織でも貢献度の高い2割の人が入れ替わるだけで、組織の基本構造は変わらない
- できる人の退職は自分にとって空いたポジションに就けるチャンスであり、ピンチではなくポジティブに捉えるべき
- 役職を得てから転職した方が書類選考を通過しやすく、年収アップにもつながるため、釣られて即退職するのは危険
- 心身に影響が出ているなど切実な理由がない限り、できる人の退職後に踏ん張って頑張ることで自分自身のキャリアにプラスになる
「できる人が辞めるとヤバい、会社が回らなくなる」「あの人がいなくなったら、自分も辞めた方がいいのかも…」
このような不安を抱えていませんか?確かに周囲から評価の高い人材が突然退職すると、残された社員は不安になるものです。
しかし、この状況は実はチャンスかもしれません。「できる人」が抜けることで空いたポジションに自分が就くことができるからです。
本記事では、「できる人が辞めても代わりが出てくる」「自分にとってはチャンスでしかない」「釣られて退職するのは危険」という3つの視点から、この状況を前向きに捉える方法をご紹介します。
「人が辞めることも自分の成長のきっかけになる」と感じていただければ幸いです!
できる人が辞めても変わりが出てくるだけ
「できる人が辞めてやばい」という不安を抱える会社員の方へ。まず最初にお伝えしたいのは、できる人が辞めても代わりが出てくるだけということです。
「代わりはどこにでもいる」「代わりはいくらでもいる」というフレーズをよく耳にしますが、これはあながち間違いではありません。もちろん、あなたが勤めている会社が創業1~2年の歴史しかない、数人で運営している小さな会社であれば、できる人の退職は確かに大きなダメージとなるでしょう。
しかし、多くの方が勤めているのは何十年もの歴史があり、社員が100人、1000人、あるいは数万人規模の企業ではないでしょうか。
そういった企業であれば、会社自体が何十年も存続している中で、人が入社しては退職しまた新たな人が入社するというサイクルを何度も繰り返してきたはずです。
つまり、あなたが今直面している「できる人が辞める」という状況を、その会社はすでに何度も経験しているのです。そのたびに新しい人がそのポジションに入り、会社が今も存続しているという事実は、「それでも大丈夫だった」ということを証明しています。
退職者が出たからといって会社が傾いたり、業績が著しく落ちたりすることはないと認識していただければと思います。
2対8の法則、できる人は2割に該当する
よく耳にするパレートの法則(2対8の法則)ですが、これはどのような環境にも成り立つと考えています。
パレートの法則(2対8の法則):組織やチームの成果の約8割は2割の人材が生み出す現象。多くの会社の売り上げも、全社員の2割の人の働きによって生まれていると言われている。
どんなに優秀な人材を集め最強の組織を作ったとしても、やはり2対8の法則は成立します。実際に大きく貢献できる実力者や効果的な動きができる人は全体の2割程度なのです。
残りの8割の方々がさぼっているわけではありませんが、基本的にはチーム全体の2割の人たちがほとんどの成果を上げているという状況が往々にして見られます。つまり、2割の貢献度が高い人が辞めたとしても、残りの8割の中から誰かが新たに2割の側に入るだけなのです。
どのようなチームや組織、部署にも役割があります。野球やサッカーのチームを見れば分かりやすいでしょう。プロの選手になる人たちは、子供の頃はほとんどが「エースで4番」のような優れた存在だったはずです。しかし適性が明らかになるにつれ、様々な経緯を経てプロの世界では役割が分かれていきます。
そんな環境の中で、トップ中のトップの日本代表選手になったとしても、その中で特に注目されるのはごく一部です。世間的に名前が知られているサッカー選手や野球選手は実際には全体の1~2割程度ではないでしょうか?
日本代表選手だから、8割の人が劣っているということはまずありません。このように、組織やチームという構造の中では、特に目立つ人や活躍する人はごく一部になるという不思議な法則があるのです。
だからこそ、できる人が辞めても心配する必要はありません。その2割側のできる人が辞めたとしても、誰かが代わりになるだけのシンプルな構造が存在するのです。むしろ、自分がその代わりになれば、より良いポジションを獲得できるチャンスとも言えるでしょう。
自分にとってはチャンスでしかない
できる人の退職は、現状だけを見ればやばいことに思えるかもしれません。しかし、実はこれは自分にとって大きなチャンスでもあるのです。
なぜならできる人が辞めるということは、その「椅子」が空くということです。先ほど説明した2対8の法則で言えば、貢献度の高い2割の部分の椅子が空くわけです。
そのため、実力が足りない人よりも周囲から高い評価を受けている人の退職は、残された社員にとって実は好都合なのです。
どう考えても自分がその地位に就いた方が良いですし、もしその「できる人」に”役職”があるのであれば、そのポジションも空くことになります。これはチャンスでしかありません。
会社の役職や役割は無限にあるわけではありません。椅子の数は限られており、周囲から高い評価を受ける人がずっとその椅子に座っていれば、その椅子は空きません。自分がどれだけ成果を出し頑張っても、なかなか出世できなかったり給料が上がらなかったりすることは多くの会社であるのが現実だからです。
椅子に座れば勝手に成長できる
逆のケースで十分な実績がなくても役職者や2割のポジションにいかざる得ないケースも存在ます。
誰かが辞めたことでポジションが空いたり、会社の業績が良くて新しいポジションが生まれたりすると、必然的に誰かをそのポジションに就けなければなりません。
そうした状況では、実績が十分でなくても抜擢されることがあります。そしてそのポジションに立てば、事業や業務に対する視点が広がり人は成長していくものです。本来であれば「できない人」だったのに、見方や環境の変化によって、どんどん仕事ができるようになる人も少なくありません。
つまり、できる人の退職でポジションが空くことは、自分にとってチャンスでしかないのです。これはネガティブなことではなく、ポジティブに捉えるべきことです。
椅子が空いたからこそ、自分が2対8の法則の「2」の方に行き、役職や昇給を獲得できるよう頑張るという前向きな姿勢が大切なのです。
釣られて退職するのは危険
できる人やお世話になっている人が辞めると、「自分もやめようかな」とか「あの人がいないんだったら…」と心を動かされたり、不安のあまり「自分にあの人の代わりが務まるはずがないから、他の会社に行こう」と考えてしまう気持ちも理解できます。
しかし、もし転職を考えるのであれば、先ほど説明したように、その「できる人」が空けてくれた椅子や役職のポジションに座ってから転職する方が良いです。
もちろん、会社に対して強い不満がある場合や、人間関係がうまくいかずに精神的に辛い状況、あるいは業務についていけなくて体調に異変が生じているなど、すでに心身に影響が出ているのであれば早めに退職した方が良いでしょう。しかし、そういった切実な理由がなく、単にその人に釣られてネガティブになっているだけであれば、いったん踏みとどまることをお勧めします。
転職活動をする際、会社の規模を問わず「部長でした」「課長でした」「マネージャーでした」といった役職経験は、不思議なくらい強みになります。役職についている人に対しては「マネジメント経験がありそうだ」「数字を見る能力がありそうだ」といった良い印象を持たれやすいのです。
たとえ実態が伴っていなくても、最初の書類選考では大体そういったイメージだけで判断されることが多いため、役職がついていることで印象が悪くなることは絶対にないでしょう。
そのため、「できる人」が辞めて役職という椅子が空いたのであれば、そのポジションについてから転職する方が書類審査も通りやすくなると考えられます。
【実体験】イメージの大切さ
実際に私自身の経験を話しをします。
この記事を書いている2025年4月時点、紹介(リファラル採用)という形で転職しました。リファラル採用でも履歴書や職務経歴書は提出する必要がありますが、前職で事業責任者という役職があったため選考はスムーズに進みました。
「マネジメント経験があるので大丈夫だと思います」「損益の数字も見られると思います」という前提で話が進み、「どのようにマネジメントしてきたのか」「どの規模の数値管理を行ってきたのか」といった具体的な質問に移っていきました。
これは書類選考の段階で、役職があることによって「この人は〇〇は経験ある人なのだろう」「経験がありできる人なのだろう」という評価をある程度得られていたからこそ、面接でそういった質問が出たのだと思います。
転職活動で最も難しいのは、実は書類選考を通過することだと感じています。今回の転職は紹介という形だったのでスムーズでしたが、以前の就職活動では約300社に応募して20社程度にしか書類選考を通過できませんでした。書類選考が通らなければ面接に進むこともできず、努力する機会さえ得られないのです。
そういった意味で、役職があると次の転職もしやすくなります。さらに、役職に伴って年収が上がることも多いですが、転職は基本的に年収アップを目指すものです。ですから、まずは現職で年収を上げてから転職する方が、さらに年収アップにつながりやすくなるというメリットもあります。
「できる人」の退職に釣られて自分も辞めるのではなく、少し踏ん張って頑張り、その人が空けた椅子に座ってから転職を考える方が良いのではないでしょうか?決して遅くはないと思います。
自分の成長機会として捉える
「できる人が辞める」という状況は決して悪いことばかりではない、むしろチャンスだということを筆者の実体験を通じてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?
ネット上では「優秀な人材が退職するとヤバい」「会社の危機だ」といった否定的な見方が多いため、あえて肯定的な視点からこの状況を見直してみました。もちろん、会社の規模や状況によって影響の度合いは異なりますし、どう捉えるかは個人の判断によるところが大きいと思います。
筆者としては、できる人の退職は「代わりが出てくるだけ」「自分がその椅子に座るチャンスになる」と捉え、安易に釣られて退職するよりも、一度踏ん張ってみることをお勧めします。そうすることで、思わぬキャリアの転機になることもあるのです。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、「できる人が辞める」という状況に不安を感じるだけでなく、自分自身の成長機会として前向きに捉えるきっかけになれば筆者冥利に尽きます。
どんな状況も、見方を変えれば可能性に満ちています。あなたの職場環境がより良い方向に進み、キャリアが充実したものになることを心から願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!