- 「自分の仕事ではありません」は根本的に間違っていて、自分の仕事を自分で決める権利はない
- 責任の所存がわからない業務が発生したら、上司に報告をして担当を決めてもらようにする
- 無責任人間に無理にやらせず自分の役割を増やすと「職場でのチャンス」「キャリア」という視点で良いことしかない
「自分の仕事ではありません」「なんでこれを私がやらないといけないんですか?」
こんなことが口癖の同僚の存在にイライラしていませんか?こっちはスムーズに業務を進めたいだけなのに、自分の都合ばっかり主張してくるような存在は本当に困りますよね。
結論から言うと、自分の仕事かどうかを決める権利は、その人にないから気にするな。もし誰も担当がいないような業務なら上司に役割の所存を確認しようということです。
自分の仕事ではないとまでがっちり言い切られると、なぜかこっちが譲歩しそうになる気持ちも多いに理解できますが、全く持って譲歩する必要はないです。
今日は筆者の経験論なども交えつつ、「自分の仕事ではないです」問題の本質について記載をしていきます。
自分の仕事がどうかを決めるのは自分でないこと
「これは自分の仕事ではない」と断る同僚がいる職場で、まず考えなければならないのは “仕事の範囲を誰が決めるのか?” という点です。職場において、このように仕事を断る人の多くにはある共通した勘違いが見られます。それは、自分の仕事の範囲を自分で決められると思い込んでいることです。
しかし実際には、仕事の内容を決める権限は社員側にはありません。なぜなら、私たちが会社と結んでいる契約は、定められた時間会社のために働くというものだからです。つまり、勤務時間中の時間の使い方に関する決定権は会社側にあるのです。
これは、会社が社員の時間を買い取っているという考え方に基づいています。もちろん、その時間帯なら非人道的な指示も認められるという意味ではありませんが、基本的に業務内容を決めるのは会社側の権限となります。
特に大規模な企業であれば社長が直接個々の社員の業務を指示することは現実的ではありません。そのため、通常は直属の上司が部下である社員の時間の使い方や役割を決定することになります。上司は会社の方針に従って適切な業務配分や役割分担を行う責任を担っているのです。
このように、「自分の仕事ではない」と判断する前に、まず仕事の範囲を決める権限が自分にないことを理解する必要があります。そして直属の上司の指示のもと、与えられた業務に取り組んでいくことが会社に勤める社会人として求められることなのです。
責任の所存がわからない業務はどこの職場でも発生する
企業において、「誰の業務か明確でない仕事」は多くの企業で存在します。
矛盾しますが、工場の例から話していきます。工場のような製造現場では、完全な流れ作業で「ここからここまでは誰々さんの担当」というように、業務フローと担当者を明確に定めることができます。いわゆる生産(製造)ラインと言われるものですね。しかし、多くの職場ではそのような明確な線引きは難しいのが現状です。
筆者が日々携わるマーケティングなどの分野では市場のトレンドによって必要な施策が日々変化します。あるトレンドの時は特定の広告手法が効果的であったり、別のトレンドでは異なるアプローチが求められたりと業務内容は常に変動します。
その結果、以前は存在しなかった業務が新たに発生したり逆に不要となる業務が出てきたりと、仕事の内容は継続的にアップデートされていきます。
特にテクノロジー関連の業界では特にこのような傾向が顕著に見られることでしょう。技術革新のスピードが非常に速いため、担当業務の大枠は変わらなくてもその中身は絶えず変化していきます。そのため、自分の担当業務と他者の担当業務の境界線上に位置する仕事、つまり「これは誰が担当すべきか」という曖昧な業務が必然的に発生しやすい環境と言えるのです。
しかし、これは決して悪いことではありません。業務内容がアップデートされているということは、会社が成長し変化に適応しているということを示しているのです。新しい業務が生まれたり、担当者が不明確な業務が発生したりすると、会社への不満をぶつけける人がいますが、むしろこれは企業が進化している証とも言えるので喜ばしいことでもあるのです。
とは言っても誰がやるかわからないような仕事が生まれてしまっている状況は好ましくないので、その都度適切に役割の所在を明確にしていくことが大事になります。新しい業務が発生した場合は、速やかに上司に「この業務は誰が担当するべきですか?」と確認し、役割の所存を明確にしていく必要があります。
自分の仕事でないことをやったくらいで評価は上がらない
「自分の仕事ではないことをやったから評価されるはず」という考えは大きな勘違いです。評価とは上司から与えられた役割を全うし、その結果が伴って初めて評価者から認められるものです。
自分の担当外の業務を手伝ったからといってすぐに評価が上がるわけではありません。このような認識の誤りは、意外と多くの社員が持っている考え方です。
最初からある程度の評価をされている
そもそも、社員は固定給をもらっている時点で会社から一定の評価を受けているのです。入社時点での給与設定や勤続年数に応じた昇給、昇進などは、会社があなたを評価してきた証です。つまり会社は社員の価値を認め、継続的に評価しているからこそ固定給が上がっていくのです。これは評価の基本的な仕組みとして理解しておく必要があります。
より根本的に考えると、会社は結果を出せるか分からない人材に対しても、その人が自己都合で退職しない限り給与を支払い続けなければなりません。たとえ期待した結果が出ていないとしてもです。会社はこのリスクを常に背負っています。
このことを考えると、単に他の業務を手伝ったからといってすぐに年収アップなどの目に見える評価につながらないのは当然のことだと理解する必要があります。
また、冒頭でもチラッと触れましたが「拘束時間」という言葉が示すように、勤務時間内であれば会社は社員にさまざまな業務を依頼することができます。これは当然のことであり雇用契約の基本的な前提です。そのため、臨時の業務を引き受けただけで評価されると考えてしまうと会社との認識にずれが生じてしまいます。
誰も得しない「位置ずれ」の自己/他者評価
このような「位置(認識)ずれ」は、例えば評価者でもない一般社員が上司や同僚を勝手に評価してしまうような場面にも表れます。本来評価を下せるのは評価者だけであり、その評価者が部下の行動や実績を評価するのです。評価者でもない社員が「この上司はどこがダメ」「上司としてふさわしくない」などと判断すること自体が、すでに位置ずれを起こしている証拠といえます。
確かに、他者を手伝う行為は人間として素晴らしく信頼関係の構築にもつながります。同僚との良好な関係を築き、職場の雰囲気を良くすることは間違いありません。
しかし、それを1、2回行っただけで大きな評価につながると考えるのは間違いです。あくまでも、その行動が具体的な結果に結びつき、それを継続的に実践し最終的に数値として見える形になって初めて正当な評価につながるのだと理解しておきましょう。
担当業務なんていっぱいあった方がいい
「自分の仕事ではない」と言って仕事を断るよりも、むしろ多くの仕事を引き受けた方が成功への近道だという話をしていきましょう。これは本題からは少し外れますが、筆者の実体験に基づいた重要な視点です。
1打席勝負より100打席あった方がいい
まず、一つの仕事だけで大きな成果を出すことは非常に困難です。
例えば野球に例えると、たった1打席でホームランを打つことを求められているようなものです。しかし、もし100打席というチャンスがあれば、その中の1本くらいはホームランを打てるのではないでしょうか?
これと同じようにビジネスの世界でも失敗することは当たり前で、一発一中は大変困難です。重要なのは、いくつかの成功事を着実に積み重ねて評価を上げていくことです。
多くの人は失敗を極端に恐れ、失敗したら評価が大きく下がるのではないかと心配します。しかし、一般的なサラリーマンの失敗で評価が著しく下がるほどの大きな影響を会社に与えることは、実はそう多くありません。
経営者や高額の決裁権を持つ立場であれば数千万円や数億円単位の損失を出す可能性はありますが、一般的なサラリーマンが持つ権限や予算では、そこまでの大きな失敗は起こりにくいものです。会社の経営者から見れば、一般社員の小さな失敗などほとんど影響のないレベルと言えるでしょう。
このように考えると、如何に100回打席に立つことができるか?より多くのチャンスを手にすることができるか?が勝負になってきます。
打率(成功率)が多少低いことは問題ではなく、1回でも多く会社にポジティブな影響を与える結果を出していくことが重要なのです。
【実体験】週に1個しか売れない商品を作ってしまった
筆者の実体験を例に挙げると、200万円ほどかけて開発した商品が1週間に1個しか売れないほどの大失敗を経験しています。しかし、興味深いことに筆者の評価は上がり続けていました。
なぜならその失敗した商品以外にも、多くの商品の担当や、システム開発、会社のマーケティング戦略など、様々な役割を担っていたからです。
確かにその売れない商品だけを見れば、週に5000円程度の売上しか生まない商品の担当者として評価は極めて低いはずです。しかし、他の商品での利益創出や、マーケティング全般の改善、システム改革による経費削減や業務効率化など、様々な分野で成果を上げていたためむしろ役職は上がったのです。
これは決して、結果さえ出せば何をしてもよいという意味ではありません。しかし、多くの分野に関わることで、一つの失敗を他の成功でカバーできる可能性が高まり、また単純に成功のチャンス(打席数)も増える1つの例です。。
このように複数の分野で活動することは、リスク分散の観点からも非常に効果的な働き方と筆者は捉えています。
無責任人間はほっといて、自分はいっぱいやればいい
ここまで、「自分の仕事ではない」という人に対しての会社的な立ち位置の考え方から、自分自身は仕事を断らずいっぱい抱えた方が実は楽なんて話しをしていきましたがいかがだったでしょうか?
あえて、人との解決法ではなく自分を高める方法として最後に締めさせていただきますが、「自分の仕事ではない」と断る同僚の傍ら、自分は「これ自分やっちゃいますね!」って引き取ってしまった方が確実に良いです。
少し先かもしれませんが、様々な経験を積むことは将来のキャリアチェンジの際にも大きな強みとなります。職務履歴をどこの会社でも求められますが、いっぱいかけるに越したことはありません。
逆に何もやっていないと毎年のようにやってきたことが同じ人になるので、特定の職種にしか選択肢がなくなり困るものです。
幅広い経験を持っているということ自体が大きなアピールポイントとなり、そこに興味を持ってくれるような多くの企業から選定をしていけば良いのです。
これも筆者の経験論に基づいた意見ですが、とにかく前職では「なんでもやります」スタンスでいろんなことをやってきました。そしたらびっくりするくらい職務履歴書に書くことが多くなり、面接で会話がはずむことが多くてびっくりしました。
多様な経験は、予期せぬ形で自身のキャリアを豊かにする可能性を秘めています。そして、それは単に仕事の幅を広げるだけでなく自身の市場価値を高めることにもつながっていくのです。
この記事を見た1人でも多くの方が、「自分の仕事ではありません」というような無責任人間にならず、むしろその人達が逃しているチャンスを拾って、自分のキャリアとして貯金していくような働き方を考えるきっかけになれば筆者冥利につきます。
最後まで読んでいただきありがとございました!