- 批判されることは精神的に辛いが、成長やキャリアアップのチャンスでもある
- 批判を受けることで組織の課題や不満が可視化され、解決すべき問題が明確になる
- 筆者は半年で部長職に昇進した際、批判を通じて事業の本質的な問題を発見できた
- 批判に真摯に向き合い解決することで、逆に信頼を獲得するスピードが加速する
- 倫理的に正しい範囲で批判される覚悟を持つことが、責任あるポジションには必要
「新しいプロジェクトを任されたけど、周囲から批判されて辛い」「昇進したら急に風当たりが強くなった」
こんな悩みを抱えながら仕事をしていませんか?批判される立場になることは、正直なところ精神的に消耗しますし、できれば避けたいと思うのが人間の自然な感情ですよね。
しかし、私は32歳で大手ベンチャーの役職者として働く中で、「批判される対象になることは、必ずしも悪いことではない」という考えに至りました。むしろ、批判を恐れて当たり障りのない仕事ばかりしていては、成長のチャンスを逃してしまうのです。
私自身、入社半年で部長職に就いた際、創業メンバーや先輩社員から厳しい批判を浴びました。「何もわかっていないのに」「今までの方針を勝手に変えるな」といった声が飛び交う中、正直メンタルは限界に近かったです。
しかし、その批判と真正面から向き合ったことで、組織の本質的な課題が見え、結果的に事業を立て直すことができました。そんな実体験を持つ私だからこそ伝えられる、批判をキャリアの武器に変える思考法について、この記事では詳しく解説していきます。
「批判されることって、実は悪くないのかも」と思っていただけますように!
批判されることは精神的に辛い、でも…
まず大前提として、批判される対象になることは、メンタル的に本当にきついです。これは正直に認めます。
人間誰しも、他人から否定的な意見を言われれば嫌な気持ちになりますし、できることなら批判されないように立ち回りたいと思うのは当然のことです。職場で批判されないように気を遣うことも、ビジネスパーソンとして大切なスキルの一つだとは思います。
ただし、ここで強調したいのは、「批判されること自体が、そこまでネガティブなものでもない」ということです。むしろ、頑張って批判される対象になることも、時には必要だと私は考えています。
もちろん、倫理的に間違っていることを主張して批判されるのは論外です。例えば、パワハラやセクハラを正当化するような発言や、コンプライアンスに違反する行為など明らかに社会的・倫理的に問題がある言動で批判されるのは当然ですし、そういった批判は甘んじて受けるべきです。
しかし、事業のことを真剣に考え、組織の成長のために動いた結果として批判されるのであれば、それは必ずしも悪いことではありません。批判されればされるほど、自分の成長につながる可能性があるのです。
批判されることで組織の課題が見えてくる
批判される立場になることの最大のメリットは、「組織の不満や課題が可視化される」ということです。
仕事をしていく中で、メンバー全員の不満を聞くことが必ずしも良いとは思いません。不満なんて聞き始めたらキリがないですからね。
ただし、職場環境を改善しようとする時や、組織が混乱している状況を立て直そうとする時には、一定程度メンバーの不満に耳を傾けることも必要です。そうしないと、本質的な課題が見えてこないケースも多いのです。
【実体験1】批判から見えた組織の課題点
以前勤めていた会社で、創業社長が引退して経営体制が大きく変わったことがありました。それまでスウェットやパーカーで出社していたカジュアルな社長から、突然ガチガチのスーツを着た経営陣に交代したのです。
会社の運営方針も急激に変わり、メンバーの不満が爆発的に溜まっていきました。組織の毛色が変わりすぎて売上が落ち、どんどん人が辞めていく…そんな混乱した環境を味わったことがあります。
このような時、もちろん不満を全て聞くことが正解ではありません。しかし、メンバーが何に不満を持っているのか、何が問題だと感じているのかを把握しないことには、課題解決の糸口すら見つけられないのです。
批判の対象になることで、みんなの不満がどんどん引き出されます。それは一見ネガティブなことのように思えますが、実は「やるべきことが自動的に集まってくる」状態とも言えるのです。
批判の内容を分析すれば、「みんながこう思っているなら、こう改善すればいいのではないか」という具体的なアクションプランが見えてきます。自分から努力して課題を探さなくても、批判という形で課題が勝手に集まってくるわけです。
そして、その課題を一つ一つ解決していけば、「批判の対象だった人が、こんなに問題を解決してくれた」という評価に変わり、逆に信頼につながるという好循環が生まれます。これは非常に面白い現象ですよね。
実体験2:入社半年で部長職になった時の批判
現在の勤める会社では、入社半年程度で部長職に就きました。
当然ながら、一定層、特に創業当初からいたメンバーや、その事業を作り上げてきた人たちからすると、「何もわかっていない新参者が、なぜその職に就くのか」という思いがあったはずです。みんなが良く思わないことは明らかでした。
さらに、今まで組織が大事にしてきたことや守ってきたルールというものがありました。しかし、売上が伸びていない状況では、事業のことを考えると、それらをぶっ壊してでも新しい方向性に進まなければならないこともたくさんあったのです。
これまでのタブーに切り込んで、「今までこうやっていたかもしれないけど、今後はこうやっていくしかない。だって売上が落ちているでしょう」と伝えると、やはり批判されるわけです。
その瞬間瞬間は、正直辛かったです。メンタル的にも相当きつかった。
しかし、腹を割って批判を聞いていると、「だからダメだったんだな」というヒントが見えてくるのです。
「なぜ急に今までやってきたことを途中でやめるんだ」「今までこういう方針でやってきたのに、そんなの変えたら無理だ」という批判を受ければ受けるほど、「なぜ今までうまくいかなかったのか」という本質的な問題が浮き彫りになってきました。
批判から見えた5年計画の罠
実例を一つ挙げます。
ある商品A(仮称)に1億円を投資して販売を始めたものの、1年経っても2年経っても投資を回収できないという案件がありました。
この商品について批判を聞いていると、こんな意見が出てきました。
「この商品はまだ市場に理解されていないから、5年計画なんだ。5年経てば回収できる。お前は入ってきたばかりだから、そんな長期計画もわからないだろうし、もともとのこの企画にかける思いなんて理解していない。だから勝手に『回収できないからやめよう』なんて判断ができるんだ」
確かに厳しい批判ではあります。しかし、冷静に考えてみてください。
この1年、2年も経って回収見込みが立ってない商品って、そもそも5年後に本当に回収できるのでしょうか?
「5年後に回収すればいい」という批判の中に、実は重要なヒントが隠されていました。それは、この人は「1年目や2年目で回収しよう」とか「目の前の結果を出すために努力しよう」とは思っていないということです。
であれば、この案件には大きく2つの課題があると判断できます。
課題1:もし1年で回収するなら、何をすべきか?
5年計画だからと悠長に構えるのではなく、1年で回収するつもりで最大限の努力をすべきです。始めた時は初速が悪くても、何かしらポジティブな要素を見つけていかなければなりません。
例えば「売上にはつながっていないけど、実はアクセス数は集まってきている」とか、何かしらの前進を確認できるからこそ、2年目、3年目も続ける価値があると判断できるわけです。
課題2:撤退ラインを明確にする必要がある
1年目、2年目、3年目と全く売れなかった商品が、いきなり4年目、5年目に花開くというのは、正直かなり難しいケースです。
最初から「とりあえず5年計画」と言って、問題を後ろ倒しにするのは、ビジネスとして全く健全ではありません。
しかも、多くの社員は平均3年程度で転職や異動をします。5年後にはその商品の責任者や関係者がほとんどいなくなっている可能性が高いのです。そうなると、責任の所在が曖昧になり、結局なあなあで終わってしまうことがほとんどです。
だったら、さっさと回収する計画を立てるべきですよね。
このような結論に至れたのは、批判されたからこそです。批判を通じて相手の考え方が分かり、本質的な問題が見えてきたのです。
批判は相手の本音を引き出す最高のツール
ここで重要なのは、「自分からは何も喋っていないのに、批判という形で相手の考え方や思い、課題感をインプットできる」ということです。
多くのケースで、批判されて文句を言わせているこちら側は、決していい思いはしません。正直、不愉快な気分になることも多いです。
しかし、相手は「言いたいことを言いたいだけ」なんですよね。
不満を聞いていると、「この人は自分の話を聞いてくれる人なんだな」と相手が認識してくれます。そうすると、徐々に関係性が良くなっていくこともあるのです。
さらに、批判を聞いた上で「じゃあ、これはこうしましょう」と具体的な解決策を提示し、実行に移していくと、どんどん問題が解決されていきます。
すると、信頼を得るスピードが格段に速くなるのです。
批判される対象になることを恐れていては、このような好循環は生まれません。
批判される対象になることを恐れるな
結論として、私が伝えたいのは「批判される対象になることを恐れるな」ということです。
批判されることに対してネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに捉えてみてください。
もしあなたがキャリアアップしたいなら、バンバン批判される対象になるべきです。
なぜなら、批判される立場にいるということは、それだけ影響力のあるポジションにいるということでもあるからです。誰にも注目されない、誰にも影響を与えない仕事をしている人は、そもそも批判すらされません。
批判されるということは、あなたの意思決定や行動が、組織に影響を与えている証拠なのです。
もちろん、倫理的に間違ったことをして批判されるのは論外です。しかし、事業の成長のため、組織の改善のために動いた結果として批判されるのであれば、それは成長のチャンスです。
批判を真摯に受け止め、課題を見つけ、解決していく。このサイクルを回すことで、あなたは確実に成長し、組織からの信頼も獲得できます。
批判を恐れず、むしろ積極的に批判される立場に飛び込んでいく勇気を持ってください。
その先に、あなたのキャリアの飛躍が待っているはずです。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、批判を恐れずに挑戦し、キャリアアップのチャンスをつかみ、職場での悩みが1つでも減れば筆者冥利に尽きます。
最後まで見ていただき、ありがとうございました!
