- 当事者意識を持って働くあなたが100%正しく、当事者意識のない同僚に合わせる必要は一切ない
- お金をもらっている以上、責任感を持って働くのは当然であり、当事者意識のない社員は「異常」な存在
- 「言われたことだけやります」スタンスの社員には、「結論を持って来させる」仕組みで対処する
- 自分で考えて決める癖をつけさせることで、自然と責任感が芽生え、当事者意識が育つ
- 筆者の実体験では、この方法で「替えがきかない戦力」レベルまで部下を成長させること
職場で「なんで自分だけこんなに頑張らないといけないんだ」と感じたことはありませんか?隣の席で無責任に仕事をしている同僚を見て、「あんな風に楽に働けたらいいな」と羨ましく思ったり、時には憧れすら抱いてしまうこともあるでしょう。
特に責任感の強い人ほど、このような状況に直面すると深く悩んでしまいます。「自分だけが損をしているのではないか」「真面目に働くのがバカらしい」といった感情が湧いてくるのは当然です。
しかし、その憧れや迷いは完全に的外れです。当事者意識を持って働くあなたが100%正しく、当事者意識のない人が正解なケースは1mmもありません。
この記事では、大手ベンチャーで役職者として働く筆者の実体験をもとに、当事者意識のない同僚への対処法と、彼らを根本的に変える具体的な方法について、包み隠さず解説します。
なぜ当事者意識のない同僚に悩まされるのか?
真面目な人ほど損をする現実
日本の多くの職場では、真面目で責任感の強い人に仕事が集中する傾向があります。当事者意識のない人は、巧妙に責任を回避し、面倒な仕事を他人に押し付けます。
結果として、責任感のある人は過重労働に陥り、無責任な人は楽をするという不公平な構造が生まれます。この状況が続くと、真面目な人ほど疲弊し、最悪の場合は優秀な人材が会社を去ってしまうことになります。
当事者意識のない人の典型的な行動パターン
当事者意識のない同僚には、以下のような共通した行動パターンがあります。
言い訳の天才 問題が発生すると、必ず誰かのせいにします。「指示が曖昧だった」「資料が足りなかった」「時間がなかった」など、常に外部要因を理由にして自分の責任を回避しようとします。
最低限しかやらない 与えられたタスクの最低限だけを実行し、それ以上のことは一切やりません。改善提案や効率化の提案などは皆無で、言われたこと以外は絶対にやりたがりません。
他人任せの判断 自分で判断することを極端に嫌がります。小さな判断でも上司や同僚に丸投げし、最終的な責任を負うことを避けようとします。
チームワークを乱す 自分の都合を最優先し、チーム全体の成果よりも個人の楽さを重視します。締切間際になって「できません」と言ったり、他のメンバーのサポートを一切しません。
当事者意識のない社員は「異常」である理由
プロとしての基本姿勢の欠如
極端な意見かもしれませんが、会社という組織の中でお金をもらっている以上、会社の一員として責任感を持って働くのは当たり前です。これは議論の余地すらない、プロフェッショナルとしての最低限の姿勢です。
例えば、あなたがプライベートで結婚式の動画制作を業者に依頼したとします。その業者が当事者意識を全く持たず、「とりあえずこんな感じです」程度の手抜き作品を納品してきたらどう思うでしょうか?
普通にブチ切れ案件ですよね。「お金を払っているんだから、ちゃんとやれよ」という感情が湧き出てくると思います。
これ、会社員も全く同じことなんです。
固定給の罠に陥っている
毎月固定給として決まった金額が口座に振り込まれるため、私たちはこの事実を忘れがちです。しかし、会社はあなたの労働に対して正当な対価を支払っているのです。
フリーランスや個人事業主であれば、手抜きをすれば即座に収入に影響します。しかし、会社員は固定給という制度に守られているため、この緊張感を失いがちです。
当事者意識のない社員は、この固定給制度を悪用し、最低限の労働で最大限の報酬を得ようとしています。これは明らかに契約違反であり、プロとしてあるまじき行為です。
組織全体への悪影響
当事者意識のない社員の存在は、組織全体に深刻な悪影響を与えます:
モチベーションの低下 真面目な社員が「頑張っても報われない」と感じ、全体のモチベーションが低下します。
品質の低下 無責任な仕事が品質低下を招き、最終的には顧客満足度や会社の信頼性に影響します。
優秀な人材の流出 責任感の強い優秀な社員ほど、このような環境に嫌気がさして転職してしまいます。
つまり、当事者意識のない社員は、特別なくらい異常かつ問題児かつ最低な社員であることに間違いありません。そのくらいの認識を持って接して構いません。
従来の対処法が通用しない理由
時代に合わせた対処法が必要
昔のように「できるまで殴る」「怒鳴りつける」といった指導法は、現代では通用しません。パワハラ認定されるリスクがありますし、何より効果的ではありません。
また、「優しく説得する」「話し合いで解決する」といったソフトなアプローチも、当事者意識のない人には効果が薄いのが現実です。彼らは基本的に「自分は悪くない」と思っているため、説得では根本的な解決にはなりません。
感情論では解決しない
「もっと責任感を持ってください」「チームのことを考えてください」といった抽象的な指導では、当事者意識のない人は変わりません。彼らには具体的で強制力のある仕組みが必要です。
現代では、仕組みで解決するアプローチが最も効果的です。
解決策:「結論を持って来させる」仕組み作り
根本原因の特定
当事者意識のない社員の最大の問題点は、「言われたことだけやります」というスタンスで仕事をしていることです。実際は、言われたことすら文句ばかり言っているケースが多いのですが、とにかくこの受け身の姿勢が諸悪の根源です。
この受け身の姿勢を変えるために必要なのが、**「結論を持って来させる」**という仕組みです。
「結論を持って来させる」の具体的効果
この仕組みが効果的な理由は以下の通りです:
自分の意見に責任を持つようになる 自分で結論を出すということは、その結論に対して責任を負うということです。これまで他人任せだった判断を自分で行うことで、自然と責任感が芽生えます。
考える習慣が身につく 結論を出すためには、必然的に考える必要があります。これまで思考停止していた人も、強制的に考えざるを得なくなります。
主体性が育つ 受け身から能動的な姿勢に変わります。「やらされている」から「自分でやっている」という意識の変化が生まれます。
具体的な実践方法
1. レベル別アプローチ
大きな事業を左右するような重要な判断である必要はありません。段階的にレベルを上げていきます:
初級レベル
- 今日のタスクの優先順位を決めさせる
- 会議の議事録を自分なりにまとめさせる
- 簡単な改善案を提案させる
中級レベル
- 個人の目標が達成していない理由を分析させる
- その未達を埋めるための具体的な行動計画を立てさせる
- チーム内の問題点と解決策を考えさせる
上級レベル
- 部署全体の課題と解決策を提案させる
- 新しいプロジェクトの企画を立てさせる
- 他部署との連携方法を検討させる
2. 質問の仕方を変える
従来の質問:「これどうしよう?」「どう思う?」 新しい質問:「君はどうするべきだと思う?理由も含めて教えて」「3つの選択肢を考えて、君のおすすめを教えて」
3. 間違いを恐れさせない環境作り
「間違ってもいいから、自分の意見を持って来い」というスタンスを明確にしましょう。完璧な答えを求めるのではなく、自分なりの結論を出すプロセスを重視することが重要です。
最初は的外れな結論でも構いません。大切なのは、自分の頭で考えて結論を出すという行為そのものです。
4. フィードバックの与え方
結論を持ってきた場合は、まず「自分で考えて結論を出したこと」を評価します。その上で、内容についての建設的なフィードバックを行います。
「君の考えは○○の点で良いね。ただ、□□の視点も加えるとさらに良くなると思う」といった形で、否定ではなく改善提案として伝えます。
5. 継続的な繰り返し
この取り組みは一度で終わりではありません。継続的に繰り返すことで、徐々に当事者意識が芽生えてきます。最初は抵抗されることもありますが、諦めずに続けることが重要です。
実体験:当事者意識のない部下を変えた方法
問題のある部下の詳細なプロフィール
筆者にも当事者意識のない部下がいました。27歳の男性で、スキル的には決して低くありませんでした。しかし、以下のような特徴がありました:
「責任を負いたくない」が口癖 何かを決める場面になると、必ずこの言葉を言って逃げようとしていました。
指示されたことしかやらない 与えられたタスクは最低限こなしますが、それ以上のことは一切やりません。改善提案なども皆無でした。
やりたいことには前向きだが、責任が伴うと消極的 自分の興味のある分野の仕事は積極的にやりますが、責任が発生する重要な業務になると一気に引っ込み思案になります。
最終的には「言われたからやった」で終わらせる 何か問題が発生すると、必ず「指示通りにやっただけです」と責任回避を図ろうとしていました。
実践した解決方法の詳細
Step1: 週次報告での意識改革
毎週月曜日の朝一番に、今週やるタスクを自分で考えて自分で決めてくるように指示を出しました。
最初は「何をやればいいかわからない」「指示してください」と言ってきましたが、「まずは君が考えて、君の案を持ってきて」と突き返しました。
Step2: 未達理由の分析を義務化
案の定、最初の数週間は未達が続きました。そこで、未達が続いた場合は、なぜ未達が続いているのか、自分なりの分析と改善案を持って来させました。
「時間が足りませんでした」「他の仕事が忙しくて」といった言い訳を持ってきた時は、「それは理由じゃなくて状況説明だよね。なぜそうなったのか、どうすれば防げるのかを考えてきて」と再提出させました。
Step3: 自己決定による責任の明確化
結論が出ているのであれば、「それをあとはやればいいだけだよ」と伝え、自分の結論がタスクになり、自分で決めたことが自分の責任であることを明確にしました。
「でも、これで失敗したら…」と言ってきた時は、「失敗したら君の責任だし、成功したら君の手柄だよ。どっちにしても君のものだ」とはっきり伝えました。
Step4: 段階的な責任範囲の拡大
最初は個人レベルの小さな判断から始めて、徐々に責任の範囲を拡大していきました:
1-2ヶ月目:個人タスクの管理 3-4ヶ月目:チーム内での小さなプロジェクト 5-6ヶ月目:他部署との連携が必要な業務 7ヶ月目以降:重要な意思決定への参画
変化のプロセスと結果
初期(1-2ヶ月):強い抵抗
最初の2ヶ月間は強い抵抗がありました。「なんで自分だけこんなことを」「今までこんなことやったことがない」といった不満を口にしていました。
しかし、一貫して「自分で考えて結論を出すこと」を求め続けました。
中期(3-5ヶ月):徐々に変化
3ヶ月目頃から、渋々ながらも自分なりの結論を持ってくるようになりました。内容はまだ浅いものでしたが、「自分で考える」という行為自体は定着してきました。
後期(6ヶ月以降):劇的な変化
半年を過ぎた頃から、劇的な変化が現れました。自分から提案をしてくるようになり、問題が発生した時も自分なりの解決策を持ってくるようになりました。
驚くべき最終結果
この取り組みを継続した結果、その部下は当事者意識が芽生え、気がついたら「替えがきかないくらいの戦力」に成長していました。
具体的には:
- 自主的な改善提案が月3-4件
- 他部署からの評価も大幅に向上
- 後輩の指導も積極的に行うように
- 最終的には昇進して、現在は別チームのリーダーとして活躍
最も印象的だったのは、以前は「責任を負いたくない」が口癖だった彼が、「このプロジェクトは僕に任せてください」と言うようになったことです。
他のケースでの応用例
ケース1:新卒社員への適用
新卒で入社してきた社員にも同様のアプローチを実践しました。最初は「正解を教えてください」ばかり言っていましたが、「まずは君が考える正解を教えて」と返すことで、自分で考える習慣が身につきました。
ケース2:中途採用者への適用
前職で指示待ち人間だった中途採用者にも効果がありました。「前の会社ではこう言われていました」という発言が多かったのですが、「この会社では君がどう思うかが重要」と伝え続けることで、主体性が向上しました。
ケース3:チーム全体への適用
個人だけでなく、チーム全体の会議でも「結論を持って来させる」仕組みを導入しました。議題に対して、各メンバーが事前に自分なりの結論を用意してくるルールにしたところ、会議の質が大幅に向上しました。
当事者意識の重要性:会社全体への影響
組織全体のパフォーマンス向上
当事者意識は個人の問題ではありません。一人ひとりが当事者意識を持つことで、組織全体のパフォーマンスが劇的に向上します。
意思決定の速度向上 各自が主体的に考えて行動するため、いちいち上司の指示を仰ぐ必要がなくなり、意思決定のスピードが上がります。
品質の向上 自分の仕事に責任を持つため、自然と品質に対する意識も高まります。
イノベーションの創出 受け身ではなく能動的に考える人が増えることで、新しいアイデアや改善案が生まれやすくなります。
危機管理能力の向上
会社の売上が厳しい状況になったとき、「やばいな…」と当事者として危機感を共有してくれる人が多いに越したことはありません。
当事者意識のない人は、会社が危機的状況でも「自分には関係ない」と他人事のように考えがちです。一方、当事者意識のある人は、会社の問題を自分の問題として捉え、積極的に解決策を考えます。
チームワークの向上
当事者意識のある人同士で構成されたチームは、驚くほど高いパフォーマンスを発揮します。お互いが主体的に考え、積極的にサポートし合うため、1+1が3にも4にもなります。
個人の成長にもつながる
当事者意識を持つことは、個人のスキルアップやキャリア形成にも大きなプラス要因となります。
問題解決能力の向上 常に自分で考える習慣がつくことで、問題解決能力が飛躍的に向上します。
リーダーシップの発揮 主体的に行動する姿勢は、自然とリーダーシップにつながります。
転職市場での価値向上 当事者意識を持って働いてきた人は、どこの会社でも重宝される人材になります。
よくある失敗パターンと対処法
失敗パターン1:最初から大きな責任を負わせる
急に大きな判断を求めても、当事者意識のない人は萎縮してしまいます。必ず小さなことから始めて、段階的にレベルを上げることが重要です。
失敗パターン2:一度で諦める
最初はうまくいかないのが当たり前です。抵抗されたからといってすぐに諦めず、継続することが重要です。
失敗パターン3:完璧を求めすぎる
最初は的外れな結論でも構いません。「自分で考える」という行為自体を評価し、内容については段階的に改善していけばよいのです。
失敗パターン4:感情的になる
当事者意識のない人の行動にイライラするのは当然ですが、感情的になっては逆効果です。冷静に、システマティックに対処することが重要です。
まとめ:あなたが正しい、自信を持って行動しよう
当事者意識を持って働くあなたは間違っていません。むしろ、当事者意識のない同僚に合わせる必要は一切ありません。
ただし、感情的になって対立するのではなく、「結論を持って来させる」仕組み作りを通じて、建設的に解決していきましょう。
この記事で紹介した方法は、筆者が実際に効果を確認したものです。時間はかかりますが、継続することで必ず変化が生まれます。
重要なのは、一貫した姿勢を保つことです。「今日は忙しいから」「今回だけは」といった例外を作ってしまうと、元の木阿弥になってしまいます。
当事者意識のない同僚に悩まされている方は、ぜひ今日から実践してみてください。あなたの職場環境が、きっと改善されるはずです。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、職場での人間関係やマネジメントの悩みから解放され、より充実した働き方を実現できることを心から願っています。あなたの悩みが1つでも減れば、筆者冥利に尽きます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!