- 会社で「やりたいことをやらせてもらえない」のは当然のことで、会社はあなたの個人的な願望を叶えるために存在しているわけではない
- 求人広告の「やりたいことができる」という文言は建前であり、入社後に個人の希望が100%通るという保証は一切ない
- 本当にやりたいことがあるなら起業やフリーランスという選択肢があり、まずは自分で仕事を取ってみることで会社のありがたみが分かる
- その会社で働くことを選んだのは他でもないあなた自身であり、入社後に文句を言うのは筋が通らない
「会社で自分のやりたいことをやらせてもらえない」「上司に提案しても通らない」「希望する部署に配属してもらえない」
こうした悩みを抱える会社員の方は多いでしょう。しかし、率直に申し上げると、これは当然のことなのです。なぜなら、会社で働くという選択をした時点で、あなたには大きな前提条件があるからです。
会社はあなたのやりたいことのために存在しているわけではない
まず理解していただきたいのは、会社はあなたの個人的な「やりたいこと」を実現するために存在している組織ではないということです。
会社には既に確立されたビジョン、ミッション、事業目標があります。そして、これまでその方向性で結果を出してきたからこそ、あなたを採用できる経営的な余裕が生まれているのです。
考えてみてください。もし会社の方向性が間違っていたり、業績が悪化していたりすれば、そもそも求人を出すことすらできません。人材を雇う余裕がないからです。つまり、あなたが今その会社で働けているのは、会社の既存の方針が正しく機能していることの証明なのです。
それなのに、いきなり焦点を会社からあなた個人に向けて、「あなたのやりたいことをやらせてあげよう」となるはずがありません。これは組織運営の基本的な論理です。
求人広告の「本音と建前」を見抜く
現在の採用市場では、「やりたいことができる環境」「働きやすい職場」といった魅力的な文言で人材を募集している企業が非常に多くなっています。
これには明確な理由があります。少子高齢化により若手人材が不足し、採用競争が激化しているからです。特に優秀な人材は複数の企業から引く手あまたの状況にあり、企業側は魅力的な条件を提示せざるを得ません。
しかし、これは完全に建前の部分であることを理解する必要があります。
入社後に「やりたいことが絶対にできる」という保証は1パーセント、いえ1ミリもありません。そもそも、個人のやりたいことを最優先に考えて事業を運営している企業など存在しないのです。
大人であれば、この本音と建前をしっかりと認識し、現実的な判断をしなければなりません。
やりたいことと会社の方向性が一致する理想的なケース
もちろん、あなたのやりたいことと会社の事業方針が一致している場合は話が変わります。
- 会社の目標とあなたの個人的な目標が同じ方向を向いている
- 会社がやりたいことの延長線上にあなたのやりたいことがある
- あなたのやりたいことが会社の利益につながる
こうした状況であれば、積極的にその環境で力を発揮すべきです。これは非常に理想的で素晴らしいことですし、個人のやりたいことが会社で実現できる可能性が0%というわけではありません。
ただし、重要なのは順序です。まず会社の目標があり、その中であなたのやりたいことが実現できるかどうかを考える、この順番を間違えてはいけません。
「会社がダメだから自分のやりたいことができない」という思考の危険性
「自分のやりたいことができないから、この会社はダメだ」「上司が理解してくれないから職場環境が悪い」
このような認識を持っている方がいるとすれば、はっきり言って的外れです。
会社はあなたのやりたいことのために存在しているわけではありません。あなたが会社に雇われているのは、会社の目標達成に貢献するためなのです。
この基本的な事実を理解せずに不満ばかり口にしているのは、大人として非常に未熟な態度と言わざるを得ません。
本当にやりたいことがあるなら起業という選択肢
もし本当に強い意志で「やりたいこと」があるのであれば、起業という選択肢があります。
「でも資金もないし、起業のスキルもない」という声が聞こえてきそうですが、起業に特別なスキルなど必要ありません。まずはフリーランスでも何でも構いません。自分で仕事を取ってみることから始めればよいのです。
実際に自分でビジネスを始めてみると、これまで会社がどれだけあなたのために手間暇をかけてくれていたかが痛いほど理解できるでしょう。
- 営業活動の難しさ
- 経理・事務処理の煩雑さ
- 取引先との交渉の大変さ
- 安定した収入を得ることの困難さ
こうした経験を積んだ上で、それでもやりたいことへの情熱が消えないのであれば、その失敗経験を活かして本格的に起業すればよいのです。
逆に、実際にやってみて「やっぱり会社員の方が良い」と感じるのであれば、それはそれで貴重な学びです。その時は、文句を言わずに会社で求められることを徹底的にやることです。
会社で働くという選択をしたのは他でもないあなた自身
最後に、忘れてはいけない重要な事実があります。
その会社で働いているのは、あなた自身の選択だということです。
誰かに強制されたわけではありません。あなたが自ら履歴書を書き、職務経歴書を提出し、何度も面接を受けて「この会社で働かせてください」と頭を下げて入社したのです。
それなのに入社後に「やりたいことができない」「会社が悪い」などと文句を言うのは筋が通りません。
現実を受け入れて次のステップを考える
会社員として働く以上、個人のやりたいことよりも会社の目標が優先されるのは当然のことです。これは良い悪いの問題ではなく、組織で働くということの本質的な特徴なのです。
この現実をしっかりと受け入れた上で、以下のいずれかの道を選択することをお勧めします：
選択肢1：会社の目標達成に全力で取り組む 現在の職場で求められている役割を徹底的に果たし、結果を出すことに集中する。その過程で新たなやりがいや成長を見つけられる可能性もある。
選択肢2：やりたいことと会社の方向性が一致する企業を探す 転職活動において、自分のやりたいことと企業の事業方針が合致している会社を慎重に選ぶ。ただし、入社後も会社の目標が最優先であることは変わらない。
選択肢3：独立・起業にチャレンジする 本当にやりたいことがあるなら、自分でビジネスを始める。ただし、相応のリスクと覚悟が必要。
まとめ：大人としての現実的な判断を
向上心を持って仕事に取り組むことは素晴らしいことです。しかし、その向上心が「会社は自分のやりたいことをやらせてくれるべきだ」という間違った期待に基づいているとすれば、それは修正する必要があります。
会社で働くということは、個人的な願望よりも組織の目標を優先するということです。この基本的な事実を受け入れることができれば、より建設的で現実的なキャリア形成が可能になるでしょう。
不満を抱いて時間を浪費するのではなく、今置かれている環境で最大限の成果を出すことに集中してください。それが、結果的にあなた自身の成長と満足につながるはずです。
この記事を読んだ1人でも多くの方が、「やりたいことができない」という漠然とした不満から解放され、より現実的で建設的なキャリア形成に向かっていただけることを願っています。会社員としての立場と個人の願望の関係について正しく理解することで、あなたの職場での悩みが1つでも減れば筆者冥利に尽きます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました！
