- 大企業で報連相が多いのは正常で、信用されてないわけではない
- 「言われたことを報告するだけ」では一生下っ端で終わる
- 報連相を「承認の場」ではなく「仮説検証の場」に変えることが重要
- 自分の頭で考えた仮説と提案を持って報連相すれば武器になる
- 最初の数ヶ月の報連相の質が、その後の会社での評価や立ち位置を大きく左右する
「報連相が多すぎて辛い…」「マジで何回同じこと話せばいいんだ!?」
こんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?中途採用や新卒で大企業に入って半年以内の人なら、一度はこんな風に感じたことがあるでしょう。ベンチャーや中小企業から転職してきた人は特に、この報連相の多さに面食らうものです。
この記事を書いている筆者もまさに直近でそんな経験をした張本人で、記事を書いている今現在転職から2ヶ月がたったというところです。
100人規模のベンチャー企業から、従業員数千人規模の大企業への転職で最初は報連相の多さに戸惑ったものの、自分で言うのも恥ずかしい話ですが、転職2ヶ月でマネージャーポジションの業務に携わり、管理職ミーティングにも参加できるようになりました。
なぜ短期間で評価を得ることができたのか?
この記事では、私自身が実践し効果を感じた報連相に対する考え方の転換方法をお伝えします。明日から使える具体的なアプローチばかりなので、これから中途入社を控える方や、入社したばかりで報連相に悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。
報連相が多すぎるのは、大企業では”正常”
最初にハッキリお伝えしておきましょう。
大企業で報連相が多すぎると感じるのはごく普通の感覚です。むしろ違和感を覚えないほうが感覚が麻痺していると言えるでしょう。
ベンチャーのように「できるやつが勝手に動く」世界と違って、大企業は関係者がとにかく多いのが特徴です。ひとつの案件で10人以上が関わってくるなんて日常茶飯事。その分、「誰に、いつ、何を伝えたか」が管理されていないと、すぐに炎上してしまいます。
例えば、ベンチャー企業なら社長に直接相談して「やってみよう」で済む話でも、大企業では部課長、関連部署、法務、経理、システム部門など、複数の部署との調整が必要になります。一つでも連携が漏れれば、後から「聞いてない」「話が違う」という事態になりかねません。
報連相が多いのではなく、報連相がなかったら動けない仕組みになっている、それだけの話です。
大企業の報連相システムは、長年の試行錯誤の結果として構築されたものです。過去に情報共有不足で起きた失敗やトラブルを防ぐために、現在の報連相ルールが存在しています。つまり、一見面倒に見える報連相も、実は組織を円滑に動かすための必要不可欠な仕組みなのです。
この現実を受け入れることから大企業での成功は始まります。報連相の多さに不満を抱くのではなく、「これが大企業のルールなんだ」と割り切って、その中でいかに効率的に、そして効果的に報連相を行うかを考える方が建設的でしょう。
報連相が面倒=信用されてない、は考えすぎ
「逐一報告しろって、信用されてないのかな?」と感じた人もいると思います。実はこれ、めちゃくちゃあるあるな感情です。でもその発想は捨てたほうがいいでしょう。
報連相が多いのは、個人の信頼とかの話じゃなく、組織を機能させるための前提条件だからです。
大企業では、一人の判断ミスが会社全体に大きな影響を与える可能性があります。だからこそ、重要な決定や進捗については、必ず複数の目でチェックする仕組みが構築されています。これは新人だろうが経験豊富な社員だろうが同様です。
実際、ベテラン社員でも重要な案件については上司に報連相を行っています。それは信頼されていないからではなく、組織として適切なリスク管理を行うためです。
逆に「放っておいてくれるからラク」って言っている人は、単に”期待されてないだけ”の可能性もあります。本当に重要な業務を任されている人ほど、報連相の頻度は高くなるものです。
報連相の量と信頼度は、必ずしも比例しません。ここを勘違いすると、周囲と自分の立ち位置がズレたまま働き続けることになってしまいます。
むしろ、頻繁に報連相を求められるということは、「重要な業務を任されている」「上司があなたの成長を気にかけている」証拠だと考えてみてください。この視点の転換ができれば、報連相に対するストレスは大幅に軽減されるはずです。
報連相は大切だから「報告するだけ」はマジで成長しない
多くの人が「報連相してますよ」って言いますが、実はそれ、ただの伝言ゲームで終わってませんか?
「言われたからやりました」「こう言われたので進めました」──これって一見丁寧ですが、上司から見れば”指示待ちの人”でしかありません。
正直にお伝えします。言われたことを言われた通りに報告してるだけの人は、一生下っ端で終わります。
なぜなら、このような報連相では自分の価値を全く示せていないからです。上司が知りたいのは、単なる作業の進捗報告ではありません。あなたがどう考え、どう判断し、どう行動しようとしているかなのです。
例えば、次の二つの報告を比較してみてください。
パターンA(指示待ち型)「昨日お話しいただいた件、調べました。競合他社は3社ありました。以上です。」
パターンB(仮説提示型) 「昨日の件について調査しました。競合他社は3社ありますが、その中でもA社が最も脅威と考えています。理由は価格競争力と販売チャネルの強さです。対策として、我々は品質とアフターサービスで差別化を図るのが有効だと思いますが、この方向性で進めてよろしいでしょうか?」
どちらの報告が価値が高いかは明らかでしょう。
本当に成長したい、上に行きたいなら、「自分はこう動こうと思っている。その理由はこれ」と、仮説と意志を持ってGOを取りに行くべきです。
それができる人だけが、報連相を”武器”に変えられます。単なる業務報告から、戦略的なコミュニケーションツールへと報連相を進化させることができるのです。
報連相を「承認の場」じゃなく「仮説検証の場」に変えろ
報連相を”義務”として受け身でやっている限り、誰にも覚えられない存在で終わってしまいます。
でも逆に、”上司を巻き込むツール”として使えば、報連相は一気に自分の評価を押し上げるカードに化けます。
「こうしたい。理由はこれ。でも確認させてほしい」
このスタンスを徹底するだけで、“ただの中途”から”頼れる存在”に格上げされます。
具体的には、以下のような流れで報連相を構成してみてください。
1. 現状の把握と分析 まず、現在の状況を客観的に整理します。単なる事実の羅列ではなく、なぜその状況になったのか、何が問題なのかを分析して伝えましょう。
2. 自分なりの仮説や提案 現状を踏まえて、自分なりの解決策や次のアクションプランを提示します。完璧である必要はありません。大切なのは「自分なりに考えた」ということを示すことです。
3. 判断を仰ぐ 最後に、自分の仮説や提案について上司の意見を求めます。「この方向性で良いでしょうか?」「他に考慮すべき点はありますか?」といった形で、対話を促しましょう。
このアプローチの素晴らしい点は、上司との関係性を「指示する側・される側」から「一緒に考える仲間」に変えられることです。上司も、ただ指示を出すよりも、部下と一緒に戦略を練る方が楽しいしやりがいを感じるものです。
ちなみに筆者自身も、転職2ヶ月でマネージャーポジションの業務に入り、管理職ミーティングにも参加できています。その理由は、まさにこの”報連相の質”を意識していたからです。
単なる進捗報告ではなく、常に自分なりの仮説と提案を持って上司とコミュニケーションを取ることで、「この人は一緒に仕事をしやすい」「この人の意見を聞きたい」と思ってもらえるようになりました。
相談という名の自分のプレゼン時間
結局、報連相って「思考の可視化」なんですよね。
自分の中に仮説がない人は、報連相しても中身が薄くなってしまいます。逆に、しっかりとした考えを持っている人は「相談」という名のプレゼンテーションができます。
報連相を”指示の確認作業”で終わらせている人と、”戦略の仮説レビュー”に使っている人では、半年後の評価がまるで違ってきます。
黙って動くのは自己満足。考え抜いて報連相するのがプロです。
どうせ報連相しなきゃいけないなら、そこに自分の色を乗せましょう。それが出世への一番シンプルな近道です。
報連相は、自分の思考力、分析力、提案力をアピールする絶好の機会でもあります。この機会を活かせる人とそうでない人では、確実にキャリアの軌道が変わってきます。
報連相は実は採用のキャリアツールである
報連相も実は最強のキャリア戦略ツールになるものだよ?なんてことを、筆者の実体験を通じて記載してきましたがいかがだったでしょうか?
報連相と検索すると、「面倒」「多すぎる」「時間の無駄」といった否定的な意見ばかりが目立つので、あえて自分の経験と照らし合わせて報連相の可能性を書かせていただきましたが、どのアプローチが良いとか悪いとかは個人の価値観や職場環境によるところが大きいと思っています。
筆者に関しては、報連相を「仮説検証の場」として活用することで上司との信頼関係を早期に構築できたと感じているため報連相戦略活用派になりますが、最低限の報連相で効率重視で働きたいという考え方も理解できますし、それぞれの職場に合ったスタイルがあることも否定する気はございません。
この記事を見た1人でも多くの方が、報連相の新しい可能性を感じつつ、自分には今のやり方で十分なのか?もう少し工夫の余地があるのか?なんてことを考えるきっかけになれば筆者冥利に尽きます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!